「相撲はやるより観る方が楽しい」と、引退してから実感するようになりました。でも若いうちは「力士として出世したい!」と思わせる、相撲界の華々しい魅力が勝るんですよね。
元力士のしんざぶろうです。こんにちは!
僕は力士を引退してからも、相撲に関する情報を常に収集しています。そんな中、気になる話題を耳にしました。本場所で毎日のように観戦している人が注目されているようで、「いつもいるおじさん」や「おばさん」という検索ワードが浮上しています。
みなさんも相撲中継を見ていると、土俵のすぐ近く、溜席(たまりせき)にいつも同じような顔ぶれが座っているのを目にしたことがあるかもしれませんね。そして、彼らが一体どんな人物なのか、なぜ毎回同じ席に座っているのか、不思議に思ったことはありませんか?
今回は、そんな「いつも相撲を観戦しているおじさん」や「おばさん」たちがどんな人たちなのか、そしてその背景について詳しく考察していきたいと思います。
ぜひ、最後までお付き合いくださいね!
元力士 まさる
- 溜席でいつも観戦している「おじさん」「おばさん」の正体について
- 維持員とはどんな存在で、どのような特権を持っているのか
- 溜席で観戦するための方法や費用について
- 「溜席の妖精」や「金ぴかおじさん」と呼ばれる話題の人物たち
どんな人?考えられる人物像
では、まず毎日溜席で観戦している「おじさん」や「おばさん」は一体誰なのか、という話から始めましょう。
結論から言うと、溜席で毎日観戦しているということは、その人物が「維持員」であると考えられます。なぜなら、維持員には特別な特権があり、その一つとして本場所の15日間、溜席で観戦できる権利があるからです。
また、溜席は非常に人気が高く、一般の人が手に入れるのは難しい席です。このことを考慮すると、毎日溜席に座っている人物が維持員である可能性はかなり高いと言えます。
そして、相撲中継で話題になる人物が目立つ理由は、毎日観戦しているからこそ印象に残りやすいのです。以上を考慮すると、彼らは維持員としての条件に該当していると考えられるでしょう。
維持員とは?
では、維持員とはいったいどんな存在なのかというと、個人や法人が相撲協会に対して財政的な寄付を行い、その見返りとして特別な観戦席や、相撲協会が主催するイベントに参加できる特権を持っている会員のことです。
維持員は、相撲の運営を支える重要な存在であり、相撲協会への長期的なサポートを通じて、相撲文化の継続と発展に大きく貢献しています。
維持員ついては、下記の記事でくわしく解説しています。また、茶色いちゃんちゃんこの集団についても説明していますので、こちらの記事もあわせて読んでみてください。
維持員の代理人
維持員の他に考えられる可能性としては、維持員の代理人です。維持員は本場所中、毎日15日間観戦できる権利を持っていますが、すべての日程に出席できるとは限りません。そのような場合、代理人が観戦に行くことが許されています。
維持員本人が指名した代理人1名が本場所の競技に立ち会うことができるため、連日代理人として観戦しているケースも考えられます。
一般の可能性はない?
本場所の溜席は、維持員のために約300席が確保されています。溜席全体で約500席しかないため、残りの約200席が一般に開放されますが、非常に人気が高く、ほとんどが抽選となっています。
また、抽選のため席が指定できません。「いつもいるおじさん」は、毎日同じ人物が観戦していることから、一般人が抽選で溜席を確保している可能性は低いと考えられます。
- 溜席で毎日観戦している人物は、特権を持つ「維持員」である可能性が高い。
- 維持員は代理人を立てることができ、代理人が連日観戦することも考えられる。
- 一般の可能性は低い。溜席は維持員のために約300席が確保されており、残りの一般向け席は抽選となっているため、毎日観戦するのは難しい。
さくら
溜席を取る方法は?
確実に溜席で観戦したいとなると、やはり維持員になるのが最も確実ですが、寄付金やその他の条件をクリアするのは現実的には難しいかもしれません。寄付金額については後ほど解説しますが、より現実的で、金銭的負担が少ない方法をご紹介します。
実は、相撲界には「大相撲ファンクラブ」というものも存在しており、このファンクラブに入会すると、チケットの一般販売よりも先に抽選に参加できる特典があります。
この特典を利用すれば、憧れの溜席での観戦が実現する可能性が高まります。ぜひ参考にしてみてください。以下に、ファンクラブの入会金や会員ランクをまとめました。
会員ランク | 年会費 | 定員 |
---|---|---|
横綱 | 330,000円(税込) | 30名 |
大関 | 110,000円(税込) | 100名 |
関脇 | 33,000円(税込) | なし |
小結 | 6,600円(税込) | |
幕内 | 550円(税込) |
ちなみにこちらが公式のリンクです。興味がある方は確認してみてください。
⇒大相撲ファンクラブ
溜席15日間の料金は?
ここでは、溜席で15日間観戦した場合の費用について考えてみましょう。まず、一般で抽選に当たってチケットを購入する場合、1席あたりの価格は20,000円です。したがって、15日間すべて溜席で観戦すると、総額は300,000円になります。
次に、維持員が同じように15日間観戦した場合の費用を比較してみましょう。維持員は地区ごとに寄付金額が異なりますが、今回は東京の場合で検証します。維持員の寄付金は1場所に換算すると450,000円になります。単純に比較すると、一般の観戦費用よりも150,000円高くなりますね。
ただし、維持員の支払う金額は、単なる観戦チケットの費用ではありません。寄付金として相撲協会に納められ、そのお金は力士の育成や相撲協会の運営費、大相撲の伝統を守るための活動に充てられます。この寄付は相撲の発展を支える大切な資金として使われています。
ちなみに、維持会員になるためには、場所ごとに異なる多額の寄付が必要です。たとえば、東京場所では3年間で最低4,050,000円です。
大阪、名古屋、福岡場所では、3年間で最低1,125,000円の寄付が必要とされています。また、基本的には一括払いでの支払いが求められます。
- 一般:300,000円
- 維持員:450,000円
話題になっている人はほかにもいるよ!!
「いつもいるおじさん」「おばさん」以外にも、相撲ファンの間で話題になっている方たちはたくさんいます。いずれにしても、今回考察した通り、彼らが「維持員」と何かしら関係しているのは間違いないでしょう。
特に注目されているのが、「溜席の妖精」や「金ぴかおじさん」といったユニークな人物たちです。
溜席の妖精
「溜席の妖精」とは、2021年頃から突然現れたワンピース姿の美しい女性のことを指します。彼女は、毎回ワンピースを着用して、姿勢よく背筋をピンと伸ばして観戦している姿が印象的で、「妖精」と呼ばれるようになりました。
特にすごいのは、横綱の取り組みが終わる午後6時まで、約4時間もの間、背筋をまっすぐに保ちながら正座して観戦しているという点です。拍手の仕方も品があり、女性らしさが際立つ振る舞いで、多くのファンから感心されていました。
金ぴかおじさん
「金ぴかおじさん」は、2021年の1月場所で話題になった人物で、その正体は「高須クリニックの院長」でした。
豪華な金色のラメ衣装で溜席に座っていたことから「金ぴかおじさん」「金ぴかファッション」と呼ばれ、相撲ファンの間でも話題となりました。
さくら
元力士 まさる
まとめ
今回の記事では、「いつもいるおじさん」「おばさん」と呼ばれる溜席で相撲を観戦している人物たちがどんな人なのか、詳しく考察してきました。
彼らは、一般的に「維持員」と呼ばれる相撲協会への寄付者であり、15日間連続して観戦する特権を持っています。維持員の存在は相撲の発展に不可欠であり、彼らの寄付によって大相撲が成り立っていると言っても過言ではありません。
相撲という文化は、力士たちだけでなく、支える多くの人々の力によって守られおり、溜席での観戦は、維持員たちの相撲への愛情や貢献の証ともいえるでしょう。次に相撲を観戦するときには、彼らにも注目してみると、また違った楽しみが増えるかもしれませんね。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。