相撲の呼び出しの給料は?呼出しの年収・階級・仕事内容を解説
僕が所属していた部屋にも、呼出しの兄弟子がいました。
月給制ということもあり、僕ら若い力士とは、お金の使い方や生活の雰囲気が少し違って見えたんです。若いころの僕にとって、呼出しの兄弟子は少し大人に見える存在でした。
夕飯を部屋で食べるだけでなく、外に食べに行くこともあって、僕も何度かごちそうしてもらったことがありました。
当時から「呼出しさんって、実際はいくらくらい給料をもらっているんだろう?」と気になっていたんですよね。
そうした思い出もあり、呼出しさんの給料や待遇は、現役時代から気になるテーマのひとつでした。
こんにちは!元力士のしんざぶろうです。
相撲の本場所で欠かせない存在が「呼び出し」です。番付表などでは「呼出し」、日本相撲協会の公式ページでは「呼出」と表記されることもあります。
呼び出しは、力士の呼び上げだけでなく、土俵の管理や太鼓打ちなど、本場所の進行を支える大切な仕事です。
この記事では、呼出の給料や年収の目安、階級、仕事内容について解説していきます。
さくら
呼び出しさんって、力士の名前を呼ぶ人というイメージが強かったけど、土俵の管理や太鼓打ちまで担当しているのね。
今まであまり気にしたことがなかったけど、給料や階級がどうなっているのかも、たしかに気になるわ。
呼び出しの階級別の給料について
呼び出しの給料は、月給制で支給されています。日本相撲協会の事業報告書でも、呼出全員に月給制による給与を支給し、東京場所ごとに装束補助費も支給していることが確認できます。
ただし、呼出の階級別の本俸や手当の具体的な最新金額は、公式サイト上では確認できませんでした。そのため、この記事では、ネット上で確認できる日本相撲協会の旧資料をもとに、呼出の給料の仕組みを参考として整理しています。
最新の金額までは分からなくても、旧資料を見ることで、呼出さんの給料が階級によってどれくらい違うのか、イメージしやすくなるね♪
階級別の本俸は、以下の通りです。
| 階級 | 本俸(月給) | 手当(月) |
|---|---|---|
| 三役呼出し以上 | 360,000~400,000円未満 | 各人の能力・成績・勤務状況 ならびに物価・社会状勢等を 勘案し、理事長が決定する。 |
| 幕内呼出し | 200,000~360,000円未満 | |
| 十枚目呼出し | 100,000~200,000円未満 | |
| 幕下呼出し | 42,000~100,000円未満 | |
| 三段目呼出し | 29,000~70,000円未満 | |
| 序二段呼出し | 20,000~29,000円未満 | |
| 序の口呼出し以下 (3年間見習い) |
14,000~20,000円未満 |
現在の金額とは異なる可能性があります。
手当の額はどれくらい?
呼出の給料は、本俸だけでなく手当も含めて考える必要があります。旧資料では、手当について「能力や成績、勤務状況、さらに物価や社会情勢を考慮して理事長が決定する」とされています。
つまり、手当は一律に決まっているものではなく、個人の状況や評価によって変わるものと考えられます。
ただし、初任給に関する情報として、次の金額が確認できます。
本俸(月):14,000円
手当(月):126,000円
合計(月):140,000円
本俸だけを見るとかなり少なく感じるけど、実際には手当も含めて給料が決まるんだよね。
呼出さんの仕事は、呼び上げだけじゃなく、土俵築や太鼓、取組の進行を支える仕事まであるから、表に出ない部分の役割も大きいんだ。
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給料を年収に換算するとどうなる?
呼出の給料は、本俸と手当で構成されています。ここでは、階級別の本俸に、初任給として確認できる手当額126,000円を加えた場合のおおよその年収を計算してみます。
ただし、手当は個人の状況や評価によって変わるため、実際の年収とは異なる可能性があります。
月ごとの金額だけだと少し分かりにくいけど、年収にすると階級ごとの差がイメージしやすくなるわね。
ただ、手当は人によって変わるから、「だいたいこのくらい」という目安で見るのが良さそうね。
| 階級 | 月収 | 年収 |
|---|---|---|
| 三役呼出以上 | 486,000円~526,000円未満 | 5,832,000円~6,312,000円未満 |
| 幕内呼出 | 326,000円~486,000円未満 | 3,912,000円~5,832,000円未満 |
| 十枚目呼出 | 226,000円~326,000円未満 | 2,712,000円~3,912,000円未満 |
| 幕下呼出 | 168,000円~226,000円未満 | 2,016,000円~2,712,000円未満 |
| 三段目呼出 | 155,000円~196,000円未満 | 1,860,000円~2,352,000円未満 |
| 序二段呼出 | 146,000円~155,000円未満 | 1,752,000円~1,860,000円未満 |
| 序の口呼出 (3年間見習い) |
140,000円~146,000円未満 | 1,680,000円~1,752,000円未満 |
※年収は、本俸に初任給の手当額126,000円を一律で加えて計算しています。実際の金額とは異なる場合があります。
表を見ると、階級が上がるにつれて本俸も高くなり、年収にも差が出てくることが分かります。
今回の計算では、三役呼出し以上は「約580万円~630万円未満」となります。ただし、上位の呼出ほど任される役割や責任も大きくなるため、実際には手当額もそれに応じて変わってくると考えられます。
退職金について
呼出の退職金については、具体的な金額を確認できる公表資料は見つかりませんでした。
旧資料では、年寄・力士・行司・職員など協会所属員に対する退職金支給規定は「別に定める」とされていますが、呼出の退職金額や計算方法までは確認できません。
「別に定める」と書かれているなら、退職金の制度自体はあると考えてよさそうね。金額は気になるところだけど、公表されていないなら、具体的には分からないということね。
そのため、この記事では「呼出の退職金はいくら」と断定せず、具体的な金額は不明としておきます。
ちなみに、他の裏方である「行司」「床山」の給料について解説した記事もあります。興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
階級について
では、「三役呼出し以上」とは具体的にどのような階級が存在するのでしょうか。ここでは、呼出しの階級と昇格条件について詳しく解説していきます。
呼び出しの階級は9つに分かれており、基本的には勤続年数に基づく年功序列の仕組みです。見習い期間を含めると、呼出しとしてのキャリアは約3年間の養成期間から始まります。その後、経験を積みながら各階級へと昇格していきますが、その昇格には特定の条件が定められています。
それでは、呼出しの階級と昇格条件を以下の表にまとめました。
| 階級 | 資格 | 定員 (全体で45名以内) |
|---|---|---|
| 立呼出 | 明記されていない | 1名 |
| 副立呼出 | 勤続四十年以上のもので成績優秀なもの、または勤続三十年以上 四十年未満のもので特に成績優秀なもの。 |
1名 |
| 三役呼出 | 同上 | 3名 |
| 幕内呼出 | 同上 | 7名以内 |
| 十枚目呼出 | 勤続三十年以上のもので成績優秀なもの、または勤続十五年以上 三十年未満のもので特に成績優秀なもの。 |
8名以内 |
| 幕下呼出 | 勤続十五年以上のもので成績優秀なもの、または勤続十年以上 十五年未満のもので特に成績優秀なもの。 |
なし |
| 三段目呼出 | 明記されていない | なし |
| 序二段呼出 | 明記されていない | なし |
| 序の口 (見習い期間三年) |
呼出しの新規採用は、義務教育を修了した満十九才までの男子で、 適格と認められる者から行う。 |
なし |
では、「成績が優秀な者」とは、具体的にどのように判断されるのでしょうか?
次に、その疑問について解説していきます。
成績が優秀な者とは?
日本相撲協会の規定によると、「呼出しの階級順位の昇降は、年一回、提出された考課表をもとに九月場所後の理事会で審議し、翌年度の番付編成を行う」と定められています。
つまり、呼出しの昇格や降格は年に1回、9月場所後の理事会で決定され、翌年度から適用されます。
なお、この考課表が誰によって評価されるか確認できませんでしたが、行司と同様に、毎場所や巡業ごとに審判部長や巡業部長が評価する方式であると推測されます。
なお、行司の階級や昇進について気になる方は、こちらの記事でくわしく解説しています。興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
昇格に影響する特別な要因
呼び出しの昇格は、基本的には年功序列の流れで進みます。ただし、実際には病気や退職、評価、空位の状況などによって、昇格が遅れたり、逆に一気に上の階級へ進むケースも存在します。
代表的な例を挙げると、次のようになります。
- 勲(いさお)
1994年7月場所に番付制が導入された際、十両呼出に指名されました。しかし、このころは病気で土俵に上がることができず、1995年には十両呼出の序列も下がっています。その後、同年に亡くなったため、十両呼出から上への昇格は叶いませんでした。 - 兼三(けんぞう)
1994年7月場所に三役呼出となり、1996年1月場所には副立呼出を経験せず、直接立呼出に昇進しました。通常の年功序列だけでなく、上位者の退職や空位の状況によって、飛び級のような昇格が起こることもあります。 - 次郎(じろう)
長く三役呼出として務め、「土俵作りの名人」とも呼ばれた呼出です。一方で、呼び上げの音程に関する評価などもあったとされ、長く三役呼出に留まった時期がありました。しかし、2024年1月場所からは副立呼出を経ず、三役呼出から直接立呼出へ昇進しています。
このように、呼び出しの昇格は年功序列が基本ではあるものの、病気や退職、空位の状況、呼び上げへの評価など、さまざまな要因が関係します。
呼出しさんの世界も、ただ長く続けていれば順番に上がるだけじゃないんだね。
声の通り方や呼び上げの評価、土俵づくりの技術、上の階級に空きがあるかどうか。そういう部分も昇格に関わってくるから、裏方とはいえかなり厳しい世界といえるね。
呼び出しの仕事内容
呼び出しの仕事は非常に多岐にわたり、相撲の進行に欠かせない存在です。本場所の裏で多くの業務をこなしており、その中でも特に重要とされるのが「呼び上げ」「土俵築」「太鼓打ち」の3つの役割です。
これらの業務は呼び出しの中心的な役割であり、それぞれが本場所や相撲の伝統を支える大切な仕事となっています。次に、その3大業務について解説します。
- 呼び上げ
⇒土俵下で控えている力士を呼び上げる。三役力士以上の取り組みは二声(2回名前を呼ぶ)で、それ以下は一声で呼び上げる。 - 土俵築(どひょうつき)
⇒土俵の構築は本場所や巡業先、各部屋の土俵も含めて、すべて呼び出しが中心となって行います。なお、土俵はすべて場所ごとに新しく作り直します。 - 太鼓打ち
⇒本場所の開始や終了などで太鼓が打たれますが、この太鼓打ちはすべて呼び出しが行います。
*太鼓打ちについては、下記の動画も参考になります。
その他の業務として、取組み中の合間に行われる土俵の整備(砂をならしたり、水を打つなどの管理)、懸賞旗の掲示、力士の制限時間を知らせるなど、幅広い仕事を担当します。
このように、呼び出しは土俵上の進行を支える重要な役割を担っており、階級が上がるにつれて任される業務や責任も増し、それに伴い給料も上がっていきます。
元力士 まさる
部屋の「土俵築」に関しては、僕たち力士も協力して作っていたなぁ。でも、土俵俵(どひょうたわら)や最終的な仕上げは、呼出しさんの技術がないとできないよね。
呼出しになるには?
呼出しになるには、日本相撲協会に採用され、相撲部屋に所属して見習いとして経験を積んでいく必要があります。
呼出しは、土俵下で力士の名前を呼び上げるだけでなく、土俵築や太鼓打ち、取組の進行を支える大切な仕事です。そのため、相撲界のしきたりや仕事を、部屋に所属しながら少しずつ覚えていくことになります。
呼出しになるための主な条件は、以下のとおりです。
- 義務教育を修了していること
- 満19歳までの男子であること
- 適格と認められること
- 相撲部屋の師匠となる親方に許可を得ること
- 日本相撲協会に採用されること
■呼出の定員は全体で45名以内とされています
※参考:根間弘海『詳しくなる大相撲』(専修大学出版局・2020年)
こうして見ると、呼出しは誰でも簡単になれる仕事ではなく、限られた人数で相撲界を支える、専門性の高い職種だということが分かります。
呼出しさんって、もっとたくさんいるのかと思っていたけど、全体ではかなり限られた人数なのね。
若いうちから相撲部屋に入り、少しずつ仕事を覚えていく職人さんのような世界なんだね。
また、呼出しの新規採用者には、見習いとして3年間の養成期間があります。この期間に、呼び上げの声の出し方、土俵の整備、太鼓打ち、取組の進行を支える動きなど、呼出しとして必要な仕事を学んでいきます。
なお、行司になる方法については、別記事で詳しくまとめています。呼出しとは職種が違いますが、相撲部屋に所属して採用を目指す流れや、見習い期間の考え方には共通する部分もあります。参考にしてみてください。
最近は密かに「イケメン」でも話題な呼出し界
呼出しは、取組を支える裏方の仕事というイメージが強いかもしれません。
しかし最近では、テレビ中継やSNSをきっかけに、呼出しさんの姿に注目する相撲ファンも増えています。力士の名前を呼び上げる声、土俵上での所作、きびきびとした動きなどに魅力を感じる人もいるようです。
さくら
たしかに、取組の合間に映る呼出しさんって、姿勢や動きがきれいな人も多いのよね。
力士だけじゃなくて、呼出しさんに注目してみるのも相撲観戦の楽しみ方のひとつかも♪
実際に、啓輔さん、総一さん、大将さんのように、見た目の印象や呼び上げの声、仕事ぶりで注目されている呼出しさんもいます。また、若手では安希隆さんのように、これからの呼出し界を担う存在にも注目が集まっています。
イケメン呼出しとして話題の方々や、それぞれの魅力については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
呼び出しについてよくある質問
Q1. 呼び出しの給料はどのように決まるのですか?
A. 呼び出しの給料は、本俸と手当で構成されているとされています。本俸は階級によって変わり、手当は個人の状況や評価などによって変わると考えられます。
Q2. 呼び出しの年収はどれくらいですか?
A. この記事では、階級別の本俸に初任給として確認できる手当額126,000円を加えて、おおよその年収を計算しています。ただし、実際の金額は手当の内容によって変わるため、参考としてご覧ください。
Q3. 呼び出しの退職金はいくらですか?
A. 呼出の退職金については、具体的な金額を確認できる公表資料は見つかりませんでした。旧資料では退職金支給規定は「別に定める」とされていますが、金額や計算方法までは確認できないため、この記事では具体的な金額は不明としています。
Q4. 呼出しになるにはどうすればいいですか?
A. 呼出しになるには、日本相撲協会に採用され、相撲部屋に所属して見習いとして経験を積んでいく必要があります。採用条件については、義務教育を修了していることや、年齢条件を満たすことなどが示されています。
Q5. 呼び出しの主な仕事は何ですか?
A. 呼び出しの主な仕事は、力士の名前を呼び上げること、土俵を築くこと、太鼓を打つことです。そのほかにも、土俵の整備や懸賞旗の掲出、取組の進行を支える仕事など、幅広い役割を担っています。
まとめ
呼び出しは、力士の呼び上げだけでなく、土俵築や太鼓打ち、取組の進行を支える大切な仕事です。
給料は階級や手当によって変わるとされ、上位の呼出になるほど責任も大きくなっていきます。ただし、現在の詳しい金額は公表情報だけでは分からない部分も多いため、この記事では確認できる資料をもとに、給料の仕組みを整理しました。
次に相撲を観戦するときは、力士だけでなく、土俵を支える呼出さんの動きにも注目してみてください。呼び上げの声や太鼓の音、土俵上での細かな動きに気づくと、本場所の見え方が少し変わるはずです。
今回も、ここまでお読みいただきありがとうございました。
それでは最後に、AI横綱くんのひと言で締めたいと思います。
呼出しは、土俵の主役ではないかもしれない。
だが、呼び上げの声、土俵を整える動き、太鼓の音。その一つひとつがあってこそ、本場所は滞りなく進んでいくんだ。
力士が土俵で全力を出せるのは、こうした裏方の支えがあるからこそ。次に相撲を見るときは、ぜひ呼出しさんの動きにも注目してみてくれ。
相撲の見え方が、きっと一段深くなるはずだ。
参考資料
- 公益財団法人日本相撲協会「事業報告書」
- 「財団法人 日本相撲協会寄附行為施行細則(平成8年11月現在)」
- 根間弘海『詳しくなる大相撲』専修大学出版局、2020年
※日本相撲協会の事業報告書では、呼出全員に月給制による給与を支給していることが確認できます。
※階級別の本俸額については、ネット上で確認できる旧資料を参考にしています。現在の規定・金額とは異なる可能性があります。
※『詳しくなる大相撲』は、主に採用条件や階級制度を確認する参考資料として使用しています。
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