相撲雑学

大相撲にいる茶色のちゃんちゃんこ集団!東西会の正体に迫ってみるよ

本場所では、自分の取り組みを待つ間、土俵下で座っているのですが、その時間は本当に緊張します。でも、観戦する側からすれば、あの独特の雰囲気も含めて楽しいものなのでしょうね・・・(-_-;)

こんにちは!元力士のしんざぶろうです。

相撲ファンであれば、中継をみていて、溜席(たまりせき(通称:砂被り)で観戦する、茶色いちゃんこを着た集団を見たことがあると思います。 「あの人たちは一体誰なんだろう?」と疑問に思う方もいるかも知れませんね。

実は、彼らは相撲界を裏で支え続ける「維持員」と呼ばれる特別な支援者の方々です。 この制度は、大相撲の運営を継続する上で非常に重要な役割を担っており、長年にわたり支援を続けています。

今回の記事では、茶色いちゃんこを着た「東西会」や「溜会」(たまりかい)の存在を詳しく解説し、どのように相撲を支えているのかを紹介していきます。

ぜひ最後までお付き合いくださいね。

管理人の後輩
元力士 まさる
管理人の後輩
元力士 まさる
そういった存在があることは聞いたことがあるけど、詳しくは知らないんだよね。関取になって注目されないと接点がないからなぁ。

この記事を読んでわかること
  • 茶色いちゃんちゃんこを着た「東西会」の正体と役割
  • 維持員制度の概要とその重要性
  • 維持員になるための条件と費用
  • 東西会以外の維持員団体(溜会)の存在
  • 維持員の特権である溜席観戦の詳細
  • 観戦中の維持員に求められるマナーや禁止事項
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茶色いちゃんちゃんこの集団は「東西会」

まず、茶色いちゃんちゃんこを着ている集団は「東西会」と呼ばれ、大阪場所で活動する「維持員」です。相撲界には「維持員制度」という仕組みがあり、その中の一部が「東西会」ということになります。

東西会は、昭和12年3月に発足した団体で、80年以上の歴史を持っています。その目的は「財団法人日本相撲協会の事業に協力し、相撲道の奨励・振興を図ると共に、相撲道を通じて社会道義の向上と社会福祉に寄与する」こととされており、長年にわたり相撲協会を支援してきました。

  • 茶色いちゃんちゃんこを着ているのは、「東西会」
  • 相撲界には「維持員制度」がある
  • 東西会とは関西で活動する「維持員」のことであり、その集団を指す
  • 東西会は80年以上の歴史があり、長年相撲界を支えてきた

ちなみに、茶色いちゃんちゃんこは東西会のみが着用するもので、他の団体には同様の服装を着用する決まりはないようです。

維持員制度とは?

では、東西会について理解したところで、そもそも「維持員制度」とは何かについて解説していきますね。

維持員制度とは、個人や法人が相撲協会に「維持費」という形で寄付を行うことで、特別な観戦席やイベントへの参加権を得られる制度です。維持員は、相撲の運営を支える重要な存在であり、相撲協会に対する長期的な支援を通じて、相撲文化の継続と発展に大きく貢献しています。

維持員には、「普通維持員」「特別維持員」「団体維持員」の3つのカテゴリーがあり、それぞれに以下の条件があります。

  • 普通維持員
    ⇒個人または法人で、維持員会の承認を受け、維持費を納入するもの
  • 特別維持員
    ⇒長期間にわたり公益財団法人日本相撲協会の事業に協力し、その功績顕著なものとして同協会が認めたもの。相当金額を同協会に寄付したもの
  • 団体維持員
    ⇒各相撲部屋・力士などを後援するために会を組織した団体。年間相当金額の維持費を納入するもの

この条件から分かる通り、維持員は単にお金を払えば入会できるものではありません。入会には維持員会の承認を受ける必要があり、ステータスを求めて入会しようとしても、必ずしも認められるわけではないでしょう。

これは、以下の相撲協会による「維持員とは何か」という解説からも確認できます。

相撲をこよなく愛し、造詣深くご尽力いただく方々が常に存在し、一体となって維持発展して参りました。今日、その方々は「維持員」として日本相撲協会の維持と存立を確実にし、その事業全般を後援すると共に大相撲が未来永劫、親しまれますよう、制度として確立されております。

引用元:日本相撲協会HP

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東西会以外の団体は?

東西会が大阪場所で活動する一方で、東京や名古屋、福岡には「溜会(たまりかい)」という維持員の団体があります。この団体も東西会と同様に「維持員」であり、土俵近くの溜席で観戦し、大相撲を長期的に支援している重要な存在です。

つまり、東西会と溜会を併せると、これらの維持員団体は東京、大阪、名古屋、福岡の4つの地域にそれぞれ存在しています。

  • 東京:東京溜会
  • 大阪:東西会
  • 名古屋:名古屋溜会
  • 九州:福岡溜会

維持員の特権

維持員の最大の特権は「溜席での観戦権」です。相撲ファンにとっては、この特別な席で15日間にわたる一場所すべてを観戦できることは、大きな憧れでしょう。

建前上、維持員は相撲の維持・発展に尽力することが求められており、本場所の取り組みを観戦することで、力士の技量や実態を把握し、力士の育成を手助けする役割を担っています。つまり、相撲界全体を盛り上げるために貢献する重要な役割があるというわけです。

溜席について言えば、維持員が多くの席を確保しているため、一般の人が溜席に座る機会は限られています。そのため、相撲ファンにとっては一度は溜席で観戦してみたいという憧れを抱くのも無理はありません。

具体的には、溜席は約500席あり、そのうち維持員が約300席を占めています。残りの約200席が一般に開放されているのです。

維持員の溜席の数
  • 東京:300席
  • 大阪:305席
  • 名古屋:300席
  • 福岡:250席

さらに、維持員には、相撲協会が主催する特別な行事に参加する機会もあります。力士の断髪式や親睦会といった、一般の観客ではなかなか体験できないイベントにも招待されるため、相撲文化をより身近に感じることができるのです。

維持員になる条件と費用

維持員になるための第一条件として、先述の通り「維持員会の承認を受ける」必要があります。この条件について具体的な手続きは明らかにされていませんが、相撲界に貢献した信頼のおける人物からの紹介が必要であると考えられます。

これは、日本の伝統文化である相撲を支援する立場に立つため、誰でも良いというわけではなく、相撲の歴史や文化に対する深い理解が求められているからだと思われます。

また、維持員には定員があり、人数は公表されていませんが、欠員が出た場合に新たな維持員の申し込みが可能となるようです。地区ごとの溜席の数は公表されているため、その席数がおおよそ維持員の定員と考えて良いかもしれません。

寄付金について

維持員になるための寄付金については、東京と他の地区で金額に差があります。これは、本場所の開催回数の違いによるものと思われます。

具体的には、3年間を1サイクルとし、東京では最低4,050,000円の寄付金が必要です。一方、大阪、名古屋、福岡では、最低1,125,000円以上の寄付金が求められています。

寄付金は基本的に一括払いとなりますが、特別な事情がある場合には分割払いも認められることがあります。ただし、分割払いには相撲協会の承認が必要であり、支払い方法については慎重に検討する必要があります。また、一度納めた寄付金は返還されないことも留意すべき点です。

この寄付金は相撲協会の運営費として使用され、力士たちの稽古や本場所の開催を支える重要な資金源となっています。

地区 一括 分割(3回)
東京 4,050,000円以上 1,350,000円
大阪 1,125,000円以上 375,000円
名古屋
福岡

こうして見ると、東京場所の寄付金は年3回の開催という点を考慮しても、他の地方場所に比べて若干高めに設定されています。しかし、これが相撲を支える寄付金の形式であると考えれば、納得のいく額と言えるのではないでしょうか。

さらに、力士たちの本拠地は両国ですから、地方場所に比べてもさまざまなイベントや行事に参加できる機会が多くあります。そう考えると、東京場所の維持員になることは、相撲ファンにとってお得な選択かもしれませんね。

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維持員の観戦ルール

維持員の観戦席は、土俵に非常に近い「溜席」です。土俵に近い位置で観戦できるということは、力士が飛び込んでくる危険性もあるということです。

間近で迫力ある取り組みを楽しめる一方で、こうしたリスクにも注意しながら観戦する必要があります。そのため、相撲協会は観戦時の禁止事項やマナーを定めています。

以下にその内容をまとめました。

〇維持員席での禁止事項

  • 危険物の持ち込み
  • 飲食・カメラ撮影禁止
  • その他土俵進行の妨げになることの禁止

〇維持員としてのマナー

  • 弓取り式終了まで着席
  • 力士や審判に触れない
  • 維持員席での携帯電話の利用はお控えください
  • 声援や勝負判定に対しての批判はしない
  • 取組中の席の移動は控える
  • タオルを掲げる行為はお控えください

維持員には、特定の力士だけでなく、相撲界全体を支援する役割があります。そのため、例えば「弓取り式が終了するまで着席する」「声援や勝負判定に対して批判をしない」など、いくつかのマナーが定められているのが特徴です。

さらに、暗黙のルールとして「拍手をしない(特定の力士へのひいきを避ける)」という習わしもあります。このように、観戦する側も相撲文化の一部として伝統を守り、相手への敬意を払うことが求められているのです。

相撲観戦大好き</span></p>
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さくら

1場所15日間を観戦できるなんて夢のようね!私もいつかは維持員になってみたいなぁ。

まとめ

相撲を支えているのは、力士たちだけではありません。東西会や維持員の存在は、相撲文化を裏から支え、その発展に欠かせない存在です。

茶色いちゃんちゃんこを着た彼らは、ただ観戦しているだけではなく、長い歴史と伝統の中で、相撲協会の運営に大きな貢献をしてきました。維持員として特別な席で観戦できることに加え、相撲文化の継承に直接関与するその姿勢は、相撲ファンにとっても多くの学びがあるでしょう。

次に相撲を観戦する際には、土俵の熱気を感じながら、その背後で相撲界を支える維持員の存在にも目を向けてみてください。彼らが大相撲に果たしている重要な役割を知ることで、相撲の魅力が一層深まるはずです。

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。

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