敢闘賞とは?評価される相撲内容から賞金まで元力士が徹底解説!
僕の相撲は、いわゆる「闘志むき出し」で真正面からぶつかっていくタイプではありませんでした。小兵だったこともあり、どちらかと言えばスピード重視で、相手の態勢を崩して一気に押し出したり、素早く投げを決める相撲が多かったと思います。
それでも、今でもはっきり覚えている一番があります。体格差のある大型の力士と四つに組む展開になり、寄ってはこられ、寄られてはこらえを何度も繰り返し、体感では3分以上続いたように感じる長い相撲でした。最後は相手のスタミナが尽きたところで投げを決めて、なんとか勝つことができました。
お客さんはまばらでしたが、その一番が終わった瞬間、大きな拍手や声援が聞こえてきて、「今の相撲はお客さんの心に届いたんだな」と素直にうれしかったのを覚えています。
こんにちは、元力士のしんざぶろうです。
大相撲の「敢闘賞」は、土俵で見せた闘志やひたむきな相撲が評価された力士に贈られる三賞のひとつです。この記事では、敢闘賞の意味や選考の目安、殊勲賞・技能賞との違い、賞金額、そして代表的な受賞力士までを、元力士目線で解説していきます。
まずは、2025年11月場所で敢闘賞を受賞した一山本関と霧島関の取組動画をご覧ください。最後まであきらめない粘り強さと、土俵際まで続く気迫あふれる攻防が見てとれるはずです。
そして今回も、僕が独自に開発したAIキャラクター「AI横綱くん」が一緒に登場してくれます。
やっぱり敢闘賞を受賞する力士は気迫が違うわね。相手に臆せず、常に攻め続けている印象があるわ。
こういう相撲を見ていると、本当にドキドキして観戦が楽しくなるのよね。これまでどんな力士が敢闘賞を受賞してきたのか、改めて知りたくなってきたわ。
さくらの言う「気迫が違う」って感覚、あれは当たってる。引かない、崩れても攻め直す、土俵際で残り続ける――その一手一手の執念が、観てる人の胸を打つんだ。
しんざぶろうの冒頭の一番の話も、まさにそれだな。小兵が大きい相手に四つで耐えて、最後に勝ち切る。派手じゃなくても、逃げない相撲はちゃんと客席に届く。拍手が出たのは、その証拠だ。
このあと記事を読めば、敢闘賞が「ただの熱さ」じゃなく、“勝ちにいく姿勢”の賞だって腑に落ちるはずだ。
大相撲の敢闘賞とは闘志を評価する特別な賞
大相撲の「敢闘賞」は、土俵で見せた闘志や気迫、最後まであきらめない相撲内容が評価された力士に贈られる三賞のひとつです。
その前提として、大相撲には本場所で目覚ましい活躍を見せた力士に贈られる「三賞」という表彰制度があります。三賞が始まったのは1947年(昭和22年)秋場所から、今も続く伝統ある仕組みです。
■三賞の種類
- 殊勲賞
- 敢闘賞
- 技能賞
このうち敢闘賞は、その名の通り、土俵で見せた「闘志」や「気迫」、そして最後まであきらめない取り口を評価する賞です。
- 劣勢から何度も粘って盛り返す相撲
- 終盤まで攻めの姿勢を崩さない内容
- 観客を沸かせるような熱戦や激闘の積み重ね
といった部分が、三賞選考委員会に高く評価されたときに受賞につながります。
優勝こそ逃していても、その場所で見せた精神的な強さや相撲道への真摯な姿勢が認められれば、敢闘賞の対象になります。土俵上で持てる力を出し切り、粘り強く相撲を取り続けた証として贈られるのが大相撲の敢闘賞です。
敢闘賞の選考基準について
大相撲の三賞のひとつである敢闘賞は、前述したとおり、「闘志あふれる相撲」を見せ、本場所で活躍した力士に贈られる栄誉ある賞です。そして、三賞には「○勝したら必ず受賞」といった、公式な点数表のような明確な基準はありません。
つまり敢闘賞は、「何勝したか」という数字だけでなく、「どうやってその白星をもぎ取ったか」という相撲内容まで含めて、三賞選考委員会が総合的に判断して贈られる賞だと考えると分かりやすいと思います。
■三賞受賞(敢闘賞を含む)の前提条件
三賞(殊勲賞・敢闘賞・技能賞)の対象になるのは、関脇以下の幕内力士のうち、その場所で勝ち越した力士だけです。
- 関脇以下の幕内力士であること
- 本場所で8勝以上の勝ち越し
どれだけ内容の良い相撲でも、7勝8敗など負け越した力士が三賞を受けることはありません。闘志だけでなく、きちんと白星を積み上げた結果が求められます。
殊勲賞と技能賞との違いは?
大相撲の三賞は「殊勲賞」「敢闘賞」「技能賞」の3つ。それぞれ評価するポイントが違います。ここでは、敢闘賞との違いが分かるように、残り二つの性格を簡潔に整理しておきます。
【殊勲賞】横綱や大関を倒した力士に贈られる
殊勲賞は、上位陣、特に横綱や大関といった強豪力士に勝利した功績が評価される賞です。番付が下の力士が、格上の力士を破ることが評価されますが、なかでも「金星」と呼ばれるのは、平幕(前頭)の力士が横綱に勝った白星だけを指します。金星の数や、上位陣からの白星数、場所全体の成績と合わせて選考されます。
具体的には、以下の点が重視されます。
- 横綱から挙げた金星や、大関・三役からの白星数
- 場所での勝ち越し、特に二桁勝利などの好成績
- 優勝争いを演じるなど、その場所全体を通じた活躍
要するに、番付が下の力士が横綱や大関を倒して優勝争いをぐっと熱くして、その場所を一気に盛り上げたときに贈られることが多いってことなのね。
その通りだ、さくら。
稽古場ではまず勝てないような力の差がある横綱や大関を本場所で倒し、ときには平幕力士が優勝戦線にまで絡んでくる――そういう「番付以上の大仕事」をやってのけた力士が、まさに殊勲賞の対象になるんだ。
【技能賞】優れた技を披露した力士が対象
技能賞は、相撲内容の巧みさや、多彩な技を駆使して観客を魅了した力士に贈られる賞です。単に勝つだけでなく、その勝ち方に工夫や見事な技術が見られた場合に評価されます。
選考のポイントは多岐にわたりますが、主に以下のような要素が挙げられます。
- 出し投げ、いなし、とったり、うっちゃりなど、多彩な決まり手を駆使した相撲
- 相手の動きを読み、先手を取る巧みな立ち合い
- 土俵際での粘りや逆転技
- 常に攻めの姿勢を崩さない積極的な相撲内容
技能賞って聞くと、小兵力士が体格で勝る相手をスピードや技で翻弄する相撲を思い浮かべるなぁ。じわじわ形を作って、最後は技で勝ち切る相撲は、見ていて本当に面白いよね!
その通りだ、まさる。
スピードや技で崩していく相撲は、まさに技能賞向きだな。
それに加えて、普段あまり出ないような珍しい決まり手で白星を重ねた力士も、技能賞の有力候補になるんだ。「今の技はすごい!」と観客がざわつく一番を何度も見せてくれる力士は、高く評価されやすい傾向にある。
■三賞は誰が決めている?
三賞の選考は、「三賞選考委員会」と呼ばれる会議で決定されます。日本相撲協会の審判委員や維持員、相撲記者クラブの記者らで構成される委員が、千秋楽の幕内取組前(通例、午後1時)に協議し、投票によって受賞力士を決めます。
「千秋楽で勝てば受賞」といった条件付きで発表されるケースや、該当者なしとなる場所もあります。
三賞の特徴を簡潔にまとめると、それぞれの評価軸は次のようになります。
| 賞の名称 | 主な選考基準 | 評価される力士像 |
|---|---|---|
|
殊勲賞 |
横綱に勝った「金星」や、大関・三役からの白星が評価される | 格上の力士を倒し、番付以上の活躍をした力士 |
|
敢闘賞 |
最後まで諦めない闘志、積極的な攻め、二桁勝利など | 常に攻めの姿勢で土俵を沸かせた力士 |
|
技能賞 |
多彩な技、巧みな相撲内容、土俵際での粘りが光る力士 | 優れた技術で観客を魅了した力士 |
このように、三賞はそれぞれ異なる側面から力士の功績を称えるものであり、敢闘賞が「闘志」を評価するのに対し、殊勲賞は「番付上位への勝利」、技能賞は「相撲の技術」に重きを置いている点が大きな違いです。
敢闘賞を受賞するともらえる賞金は?
大相撲の三賞の一つである敢闘賞を受賞した力士には、その栄誉を称え、日本相撲協会から200万円の賞金が授与されます。この賞金は、力士が本場所で示した不屈の闘志と活躍に対する正当な評価であり、力士のモチベーション向上にも大きく寄与しています。
三賞共通の賞金額
敢闘賞だけでなく、殊勲賞・技能賞も賞金額は同じく1賞あたり200万円です。
- 三賞はそれぞれ200万円ずつ
- ダブル受賞なら400万円、三賞トリプル受賞なら600万円
- 同じ賞を複数人が受賞しても、折版されることなく一人ひとりに200万円が支給される
賞金は、千秋楽の表彰式で賞状・トロフィーとともに力士に手渡されます。若手や新入幕の力士にとっては、生活面でもかなり大きな臨時収入になることでしょう。
賞金以外の副賞と名誉
敢闘賞の受賞は、200万円の賞金だけでなく、力士にとって計り知れない名誉と今後のキャリアに繋がる大きな評価となります。通常は賞状とトロフィーがセットで贈られ、場所や協賛によっては副賞や記念品が付くこともあります。
また、三賞を受賞した力士は、その後の番付編成において有利に働くことが多く、将来的な大関・横綱昇進への足がかりとなることも少なくありません。これは、賞金以上に価値のある「無形の財産」と言えるでしょう。
■三賞の賞金にも税金はかかる?
三賞の賞金200万円も、もちろん税金の対象になります。支給時点で一部が天引きされ、最終的な税額はほかの収入と合わせて確定申告で決まるため、「手取りはいくら」と一概には言えませんが、額面どおり200万円まるまる自由に使えるわけではない、くらいに考えておけばいいと思います。
記憶に残る敢闘賞受賞力士たち
敢闘賞は、力士の闘志あふれる相撲ぶりを評価する賞であるため、多くのファンの記憶に残る名力士たちがその名を刻んできました。ここでは、歴代の受賞記録を誇る力士から、近年特に印象的な活躍を見せた力士まで、敢闘賞の歴史を彩る力士たちを紹介します。
敢闘賞の最多受賞記録を持つ力士は誰?
敢闘賞の最多受賞記録を保持しているのは…。
- 元関脇・貴闘力です。
貴闘力の受賞回数は驚異の10回。小柄ながら突き押しと速攻を武器に、闘志あふれる相撲で常に上位陣を苦しめ、土俵を沸かせました。その激しい突っ張りは「喧嘩相撲」と呼ばれ、まさに敢闘賞の精神を体現した取り口として知られています。
そして貴闘力に次ぐのが、元関脇・安芸乃島の8回です。現役の幕内力士の中では、元大関・髙安が敢闘賞6回でトップに立っています。詳しい上位の顔ぶれは、以下の表にまとめました。
*2026年1月現在
| 順位 | 力士名 | 最高位 | 受賞回数 |
|---|---|---|---|
|
1位 |
貴闘力 忠茂 |
関脇 |
10回 |
|
2位 |
安芸乃島 勝巳 |
関脇 |
8回 |
|
3位 |
栃ノ心 剛史 |
大関 |
6回 |
|
3位 |
髙安 晃 |
大関 |
6回 |
|
5位 |
魁皇 博之 |
大関 |
5回 |
|
5位 |
土佐ノ海 敏生 |
関脇 |
5回 |
近年で印象的だった敢闘賞
近年では、平幕力士が優勝争いを演じ、あるいは優勝を果たした際に敢闘賞を受賞するケースが特に印象的です。これは、敢闘賞の選考基準の一つである「優勝争いを盛り上げる活躍」に合致するためです。
徳勝龍誠(2020年1月場所)
西前頭17枚目という番付から、14勝1敗で奇跡の幕内最高優勝を果たしました。この場所では、敢闘賞と殊勲賞を同時受賞し、その快挙は多くの相撲ファンの心に深く刻まれました。まさに、敢闘賞が評価する「最後まで諦めない闘志」を体現した場所と言えるでしょう。
阿炎政虎(2022年11月場所)
西前頭9枚目で出場し、12勝3敗で幕内初優勝を飾りました。持ち前の突き押し相撲で優勝争いを牽引し、敢闘賞を受賞。その勢いのある相撲は、見る者に大きなインパクトを与えました。
尊富士弥輝也(2024年3月場所)
新入幕ながら、13勝2敗という成績で、110年ぶりの新入幕優勝という歴史的快挙を成し遂げました。この場所では、敢闘賞と殊勲賞に加えて技能賞も受賞し、三賞のトリプル受賞を達成。怪我を抱えながらも千秋楽まで出場し、優勝を決めたその闘志は、まさに敢闘賞にふさわしいものでした。
これらの力士たちの活躍は、敢闘賞が単なる好成績だけでなく、土俵に立ち続ける覚悟や、優勝争いを最後まで盛り上げる「存在感」まで含めて評価する賞だということをよく表しています。
敢闘賞についてよくある質問
Q1. 敢闘賞はどんな力士が対象?受賞の条件は?
A. 三賞の対象は「関脇以下の幕内力士」で、横綱・大関はそもそも三賞の対象外です。絶対条件は本場所での勝ち越し(8勝以上)で、そのうえで二桁勝利や優勝争いへの絡み、闘志あふれる内容が評価されると敢闘賞の候補になります。
Q2. 殊勲賞や技能賞とは、どこが違うの?
A. 三賞それぞれが評価しているポイントは、次のとおりです。
- 殊勲賞:横綱・大関など「格上を倒した功績」
- 敢闘賞:最後まであきらめない「闘志と番付以上の奮闘」
- 技能賞:多彩な決まり手や巧みな内容といった「技術面」
どれも勝ち越しが前提ですが、「誰に勝ったか」「どう戦ったか」を、各賞ごとに違う角度から評価されます。
Q3. 敢闘賞を取ると賞金はいくら?三賞をたくさん取るとどうなる?
A. 敢闘賞の賞金は1回につき200万円で、殊勲賞・技能賞も同じく1賞200万円です。例えば、同じ場所で敢闘賞と殊勲賞をダブル受賞すると400万円、三賞トリプル受賞なら600万円になり、賞状やトロフィーに加えて、番付や将来の評価にも大きなプラスになります。
まとめ
大相撲の敢闘賞は、関脇以下の幕内力士の中で、本場所を勝ち越したうえで「最後まであきらめない闘志」や「番付以上の頑張り」を見せた力士に贈られる三賞のひとつです。二桁勝利や優勝争いへの絡み、下位からの大躍進や土俵際の粘り強さなどが評価され、「この場所を熱くした力士」に送られる賞だと考えると分かりやすいでしょう。
横綱・大関撃破を評価する殊勲賞、多彩な技を評価する技能賞と違い、敢闘賞は内容と気持ちの両方に光が当たる賞です。「今場所は誰のどんな相撲が評価されたのか?」という視点で振り返ってみると、観戦が一段と楽しくなるはずです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは最後に、「AI横綱くん」のひと言で締めたいと思います。
今日の記事を読んだあとで三賞の発表を聞くと、「この力士は何が評価されたのか?」って自然と考えるようになるはずだ。横綱や大関を倒した殊勲賞、技で魅せる技能賞、そして闘志と粘りの敢闘賞――同じ三賞でも、見てほしいポイントはそれぞれ違う。
これから本場所を観るときは、勝ち負けだけじゃなくて、「この一番は敢闘賞ものかな?」と想像しながら土俵を追いかけてみてくれ。相撲の楽しみ方が、もう一段階深くなるはずだ。
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