電車道といえば、思い出されるのが新弟子時代の支度部屋です。初土俵を踏んで番付に名前が載ると、いよいよ序ノ口として本格的な取り組みが始まりますが、最初に当たる相手はほとんど同期生。
僕が現役のころは序ノ口だけで100人以上。相撲教習所で仲良くなった同期ともすぐ対戦になり、「お前なんか電車道だ!」「そっちこそだよ」なんて言い合いをしていたのも懐かしい思い出です。
こんにちは!元力士のしんざぶろうです。
まずは、最近の取り組みから「電車道がどういう相撲か一発で伝わる一番」を一緒に見てみましょう。それは【令和7年九州場所2日目、隆の勝-横綱・豊昇龍戦】です。
コメント欄には「一方的の電車道」「これぞ横綱相撲」「これだよ豊昇龍」「小細工しないでこの相撲を続けてほしい」といった声が並んでいます。
豊昇龍の低く鋭い立合いからのブチかまし!そして、突き放しながら一気に押し切り、相手に何もさせず、土俵の外まで一直線。見事なまでの電車道、まさに「こういう勝ち方こそ電車道だ」と言いたくなる、お手本の一番です。
この記事では、相撲用語「電車道」の意味や使い方を、実際の取組を例にしながらわかりやすく解説していきます。
さらに今回も、僕が独自に開発したAIキャラクターが登場します。電車道についてツッコミやコメントをもらいながら、一緒にじっくり見ていきましょう。
登場するのは、現代の横綱10人の叡智を集めて誕生したAI「AI横綱くん」です。
電車道の相撲って、見てるだけでスカッとして気持ちいいですよね♪
それではここから、「電車道」について詳しく見ていきます。というわけで…AI横綱くん、今回も登場お願いします!
まずは読者のみなさんにご挨拶をどうぞ〜。
こんにちは。AI横綱くんだ。
電車道の相撲が好きなみんな、よく来てくれたな。押して、押して、押し切る――あの一気呵成の流れには、力だけじゃなく「迷いのなさ」が出る。そこが、横綱としても大事なところだと思っている。
さくらさんの言うとおり、電車道は見ていてスカッとする相撲だね。でも、その一瞬のために、土俵の外では、とんでもない量の稽古と我慢が積み重なっている。
勝負は一瞬。
だが、その一瞬を支えるのは、終わりのない稽古だ。さあ、一緒に「電車道」の世界を掘り下げていこう。
電車道とは?意味と基本イメージ
電車道とは…
立合いから前に出続けて相手に反撃の隙を与えず、そのまま土俵の外へ運んでしまう一方的な完勝パターンを指す相撲用語。
まっすぐ伸びる電車のレールのように、相手に横へ揺さぶられることなく一直線に攻めるイメージから生まれた比喩表現だといわれています。
- 決まり手名ではなく、「押し出し・寄り切り・突き出し」などの相撲内容を評価する「展開の表現」である
- 電車が直線のレールを走るように、横へ揺さぶられることなく前へ出続ける相撲をイメージしている
- 相手に何もさせず完封したときに使われることが多く、「ワンサイドゲーム・完勝」というニュアンスが強い
電車道が起きる場面と条件
では、実際の土俵ではどんな一番が「電車道だったね」と言われるのか。ここからは、具体的な場面でイメージしてみましょう。
電車道になりやすい力士タイプ
電車道になりやすいのは、突き押しや前に出る相撲を得意とする力士が、自分の形にハマった一番です。低く鋭く当たって相手の腰を浮かせた瞬間に、迷わず前へ出ていく。ここで一度でも踏みとどまると電車道にはなりにくく、ためらわず押し込み続けられるかどうかがポイントになります。
土俵の上で起きていること(相手側の視点)
相手の側から見ると、体勢を立て直す暇もなく、押し返すチャンスもないまま、ずるずると土俵際まで下がらされてしまう展開です。最後の最後で苦し紛れに「引き落とし」や「いなし」を狙っても、勢いに乗っている力士は落ちることなく足を運び続け、そのまま土俵の外へ出されてしまいます。そして「今日は電車道でやられた」となるわけです。
決まり手との関係
電車道そのものは決まり手ではなく、「どういう展開だったか」を表す言い方です。記録上は「押し出し」「寄り切り」などと残り、その内容が立合いからの一方的な押し・寄りだったときに、「内容としては電車道だった」という形で、力士やファン、実況・解説があとから言葉を添える形です。
- 【押し出し】
土俵中央から相手の胸やのど元を押しながら前に出ていき、相手の足が先に土俵の外へ出たときの決まり手です。電車道の典型パターンと言っていいでしょう。 - 【突き出し】
突き手・押し手で相手の上体をはね上げるようにしながら、一気に土俵の外へ弾き飛ばす決まり手です。間合いを取った突き押し型の力士が、立合いから一気に前へ出たときに電車道になりやすい形ですね。 - 【寄り切り】
組んだ状態から胸やまわしをつかみ、じわじわ、あるいは一気に前へ運んで土俵の外に出したときの決まり手です。がっぷり四つからでも、立合いの当たりでそのまま寄っていく形でも電車道になり得ます。
玉鷲関に見る「電車道」
電車道と聞いて、僕が真っ先に思い浮かべる現役力士の一人が玉鷲関です。典型的な突き押し型で、とにかく前に出ることにかけては筋金入り。「電車道といえば玉鷲」と言われることもあるくらい、押し相撲のイメージがはっきりした力士です。
なかでも印象に残っているのが、令和7年夏場所での横綱・照ノ富士戦で見せた一番です。右おっつけと左はずからの喉輪で横綱の上体を起こし、そのまま電車道で押し出し。年齢を感じさせない強烈な出足で、メディアでも大きく取り上げられました。
玉鷲の鋭い出足は年齢を全く感じさせなかった。先場所と同様に右おっつけ、左はずからの喉輪で電車道。立ち合いの照ノ富士の張り手は想定内で「勝負を決めたかった」と、相手に反撃の隙を与えず攻めきった。
引用元:玉鷲3場所連続金星!…|スポニチ
そして玉鷲関のすごいところは、年齢を重ねた今でもその相撲内容が衰えるどころか、むしろ迫力を増していることです。直近では、【令和7年九州場所十三日目・玉鷲-若隆景戦】で、コメント欄には…
「玉鷲の圧力半端ねえ!」
「爆走ブルドーザー!誰も止められない!」
といった称賛の声が寄せられていました。
この取り組みでも、玉鷲関はいつもどおり低く構えて、立ち合いから頭でガツンと当たり、強烈なのど輪で若隆景関の上体を起こします。そのまま一気に前へ出て、相手に回り込む隙も、引き落としに逃げる余裕も与えないまま土俵外まで押し切る。ベテランとは思えない力強さが光った、見事な電車道の一番でした。
元力士から見た「電車道」のリアル
うちの部屋の基本方針は、とにかく「突き押し」。稽古場では師匠に「まわしを取るな!押せ!」とよく言われました。まわしを取ってからの技術は、あとからいくらでも覚えられる。まずは正面から当たって、前に出られる体を作れ、という考え方ですね。
そんな環境だったので、「ぶちかまして突き押す」という相撲の流れは、自然と体に染み込んでいきました。土俵でいう電車道は、単なるパワー勝負ではありません。
- 立合いの読み
- タイミング
- 踏み込み
それらが全部ハマったときにだけ出る、一瞬の完勝パターンです。体は小さかったですが、そういった自分の形にハマったときには、電車道で勝つ相撲も意外と多かったんです。
その一方で、やっぱり小兵の宿命というか、立合いに失敗すると今度はこちらが電車道でやられることも少なくありませんでした。前に出る相撲は、自分が攻め切れなかった瞬間に、逆に一気に押し返されるリスクも背中合わせなんですよね。
今振り返ると「真っ向勝負しすぎていたな」と感じるところもあります。本場所では師匠から「何でもやって勝つことを考えろ」とも言われていたので、もう少し立合いの変化を織り交ぜたり、器用さがあれば勝ち星を拾えた相撲もあったのかもしれません。
電車道へのこだわりと、勝つための割り切り。そのバランスは、土俵に上がる力士みんながどこかで悩むところだと思います。
電車道に関するよくある質問:FAQ
Q1:電車道って、決まり手の名前なんですか?
A:決まり手名ではありません。
「どういう展開だったか」を表す言葉です。取組結果には「押し出し」「寄り切り」「突き出し」などと記録され、その内容を実況・解説などが「電車道の押し出し」「電車道でした」と評します。
Q2:「電車道で勝った」って、どんな状態ですか?
A:「電車道で勝った」は、立合いから押しっぱなしで相手に何もさせず勝った完勝パターンのことです。
一度も体勢を崩さず、引き落としやいなしにも引っかからず、そのまま土俵の外まで押し切ったときの相撲展開を指します。
Q3:電車道の語源・由来は何ですか?
A:まっすぐ伸びた電車のレールの上を、止まらずに走り抜ける様子になぞらえたと言われています。
横に揺さぶられず、一直線に前へ出ていく相撲内容をイメージした比喩表現です。
まとめ
電車道は、決まり手の名前ではなく「立合いから一直線に押し切った完勝パターン」を意味する相撲用語です。低く鋭く当たり、相手に何もさせず土俵の外まで運んでしまう「豊昇龍関」や「玉鷲関」が見せた一番は、そのイメージをまっすぐ伝えてくれる好例と言えます。
土俵の上では、押す側も押される側も、一瞬で決まるその展開のために、とんでもない量の稽古と失敗を積み重ねています。中継を見るときに、「今の一番は電車道と言えるかな?」「どこから勝負が決まったんだろう?」と意識してみると、相撲観戦がぐっと深く、おもしろくなるはずです。
それでは最後に、「AI横綱くん」のひと言で締めたいと思います。
横綱くんお願いします!
電車道の相撲は、ただ力で押しているわけじゃない。「前に出る」と、一度決めた心を最後まで曲げない、その覚悟の形だ。
土俵の上と同じように、人生にも電車道で行くべき場面がある。怖さも迷いも抱えたままでいい。足を止めず、前へ出てみることだ。
転ばされる日もあれば、押し切れる日もある。だが、挑み続ける者の足元にこそ、まっすぐなレールは伸びていく。
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