相撲観戦で、過去に金星を取ったことがある力士が横綱と対戦すると、ついつい「また金星を取るんじゃないか?」「今場所も波乱を巻き起こすんじゃないか」って期待してしまいます。元力士のしんざぶろうです。こんにちは!
相撲ファンであれば「金星」という言葉は耳にしたことがあるでしょう。しかし、その具体的な条件や恩恵について、詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。
金星は力士にとって名誉だけでなく、金銭的な報奨も含め、さまざまな恩恵があります。これは単に横綱に勝つだけでなく、その後の力士のキャリアや生活にまで大きな影響を与える、大事な出来事です。
そして、金星という仕組みは、相撲ファンにとっても力士にとっても特別な意味を持ち、相撲観戦がさらに楽しくなる要素のひとつです。この記事では、金星の仕組みや価値、さらにあまり公にされていない隠語までご紹介します。
相撲観戦がもっと楽しくなる情報満載ですので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
- 金星を取ると、力士にどのような恩恵があるか
- 「金星」とは何か、その取得条件と価値について
- 金星を取ることで報奨金がどのように加算されるか
- 歴代の記録に残る金星獲得者たち
- 相撲界の隠語「金星」。本来とは違う意味とは?
元力士 まさる
あの熱気が好きなんだよなぁ
金星を取るとどんな恩恵があるの?
- 金星を取った力士の「持ち給金」に10円が加算される。
⇒「持ち給金」が加算された結果、報奨金の支給額が増加する。 - 金星を取ることで力士の名声や人気が上がり、懸賞金などに影響を与える。
- その場所を負け越しても「持ち給金」に金星の加算はされる。
- 報奨金は本場所ごとに支給され、年6回の支給が行われる。
- 十両以上の地位を維持することが報奨金を受け取る条件。
金星を取ると、報奨金の支給額が増加することになります。これが相撲界では非常に大きな意味を持っており、力士の将来にも直接影響を与えるといっても過言ではありません。
具体的に説明すると、金星を取ると、その力士の「持ち給金」に10円が加算されます。この10円という額だけを聞くと少なく感じるかもしれませんが、実際にはこの10円は4,000倍されるので、なんと40,000円が報奨金として支給されることになります。
そして、この40,000円は、その後の場所毎に支給され続けるので、長期的に見ればかなり大きな額になります。さらに、金星を取ることで力士の名声や人気が高まり、懸賞金などの副収入にも影響を与えるため、全体的な収入も増えるチャンスが広がります。
さらに金星は、その場所を負け越してしまっても関係なく「持ち給金」に加算されるのもポイントです。ただし、報奨金が本場所ごと(年6回)に支給されるため、十両以上の地位を維持することが条件になります。
力士の報奨金と持ち給金について、こちらの記事でさらにくわしく解説しています。
ぜひ、こちらもあわせてご覧ください。
金星の仕組みとその価値
金星取得の条件
金星の条件は、ズバリ「平幕の力士が横綱に勝利する」これだけです!
当然、三役が横綱に勝っても「金星」は取得できません。
ただ、平幕であっても金星が与えられない「例外」が存在しています。それは、「不戦勝」と「反則による勝ち」です。つまり、正当な勝負で勝利しないと金星はもらえないということですね。
金星ってどれくらいの価値がある?
先述したように、金星を取ると持ち給金に「10円」が加算されます。この「10円」という額は、なんと「勝ち越し星」20点分に相当します。これだけでも、金星を獲得することがいかに難しいかがわかりますよね。
たとえば、勝ち越し星だけで計算してみると、全勝したとしても15点なので、持ち給金の加算額は「7.5円」しかありません。一場所では、金星の加算額には到底及ばないんです。以下の表をご覧ください。
要件 | 金額 |
---|---|
勝ち越し星1点につき | 0.5円(50銭) |
金星 | 10円 |
幕内最高優勝 |
30円 |
幕内全勝優勝 | 50円 |
そして「勝ち越し星」の計算はこちらです。
〇計算方法:勝ち星-負けた数=加算点数
- 十両以上:15戦⇒勝ち星7つがボーダーライン
例:①8勝-7敗=1点(0.5円の加算)
②15勝-0敗=15点(7.5円の加算)
こう考えるだけでも、横綱に勝つことの難しさが伝わるかと思います。単に実力だけでなく、運やタイミングなどが揃わないと金星は実現しないといえますね。
それでも、平幕力士が連勝を重ねて金星を取ると、ついつい「このまま平幕優勝か!?」と期待してしまいますよね。平幕優勝に関する記事もありますので、時間があればぜひこちらもチェックしてみてください。
歴代の金星獲得者たち
歴代の金星獲得者には、名力士たちが数多く存在します。金星を取った力士たちは、相撲史に名を残すことになります。歴代で最も多くの金星を獲得したのは安芸乃島勝巳で、彼は16個の金星を獲得しています。
他にも、2位:高見山大五郎(12個)、同じく2位タイ:栃乃洋泰一などの力士が数多くの金星を手にしてきました。
また、横綱にも相性の悪い力士がいて、同じ相手に繰り返し金星を取られることもあります。たとえば、輪島大士から7個もの金星を奪った先ほどの高見山大五郎や、曙太郎から7個の金星を奪った貴闘力忠茂など、特定の横綱に何度も勝利した力士もいるんです。これも相撲の面白いところですね。
金星を取ることで、その力士は相撲史に名を残すことになりますし、ファンにとっても忘れられない存在になります。記録にも記憶にも残るのが「金星」と言えますね。
さくら
- 1位:安芸乃島勝巳(16個)
- 2位:高見山大五郎(12個)
- 2位タイ:栃乃洋泰一(12個)
実は金星にはもう一つの意味がある!
相撲界で「金星」という言葉が使われるのは、実は横綱に勝つことだけではありません。もう一つの意味として「きれいな女性」を指す隠語としても使われています。これは、主に力士たちの間で使われており「今日は金星を見かけた!」と言えば、それは「今日は美しい女性を見た」という意味になります。
この隠語は、相撲界独特の文化であり、相撲を楽しむファンにとっても少し面白い裏話として覚えておくといいかもしれません。相撲の世界では、こうした隠語がけっこうあるので、機会があれば記事にしてみたいと思います。
なお、明らかに勝つのが難しい相手に勝つことを「大金星」とも言います。
元力士 まさる
さくら
どうしてこんなに腹が立つのかしら!
まとめ
金星を取るためには、相撲界の頂点である横綱を倒す必要がありますが、それは非常に難しいことです。実力だけでなく、運や状況が重ならないと成し遂げられないため、金星はとても価値のあるものといえます。
しかし、その困難を乗り越えた先には、力士にとって名誉や報奨金といった大きな恩恵が待っています。金星を取ることで、その力士の地位や収入が大きく向上し、キャリアにも大きな影響を与えることでしょう。
相撲ファンにとっても、金星を取る瞬間は特別であり、その力士の今後の活躍が一層楽しみになります。次回の相撲観戦では、ぜひ「金星」にも注目してみてください。力士が金星を勝ち取る瞬間を目撃することで、相撲の世界がもっと魅力的で深いものに感じられるでしょう。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。