現役時代は、毎日昼寝ができる兄弟子を羨ましく思っていました。
元力士のしんざぶろうです。こんにちは!
相撲界では、稽古後に「昼寝」をするのが一般的です。これは、稽古で疲れた体を癒し、さらに体を大きくするための重要な時間で、力士にとって欠かせない習慣なんです。
僕も現役時代、もちろん昼寝をしていました。ただ、先にお話しした通り、下っ端の力士は雑務が多くて、なかなか昼寝ができないこともしばしばありました。
でも、このサイクルをうまく乗り切って昼寝の時間を確保できないと、体力が回復しないまま次の日の稽古に臨むことになり、その結果強くなれず、出世も難しくなるんですよね。
そんな僕の体験を交えながら、この記事では力士にとって「昼寝」がどれほど効果的で重要なのか、詳しくお話ししていきます。ぜひ最後までお付き合いくださいね!
- 力士にとって昼寝がどれだけ重要か
- 昼寝の効果:体力回復、筋肉の修復、集中力の向上など
- 相撲界で昼寝がどのように取り入れられているか
- 昼寝が健康やパフォーマンスに与える影響
- 私たちの日常生活にも役立つ、昼寝のメリット
さくら
私は昼寝をすると一日がもったいなく思えちゃうのよね。
相撲界での昼寝の目的
相撲界では「稽古」だけでなく、「食事」や「休息」も非常に重要な役割を持っています。力士にとって、体力を維持し、さらに大きく強くなるためには、しっかりとした休息が欠かせません。
特に昼寝の大きな目的となるのが…
- 大きな体を維持するため
- 身体を大きくし筋力アップを図る
- 実は出世をするため
この3つだと言えます。
昼寝は単なる休憩時間ではなく、体力回復や筋力アップのための重要な時間で、ほぼほぼ全ての力士の生活に深く根付いています。
それぞれ大切なポイントですので、1つ1つ掘り下げて見てみましょう。
大きな体を維持するため
相撲では「大きな身体を維持すること」がとても大切です。あの巨体で激しい稽古をするわけですから、体への負担は相当なものです。だからこそ、ただ食べて鍛えるだけでは不十分で、しっかりと体のメンテナンスが必要になります。
そこで大事なのが、昼寝です!昼寝をすることで体力を蓄え、翌日の稽古や取り組みに備えることができるんです。昼寝がしっかり取れないと、次の日に十分な力を発揮できないこともあります。力士たちはこの休息時間を活用して、体力回復とともに、筋肉の修復も行っています。
身体を大きくし筋力アップを図る
筋力アップと聞くと、激しいトレーニングや高負荷の運動をイメージするかもしれませんが、実は「昼寝」も筋力アップに貢献しているんです。どういうことかというと、筋肉の修復と成長には「休息」が欠かせないんです。
稽古によって筋肉に高負荷がかかると、筋繊維が一度破壊されますが、その後の修復過程で筋肉はさらに大きく、強くなります。つまり、たくさん稽古して、栄養価の高いちゃんこ鍋を食べて、昼寝などでしっかり休息を取ることが、筋力アップや体を大きくするための理想的なサイクルなんです。
- 筋肉の修復時間
⇒筋トレや稽古で傷ついた筋繊維が、昼寝の間に修復されていきます。つまり、昼寝で体を休めている間にも、筋肉が成長しているんです。これ、かなり効率的ですよね。 - 成長ホルモンの分泌
⇒昼寝中に分泌される「成長ホルモン」は、筋肉の修復や肥大を促進します。だから、昼寝はただの休憩ではなく、筋力アップの重要な一環なんです。
昼寝が出世のカギ?
相撲界では、稽古だけでなく、「食べること」と「寝ること」も重要な稽古の一部と捉えられています。前述した通り、鍛えて食べるだけでは不十分で、休息がなければ身体は大きくも強くもなりません。その中で「昼寝」も非常に大切な役割を果たしています。
とはいえ、「寝ること」がイコール「休息」というわけではなく、ただ寝ていればいいというものでもありません。休息とは、広義で言えば「身体のメンテナンス」です。力士もプロのアスリートですから、自分の身体をしっかり管理し、ケアをすることが出世の鍵となります。
身体のケアを怠ると、ケガをするリスクが高まり、結果として出世に影響を及ぼしかねません。ストレッチやマッサージ、入浴などで自分の身体をしっかりいたわることが、長く強く活躍するために必要不可欠な要素と言えます。
力士はいつ昼寝をしている?
僕がいた部屋の一例として、下記にまとめましたが、これはあくまで目安です。稽古が長引くこともあれば、早く終わることもあり、いつも決まったスケジュール通りというわけではありません。
とはいえ、16時からの掃除や夕食準備の時間は固定されているため、昼寝の時間はどうしてもその前後で調整せざるを得ません。特に下位の力士(養成員)は雑務が多く、昼寝の時間が少なくなりがちです。そこで少しでも昼寝の時間を確保するために、皆で協力して雑務を効率よくこなす工夫をしていました。
- 稽古時間:5:30~11:30
- 入浴:11:30~13:00
- 昼食:12:00~14:30
- 昼寝14:30~16:00
- 掃除・夕食準備16:00~
ここで紹介したスケジュールは、ごく一部です。稽古休みの過ごし方や幕下以下力士の生活環境なども紹介した記事があります。興味がある方は、こちらも併せてご覧ください。
現役時代、実際に昼寝をしていた感想
- 起床は5:30 門限は21:30
- 本場所中は昼寝なし。休みなし。
- 昼寝しすぎると身体が重たく感じることも
僕は現役時代、昼寝ができるときは欠かさず昼寝をしていました。昼寝の時間は平均して1時間~2時間未満です。そして、夜の睡眠時間は、門限が21:30で、22:00に入眠したとしても、翌朝5:30には起床していたので、7~8時間ほどでした。
一般の人なら「昼寝なしでも十分寝てるじゃん」と思うかもしれませんが、毎日あれだけの稽古をしていると、昼寝なしでは全然足りなくて、どんどん疲労が溜まっていくんです。
実際、本場所が始まると、僕が所属していた部屋では昼寝ができなくなります。理由はシンプルで、親方や関取衆といった目上の方が本場所で働いているのに、下っ端が昼寝してるわけにもいかないからです。
しかも、千秋楽まで休みがないので、疲労がどんどん蓄積していき、稽古中や本場所への電車移動中に立ったまま寝てしまうこともよくありました。今振り返ると、あの頃はまさに極限状態だったと言っても過言ではありませんね。
一方で本場所がない月になると、昼寝もたっぷり取れるし、日曜日は休みなので体調も絶好調です。ただ、稽古が早く終わると、13時前から昼寝を始めて、気づけば16時の掃除まで3時間以上ガッツリ寝てしまうこともありました。そうすると、起きた時には頭がボーっとして体も重たく感じるんですよね。やっぱり、昼寝も長すぎると逆効果かもしれません。
それでも、しっかり昼寝を取れば夜のトレーニングもバッチリこなせるし、翌日の稽古にも集中して全力で臨めます。このサイクルがうまく回ることで、自然と強くなれるんでしょうね。やっぱり、力士にとって昼寝は欠かせない大切な習慣なんだと思います。
科学が証明する「昼寝の効果」
昔から相撲界では昼寝は当たり前でした。しかし、近年ではビジネスの世界でも昼寝を取り入れる企業が増えてきており、ビジネスでも習慣として定着しつつあるようです。
NASAの研究によると、たった26分の仮眠を取るだけで「認知能力」が34%もアップし、「注意力」が54%も向上するそうです!さらに、あのグーグルやアップル、マイクロソフトなどの世界的企業も、社員が仮眠できるスペースを完備しています。
そして、アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズは「仮眠ができない会社には行きたくない」とまで言っていたとか。昼寝、やっぱりすごいですよね!
さらに、医学的にも多くのメリットがあるとされています。医師や専門家によると、短時間の昼寝は集中力の向上やストレスの軽減、さらには記憶力の向上にも役立つそうです。特に、20~30分の昼寝が最適で、心身のリフレッシュに効果的だとされています。
昼寝は心臓にも優しい!?
実は、昼寝の効果はそれだけではありません。アテネ大学の研究によると、週に3回、30分の昼寝を取ることで、「心臓病のリスク」がなんと37%も減少するという結果が出ています!昼寝で体力回復や集中力アップだけでなく、健康面にも大きな効果があるなんて、もう昼寝をしない理由が見つかりませんね。
特に、身体が大きく、日々激しい運動を行う力士にとっては、心臓への負担も相当なものです。そう考えると、昼寝は力士にとってまさに理にかなった習慣と言えるでしょう。
- 20~30分の昼寝が最適
- 認知能力が約34%アップ
- 注意力が約54%アップ
- ストレスの軽減、心身のリフレッシュに効果的
- 週に3回、30分の昼寝を取ると「心臓病のリスク」が37%減少
元力士 まさる
まとめ
力士にとって昼寝は、単なる休息ではなく、体力を回復し、稽古や自主トレーニングに備えるための大切な時間です。身体をメンテナンスし、パフォーマンスを向上させるためには欠かせません。
医師や専門家も推奨するように、昼寝には集中力や記憶力の向上、ストレスの軽減など、様々な効果が期待できます。昼寝で心身をリフレッシュすることで、力士としての厳しい生活に対応できるようになる。この習慣こそ、力士たちが大きな身体と強さを維持する秘訣とも言えるでしょう。
この「昼寝」の効果は、力士に限らず、私たちの日常生活にも大いに役立ちます。短時間の昼寝を取り入れて、健康で若々しく、元気な毎日を過ごしていきたいですね。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。