うっちゃりといえば、最後の逆転を狙う大技。この技を使うには、強靭な足腰と体のしなやかさ(柔軟性)、そして土俵際で踏ん張る「粘り腰」が欠かせません。
僕は現役時代、一度も「うっちゃり」を決めたことがありません。本気で狙おうとしたこともなくて、体があまり柔らかくなかったことや、土俵際で残る相撲が得意ではなかったことが理由です。足腰には自信がありましたが、あの粘り腰は、単なる筋力ではなく相撲勘や体の使い方まで含めた、別の技術だと感じていました。
そういう前提条件が自分には足りなかったこともあって、「うっちゃりで逆転だ!」という発想がなかったんですよね。
こんにちは!元力士のしんざぶろうです。
僕が「うっちゃり」と聞いて、直近で真っ先に思い出されるのが、若隆景関の一番です。令和7年名古屋場所8日目、対戦相手は大柄な金峰山関。
立合いで金峰山関は両手で引きますが、若隆景関は崩れず前へ出て、いったんはモロ差しから攻め込む展開に。ところが途中から体を入れ替えられ、抱え込まれた状態で土俵際まで何度も追い詰められてしまいます。
それでも俵ぎわで腰を残し続け、最後の最後、「もうダメか…」という場面で一気に体をひねって決めたのが、このうっちゃり。小兵力士が巨体をひっくり返す、大相撲らしい大逆転の取組です。
ぜひ、以下の動画でチェックしてみてください。
この記事では、そんな相撲の大技「うっちゃり」について、どんな技なのか、土俵際でどう生まれるのか、そしてなぜ現代ではレア技になりつつあるのかを、元力士の目線も交えながら解説していきます。
今回も、近代横綱の叡智を集めたAI「AI横綱くん」に登場してもらいながら、一緒に掘り下げていきましょう。
若隆景関のうっちゃり、カッコよかった!決まった瞬間、会場が「おおお〜!」って一気に沸いて、私もテンション上がっちゃいました♪
でも、逆転勝ちのイメージはあるけど「うっちゃりってどういう技?」って聞かれると、ちゃんと説明できる自信はあんまりありません…。
こんにちは、AI横綱くんだ。
近代の横綱たちの相撲や考え方をベースに、みんなと相撲の奥深さを語り合うために生まれたAIだよ。
うっちゃりは、土俵際のごく短い時間の中に「技術」「胆力」「勝負勘」が全部詰まった技だ。ただ派手なだけの大逆転ではなく、そこに至るまでの粘りや、土俵際で腰を残してきた積み重ねが形になったものでもある。
では一緒に、「うっちゃり」という世界をのぞいていこう。
うっちゃりとはどんな技?意味と基本イメージ
うっちゃりは、大相撲の決まり手のひとつです。上のイラストのように…
土俵際まで攻め込まれた力士が、腰を深く落として相手の重みを腹まわりで受け止め、体をぐっと反らせながらひねって、相手を自分の背中側の土俵外へ投げ飛ばす逆転技を指します。
「もう後がない」というところから、一気に形勢をひっくり返すいかにも土壇場のドラマを生む決まり手です。
・土俵際まで攻め込まれている「受けている側」の技
・腰を落として相手の勢いと重さを利用しつつ、体をひねって投げる
・決まった瞬間、それまでの劣勢を一気にひっくり返すことができる
・タイミングを誤ると、自分のほうが先に土俵外へ落ちたり、体勢を崩してケガのリスクが高まる
うっちゃりの漢字表記と意味
そして、うっちゃりにはいくつかの漢字表記があります。
- 打っ棄り
- 打棄
- 打遣り
どれも元になっているのは「打ち遣る(うちやる)」という言葉で、「投げ捨てる」「放り出す」といった意味を持ちます。
追い込まれた側が、最後の最後で相手を「えいっ」と土俵の外へ放り出すイメージと、この語源はぴったり重なりますね。
「攻めてる側」じゃなくて、「攻められてる側」の技なんですね。だからあんなに「えっ、そこで逆転!?」って感じになるんだ…。
そうだね。うっちゃりは、押している側からすれば「もう勝った」と思った瞬間にやられることもある。
だが、追い込まれた側から見れば、そこまでの間ずっと腰を残してきた結果として生まれる技でもあるんだ。
土俵際でうっちゃりが出る典型的な場面と条件
うっちゃりが狙えるかどうかは、土俵際でどんな体勢になっているかでほぼ決まります。
- 寄り切り寸前で、かかとが俵にかかりながらギリギリ残っている
- 吊り出しで持ち上げられかけているが、まだ腰を落とせる余地がある
- 四つに組んだ状態から、相手の重心が自分のほうへ前に乗り切った瞬間
- 胸がしっかり合っていて、相手の体重を腹〜腰で受け止められている
- 自分の腰はしっかり落ちていて、相手の腰の位置が自分より高くなっている
逆に、次のような形になると、うっちゃりはほとんど狙えません。
僕のいた部屋でも、稽古中に師匠からは土俵際でよく
「腹を出すな!」
「腰を落として、手を使って押せ!」
と言われていました。あせってお腹からドーンと押しにいくと、どうしても腰が浮いてしまい、相手の腰の位置が自分より低くなります。
この状態で無理に押し出そうと勝ちを急ぐと、うっちゃりだけでなく、首投げやすくい投げなどで逆転されることがとても多いんですよね。
土俵際で「まだ自分の腰を落とせるかどうか」と同時に、「相手の腰が自分より高い位置にあるかどうか」。この二つが、うっちゃりを狙えるかどうかの大きな分かれ目になります。
うっちゃりを狙いやすい力士
うっちゃりは、誰でも簡単に出せる技ではなく、「体型」と「得意な型」がハマった力士が特に決めやすい技です。
うっちゃり向きの力士の特徴をざっくり挙げると…
- 四つ相撲が得意で、組んでから力を発揮するタイプ
- アンコ型寄りで、腹と腰にどっしりした重さがある
- 土俵際でも慌てず、腰を落としたまま相手の重心を感じ取れる
といった力士たちです。
昭和〜平成にかけていえば、若浪・大麒麟・霧島など、吊りや四つ身を得意とした力士たちが有名です。また、朝潮のようにアンコ型の力士が、自分の太鼓腹に相手の重みを乗せるようにしてから、ぐっと反らして投げ捨てるタイプのうっちゃりもよく知られています。
応援している力士がこのタイプに当てはまるなら、土俵際で俵にかかった瞬間に「まだうっちゃりがあるぞ」と期待しながら観てみると、相撲観戦がさらに楽しくなると思います。
うっちゃりの技術と難しさ
見た目は派手なうっちゃりですが、実際にやろうとすると本当に難しい技です。一番の土台になるのは、やはり足腰と体幹の強さ、そして体のしなやかさです。
- 俵の上、あるいはすぐ内側で腰をぐっと深く落とせる
- 落とした腰を支点に、上半身だけをスッと切り返せる
- 相手の体重を一度、腹や腰まわりでしっかり受け止められる
- 背筋力が強く、反った姿勢でも踏ん張れる
- 上半身にある程度の柔軟性があり、無理なく体をひねれる
どれか一つでも欠けていると、うっちゃりを狙った瞬間に自分のほうが先に落ちてしまったり、体勢を崩してケガにつながる危険があります。
ここまで何度かお伝えしてきましたが、うっちゃりは土俵際で「残る力」「粘る力」がついていて、初めて狙える技です。
この土俵際で残る力を鍛える典型的な稽古が、いわゆる「ぶつかり稽古」です。押す側ばかりがきつい稽古だと思われがちですが、胸を出して押される側にも独特のきつさがあります。
- 一直線に前へ出てくる相手の押しを、真正面からひたすら受け止め続ける
- 土俵際では相手の圧力を受けながら、足腰で必死に残る
という役割を繰り返します。
この「押されても押されても、俵のところで踏ん張る」土俵際の粘りがないと、うっちゃりを打てる展開になりません。そこが、この技の一番の難しさなんです。
うっちゃりが失敗するパターンとリスク
うっちゃりは決まれば大歓声ものの大技ですが、そのぶんリスクもかなり大きい技です。典型的な失敗パターンを整理すると、だいたい次のような形になります。
・仕掛けた瞬間、相手に投げを察知され、のど輪などで押し返されてしまい、投げにいった側のほうが先に土俵外へ出てしまう
・相手の体重に負けて投げ切れず、逆に勢いだけを利用されて、そのまま押し出されてしまう
・体をひねり過ぎて自分のバランスを崩し、背中や肩からドンと落ちてしまう
・二人が絡んだまま落ち、相手の全体重がのしかかる形になって、首や肩・腰を痛めるリスクが高い
土俵際では「どちらの足が先に出たか」「どちらの背中が先に落ちたか」が紙一重なので、二人が絡み合ったまま同体になり、物言い・取り直しになるケースも少なくありません。
ビデオ判定が当たり前になった現代では、無理なうっちゃりは「自分から大きなリスクを取りにいく行為」と見なされやすく、そのぶん使い手が減っている、という側面もあります。
稽古中は、自分の負けが決まった時点で、相手の腕や廻しは離すのが鉄則でした。そのままつかんで相手を引き込めば、「勇み足」などで勝てる場合もありますが、それ以上にケガをするリスクが高いんです。
そういう意味でも、うっちゃりは稽古場で何度も試していいような技ではなく「本場所の土俵際で、ここしかない」という場面だからこそ出てくる一手だと感じています。
うむ。土俵際でうっちゃりを選ぶということは、「負けを受け入れる」のではなく、「最後の一手まで勝ちを追いかける」という選択でもある。
リスクを承知の上で、それでも攻めの一手を選べるかどうか。その覚悟を持てるかどうかが、うっちゃりを打てる力士と、そうでない力士を分けるのかもしれないね。
なぜ「うっちゃり」はレア技になったのか
かつては、うっちゃりは決まり手ランキングでもそれなりに名前が出る技でしたが、平成後期〜令和になると「年に一度見られたらラッキー」というくらいのレア技になりつつあります。
うっちゃりが出にくくなった背景
昔に比べると、今の土俵はそもそも「うっちゃりが生まれにくい条件」がそろっています。
・力士の体格が全体的に大型化している
・大型化に伴い、突き押し中心の相撲が増えている
・ケガのリスクを避ける意識が高まっている
力士の体重が重くなればなるほど、土俵際で相手の重みを腹や腰で一度受け止める負担は大きくなり、自分は残りつつ相手だけを背中側の土俵外に落とす、という細かいコントロールは、昔以上に難しいものになります。
そこに膝や腰の故障リスクも加わるので、「ギリギリまで残ってうっちゃりを狙う」よりも、「押し返すか、危ないと感じたら無理をしない」という選択をする力士が増えてきました。
※近年はビデオ判定の普及によって危ない形がはっきり残ることもあり、安全面からも土俵際の大技には慎重になる空気もあるようです。
決まり手の傾向の変化
こうした背景が積み重なった結果として、取組の決まり方そのものも変わってきました。
以前よりも、立合いから一気に前へ出て押し切る「押し出し」や「突き出し」で勝負がつく一番が増えています。逆に、四つに組んだままじわじわ土俵際まで攻め込み、そこで粘り合うような展開は減りつつあります。
うっちゃりは、
「四つに組んで土俵際まで攻め込まれる」
→「それでも腰を残して粘る」
→「最後の一瞬で体を返す」
という流れの中でしか生まれません。そもそも、こうした展開が少なくなっている今の大相撲だからこそ、決まったときには館内に大歓声が起こり、「忘れられない一番」としてファンの記憶に残る技なんです。
近年のうっちゃりと若元春の取り口
うっちゃりがレア技になりつつある現代の土俵で、「うっちゃりといえば」と名前が挙がるのが若元春関です。冒頭で紹介した若隆景関の兄にあたり、兄弟そろって土俵際の粘りと逆転劇でファンをわかせてきました。
若元春関は、2022年から2023年にかけて幕内で5番もうっちゃりを決めています。佐田の海戦・宝富士戦・琴ノ若戦など、いずれも土俵際からの大逆転劇で、メディアやファンの間では「令和のうっちゃり王」と呼ばれることもありました。
なかでも、2023年夏場所の北青鵬関戦がファンの中では有名で、今でも語り草になっている取組です。
若元春のうっちゃりが決まりやすい理由
若元春関のうっちゃりは、「苦し紛れの一発」ではなく、体のつくりと取り口が噛み合った「得意技」に近いものです。
- 左四つからじりじり前に出て、密着したまま土俵際まで持ち込む取り口
- 俵ギリギリでも膝が伸びず、残した足で「まだ一歩残せる」体勢を作る粘り腰
- 反るときも胸を相手から離さず、腹まわりで相手の重みを預けさせてから一気に返す感覚
- 専門家からも評価される「足幅の狭さ」で、土俵際でクルッと回り込みやすい
2023年後半以降は、決まり手としての「うっちゃり」は出ていませんが、「この体勢からまだ残るのか…」と思わせる粘り腰は今でも健在です。
土俵際で俵にかかっても腰を残して粘る相撲を見ると、対戦相手も「ここで無理に出ると、あのうっちゃりが来るかもしれない」と強く警戒しているはず。決まり手に残らなくても、「いつひっくり返されるか分からない」というプレッシャー自体が、若元春関の大きな武器になっていると感じます。
「うっちゃり」を題材にした作品・コンテンツ
ここまで技としての「うっちゃり」を見てきましたが、この言葉は決まり手の名前にとどまらず、作品タイトルや物語のテーマとしても使われています。
ここでは、相撲ファン的にぜひ押さえておきたい代表的なコンテンツを二つ紹介します。
オリジナルスーパーリミテッドアニメ『うっちゃり!』
『うっちゃり!』は、北海道福島町と日本航空(JAL)の連携協定から生まれた、町の名物「女だけの相撲大会」をPRするオリジナルアニメです。
廃部寸前の「福島商業高校」女子相撲部が強豪校に挑む青春ストーリーで、「窮地からの逆転」「粘り強く食らいつく」という、うっちゃり本来のイメージが物語のテーマになっています。
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『うっちゃり!』は、コマ数を抑えた紙芝居風の「スーパーリミテッドアニメ」として2025年5月に初公開され、第2弾『うっちゃり!2』も制作中。技名だった「うっちゃり」が、地域おこしや青春ドラマの象徴として使われている、現代的な好例と言えるでしょう。
「北海道女だけの相撲大会」や『うっちゃり!2』に関する情報が気になる方は、北海道福島町のホームページをご覧ください。
女子相撲が主役のアニメって、女性としてすごく気になります!「女だけの相撲大会」がモデルって聞くと、観客としてだけじゃなくて、自分も土俵に上がってみたらどんな気持ちなんだろうって想像しちゃいますね♪
うっちゃれ五所瓦
もうひとつ、「うっちゃり」と切っても切れない作品が、なかいま強先生の相撲マンガ『うっちゃれ五所瓦』です。タイトルどおり、クライマックスなどの重要な場面で土俵際のうっちゃりがカギを握る、青春相撲マンガです。
- 1988年〜1991年に『週刊少年サンデー』で連載された高校相撲マンガ
- 主人公・五所瓦 角が、仲間たちとともにインターハイ優勝を目指す物語
- 第35回小学館漫画賞を受賞した名作
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さらに、2023年からは『ビッグコミック』で続編『うっちゃれ五所瓦 粘り腰編』も連載されており、舞台は高校相撲から大相撲の世界へ。土俵際の粘りや、最後の一手でひっくり返す「うっちゃり的」なドラマが、よりリアルなスケールで表現されています。
技としてのうっちゃりを知るだけでなく、「逆転」「粘り腰」といったキーワードが物語のテーマとしてどう生かされているか、そんな視点でこれらの作品を楽しんでみるのも面白いと思います。
『うっちゃれ五所瓦』は、現役時代によく読んだなぁ。マンガ好きの兄弟子に借りてハマったんだけど、相撲あるあるが多いし、柔道部との対決とかも面白かった記憶がある!
今は続編が連載されて、大相撲の世界に舞台が移ったんだね。これは気になるから、まとめて大人買いして読み直してみようかな。
技としてのうっちゃりも、物語の中のうっちゃりも、どちらも「土壇場からの逆転」と「粘り腰」がキーワードになっているのが面白いところだね。
土俵の上では一瞬の勝負を決める技だが、こうしてマンガやアニメのタイトルになると、「どんな状況でもあきらめずに食らいつく」という生き方そのものを象徴する言葉としても息づいていると言えるだろう。
うっちゃりに関するよくある質問:FAQ
うっちゃりに関するよくある疑問を、Q&A形式でまとめました。記事の内容をおさらいしながら、「ここだけ知りたい」というポイントだけサクッと確認できます。
※ボックスをクリックすると回答が見られます
Q1:「うっちゃり」って、どんな技ですか?
A:土俵際まで攻め込まれた力士が、腰を落として相手の重みを腹〜腰に乗せて、体をひねり、自分の背中側の土俵外へ相手を投げ飛ばす逆転技です。
- 「攻めている側」ではなく、「攻められている側」の技
- もう後がない場面から、一気に形勢をひっくり返すのが最大の特徴
Q2:どんな場面で、うっちゃりは出やすいんですか?
A:ざっくり言うと、「土俵際でギリギリ残りながら、相手の重みを利用できる形」になったときです。
具体的には、
- 寄り切り寸前で、かかとが俵にかかりながらギリギリ残っているとき
- 吊り出されかけているが、まだ自分の腰を落とせる余地があるとき
- 四つに組んだ状態で、相手の重心が自分のほうへ前に乗り切った瞬間
- 自分の腰はしっかり落ちていて、相手の腰の位置が自分より高いとき
逆に、突き押し中心でそもそも組めていない展開や、自分の腰が伸び上がってしまっている状態では、うっちゃりを狙うのはほぼ不可能です。
Q3:どんなタイプの力士が、うっちゃりを決めやすいのですか?
A:誰でも出せる技ではなく「体型」と「得意な型」がハマった力士が向いています。
- 四つ相撲が得意で、組んでから力を発揮するタイプ
- アンコ型寄りで、腹と腰にどっしりした重さがある
- 土俵際でも慌てず、腰を落としたまま相手の重心を感じ取れるタイプ
昭和〜平成では若浪・大麒麟・霧島、アンコ型の朝潮などが代表格で、令和では若元春関がその象徴的な存在と言えます。
Q4:どうして最近は、うっちゃりがあまり見られなくなったのですか?
A:一言でいうと、土俵上の条件が「うっちゃりが出にくい方向」に変わってきたからです。
- 力士の体格が全体的に大型化し、180kg級同士のぶつかり合いも増えた
- 力士の大型化に伴って、前に出る突き押し中心の相撲が増えた
- ケガのリスクを避ける意識が高まり、無理な反り技を選びにくくなっている
その結果、「ギリギリまで残ってうっちゃりを狙う」よりも、「押し返すか、危ないと感じたら無理をしない」という選択をする力士が増え、うっちゃり自体がレア技になってきた、と考えられます。
Q5:うっちゃりは危ない技ですか?失敗するとどうなりますか?
A:はい、かなりリスクの大きい技です。決まれば大歓声ものですが、失敗すると逆に自分が危ない形になりやすいです。
代表的な失敗パターンを挙げると、
- 投げにいった瞬間に相手に察知され、のど輪などで押し返されてしまい、仕掛けた側のほうが先に土俵外へ出てしまう
- 相手の体重に負けて投げ切れず、逆に勢いだけ利用されてそのまま押し出されてしまう
- 体をひねり過ぎて自分のバランスを崩し、背中や肩からドンと落ちてしまう
- 二人が絡んだまま落ち、相手の全体重がのしかかる形になって、首・肩・腰を痛めるリスクが高くなる
土俵際は「どちらの足が先に出たか」「どちらが先に落ちたか」が紙一重なので、同体や物言い・取り直しにもなりやすい決まり手です。
まとめ
うっちゃりは、土俵際から一気に形勢をひっくり返す大技ですが、土台になっているのは華やかな投げ方ではなく、「腰を残して粘り続ける力」と「最後の一瞬まであきらめない気持ち」です。
現代の土俵ではレアな決まり手になりつつありますが、若隆景関や若元春関のように「ここからまだ残るのか…」という一番が決まると、館内が一気に沸き上がります。
この記事をきっかけに、技そのものだけでなく、「土俵際で腰を残す粘り」や「最後まであきらめない心の持ち方」にも思いを馳せながら、大相撲を味わってもらえたらうれしいです。
それでは最後に、「AI横綱くん」のひと言で締めたいと思います。
横綱くん、お願いします!
うっちゃりの相撲は、単なるラッキーパンチではない。土俵際まで踏ん張ってきた稽古の量と、「最後の一瞬まであきらめない」という心の在り方が形になったものだ。
人生でも同じで、もうダメだと思ったところから一歩だけ踏ん張ることで、形勢がひっくり返る場面がある。次に本場所を見るときは、「ここから、うっちゃりはあるか?」という目線で、土俵際の攻防を楽しんでみてほしい。
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