最近は歳をとったせいか、食べ過ぎるとお腹を下したり体調が悪くなってしまいます。現役力士の時のようには食べられなくなったなぁと実感しています…
元力士のしんざぶろうです。こんにちは!
先日、たまたまYouTubeを見ていると、力士たちが体を大きくし、強くなるためにたくさん食べている動画を見つけました。その懐かしい光景に、現役時代の自分を思い出し、この記事を書いてみることにしました。
力士の食事といえば、大量に食べるイメージがありますが、実際にどんなエピソードがあるのか気になりますよね?
今回は、元力士である僕の体験談や、部屋で語り継がれる伝説的な話を交えながら、力士たちの食生活に迫ってみたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いくださいね。
- 力士の食事にまつわるイメージや日常の実態
- しんざぶろうが課された食事ノルマの体験談
- 力士の間で語り継がれる伝説的な食事会の詳細
- ピーマンやハンバーガーに関する驚きの食エピソード
- 焼き肉のたれを使ったユニークな夜食事情
太るために食事をするってイメージがわかないのよね。ダイエットならよくやっているから想像できるんだけどなぁ。
力士の食事
力士の食事といえば、大量に食べるイメージがありますよね。
冒頭で触れたYouTubeの動画は、二子山部屋の公式チャンネルのものです。登録者数は30万人を超えており、その人気ぶりがうかがえます。
⇩こちらがその動画です。
動画の中では、「何杯食べた?」という会話が飛び交い、どうやら力士たちにはある程度ノルマが課されているような雰囲気が感じられました。特に初めは美味しそうに食べている様子が印象的でしたが、後半になると満腹と戦う姿に変わり、その必死さが際立っていましたね。
その姿を見て、「すごく食べるなぁ」と感心する一方で、苦しみながらも食べ続ける力士たちの姿に、現役時代の自分を重ねて懐かしい気持ちになりました。
こうして改めて見ると、力士たちが身体を大きくし、強くなるために、どれだけ必死に食事と向き合っているかが伝わります。だからこそ、「食べることも稽古のうち」と言われるのだと実感しました。
しんざぶろうが課された食事ノルマ
では、ここからは僕が現役時代に体験した話しをしていきますが、
僕の入門した当時の身長と体重は
- 174cm、78kgと小柄でした。
現役時代の体重Maxは96kg
そのため、兄弟子から「もっと体を大きくしろ!」と指導を受け、1食につきごはんを5杯食べるノルマを課されたことがあります。(小柄の力士複数人が対象)
お茶碗が家庭のどんぶりサイズだったため、1杯で約0.8合。それを5杯、一日2回の食事で合計8合です。
- 1食につきごはんを5杯食べる
- これを毎日続ける
初日はなんとか食べきることができましたが、2日目から消化が追いつかず、常に満腹感が続く状態になります。
そして、3日目になると、食べるのに時間がかかるので片付けが遅くなるし、ごはんが足りなくて、追加で炊くことにもなるなどの問題が多発したため、何とな~く有耶無耶にし、その後はノルマに挑戦することを辞めてしまいました。
ノルマを無視していることが兄弟子にバレて怒られるのでは、という恐怖がしばらくありましたが、何も言ってこなかったので、胸をなでおろしたの覚えています。
自分よりも後に入門した新弟子で、学生時代に相撲経験がある後輩がいました。その後輩が「自分は1升くらいごはんを食べていた」と口にしたことで、周囲がざわついたことがあります。
「本当にそんなに食べられるのか?」と兄弟子たちが問い詰め、ついには証明するよう迫ったのです。
後輩は仕方なく1回限りの挑戦としてノルマに参加。約1時間かけて白飯を10杯平らげるという驚異的な食べっぷりを見せました。正直、僕には到底真似できない量でした…!
ノルマを課されることがあったんだね。僕の時は、前の食事で残ったものを食べさせられるのが苦痛だったなぁ…
ちなみに、力士が普段どれくらい食べているのか気になった方も多いのではないでしょうか?力士の食事は1日のカロリーで見ると、だいたい7,000kcal〜8,000kcalくらいになると思われます。
以下の記事では、力士が具体的にどんなものを食べているのかを詳しく紹介しながら、わかりやすく解説しています。興味のある方はぜひチェックしてみてください!
しんざぶろう史上での伝説の食事会
ここでは、僕の中で「伝説」として語り継がれる食事会についてお話しします。その日は、まさに一日で信じられない量を食べ尽くした特別な体験でした。
当時、部屋での夕飯を辞退し、兄弟子数名と外食に出かけたのですが、名目は「食べる稽古」。体を大きくするための稽古の一環だと言われました。
とはいえ、詳細なスケジュールは一切知らされず、ただ兄弟子たちの後を黙ってついていくしかありません。次に何が待っているのか分からない不安と、終わりが見えない恐怖が心に残っています(-_-;)
それでは、当時訪れた場所を順番にご紹介しますね。
- カレーハウスCoCo壱番屋
- 豚骨ラーメン店
- 吉野家
- コンビニ
カレーハウスCoCo壱番屋
当時、CoCo壱番屋では「ごはんの量1300g以上を20分で完食したら無料」というキャンペーンが行われており、兄弟子たちと挑戦することになりました。
*当時のキャンペーンを詳しく紹介しているサイトがあったのでリンクを貼っておきます。
⇒懐かしのCoCo壱番屋(ココイチ)メニュー【1300gカレー】
トッピングも自由に選べたため、カレールーと具材を合わせると総重量は2kg以上。力士たちの迫力ある挑戦は店内でも目を引いたと思いますが、お店側からすると少々迷惑だったかもしれません(笑)。
結果は全員が制限時間内に完食し、無料に。僕が載せたトッピングは唐揚げ、ウインナー、豚しゃぶ、ほうれん草、チーズなど。自分でも「よくここまで盛り込んだなぁ」と感心しました。
しかし、さすがに全員が一円も払わないのは心苦しかったので、最後に各自で飲み物やサイドメニューを注文しました。これで少しはお店への感謝の気持ちを示せたかなと思います。
豚骨ラーメン店
カレーを食べたあと、一行は20分ほど歩いて次の目的地へ移動しました。辿り着いたのは、個人経営の豚骨ラーメン屋さん。どこかアットホームな雰囲気の店内でしたが、僕の胃袋にはすでに八分目くらいまで埋まっており、余裕はほとんどありませんでした。
このお店では「替え玉」が何度でも注文できるのが特徴。兄弟子たちは容赦なく「5玉」ほど追加注文して次々に平らげていきます。その姿に感心しつつも、僕はすでにお腹がきつくなっていたため、なんとか「3玉」を食べてストップしました。
また、この「食べる稽古」がいつ終わるのか全く分からないという不安もあり、少しでも体力を温存しようと慎重になったのを覚えています。
吉野家
この時点で、僕はすでにお腹が限界に近づいており、「もうこれ以上は無理だ…」と心の中で思っていました。そんな状態にもかかわらず、兄弟子が勝手に「特盛」を3つも注文。あまりに唐突な展開に呆然としながらも、食べないわけにはいかず、仕方なく挑戦することに。
少しでも食べやすくするために卵を追加注文し、なんとか流し込もうとしましたが、さすがに限界でした。3杯目に関してはほんの少し手を付けただけで、ほとんど残してしまいます。
一方、兄弟子たちは特盛をきっちり完食。隣で淡々と食べ進める姿に、「本当にすごく食べるなぁ」と感心せざるを得ませんでした。僕は、満腹を通り越して気持ち悪くなり、トイレに行きたい衝動と必死に戦っている状態だったのに…
コンビニ
帰り道、ようやく部屋に戻れると思った矢先、兄弟子たちが「デザートとか甘い物が食べたい」と言い出しました。正直、僕はお腹がパンパンで、今すぐ横になりたい気持ちしかありませんでしたが、兄弟子たちに逆らうわけにもいかず、仕方なくコンビニに寄ることに。
店内では、兄弟子たちが楽しそうにスイーツやジュースを選んでいましたが、僕は何かを買うどころか、商品を見る気力すらありませんでした。そのまま何も買わずに部屋へ戻ったのを覚えています。
この時ばかりは、「もう二度とこんな食事会には参加したくない…」と心から思いましたが、それでもどこか笑える思い出として記憶に残っています。
辛そうではあるけれど、兄弟子たちと一緒に挑戦する姿は、なんだかんだで楽しそうにも見えるね♪
なお、幕下以下の力士には門限が課せられています。ですので、今回の食事会も18時~21時くらいのおよそ3時間程度の出来事です。こちらの記事では、そんな力士達の日常生活を詳しく解説していますので、ぜひご覧になってみてください。
食事に関するエピソード
この章では、僕自身の体験談だけでなく、他の力士たちが残した食にまつわる驚きのエピソードをご紹介します。力士の世界には、一般の常識では考えられないようなユニークな話がたくさんあります。
その中から、特に印象に残るエピソードをいくつかお伝えしますね。
ピーマンでごはん
僕の所属していた部屋では、お昼のちゃんこ鍋だけでなく、焼き肉の日もありました。その際には「七輪」を使って豪快に焼き肉を楽しむのが恒例です。
そんな焼き肉の日、ある兄弟子が突然「ピーマンだけでごはんが食べられる!」と自信満々に豪語。正直、何を言っているのか意味不明でしたが、彼は実際にピーマン1切れ(だいたいピーマン半分のサイズ)に焼き肉のたれを絡め、それだけでごはん1杯を平らげたのです。
しかも、それだけでは終わりません。彼は最終的にピーマン3切れでごはん3杯を完食。その姿には、周りの力士たちも驚きを隠せませんでした。まさに笑い話として語り継がれる伝説的なエピソードです。
ちなみに、彼はこの時、ピーマンとごはん以外は一切手をつけていませんでした。潔い食べ方に感心させられると同時に、「そこまでしてピーマンを推す意味は何だったのか?」と今でも謎が残ります。
マクドナルドのハンバーガー
僕が現役時代の時は、マクドナルドが安くて話題でした。2000年から2002年頃、ハンバーガー1個65円という驚きの価格で販売されていました。
*マクドナルドのHPに当時の出来事が記載されています。
⇒マクドナルド公式HP
この激安価格を活用し、夜食用にハンバーガーを大量購入する兄弟子がいたのです。その数、なんと30個!計算すると、65円×30個でたったの1950円(税抜き)。「こんなに買っても2000円なんだぜ!」と誇らしげに話していた姿が今でも目に浮かびます。
それにしても、夕飯後にハンバーガーを30個も平らげるその食欲にはただただ驚かされました。ちなみに僕もその買い出しに同行しましたが、大量注文する勇気がなく、控えめに10個だけ頼むのが精一杯。それでも、その10個はあっという間に完食してしまい、自分の食べっぷりも今では懐かしい思い出です。
焼き肉のたれで夜食
夜食といえば、もう一つ忘れられないエピソードがあります。
僕の部屋では、夜食はそれぞれが自分で用意するルールでした。そのため、どんなものを食べるかは完全に個人の自由。ここで、ある後輩のユニークな夜食スタイルをご紹介します。
彼は、「サトウのごはん」を大量に購入して常にストックしていました。そして、そのごはんに何を合わせていたかというと、なんと「焼き肉のたれ」だけ。タイトル通りです。
毎晩のように「焼き肉のたれ、うめー!」と独り言を言いながら暗闇で黙々と食べる姿は、今でも鮮明に思い出せます。その光景が妙にシュールで、笑い話として今でも語り継がれています。
ちなみに、先ほどのピーマン好きの兄弟子とは別の人物です。力士たちの個性的な食事スタイルは、部屋の中でも良い話のネタになっていましたね。
たしかに、焼肉のたれはおいしいけどね…
まとめ
力士の食事について、僕の体験やエピソードを交えてお話ししましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?体を大きくし、強くなるために、力士たちは食事を稽古の一部として真剣に取り組んでいます。
その中で生まれる笑い話や伝説的なエピソードも、厳しい環境での大切な思い出のひとつです。この記事を通じて、力士たちの食生活の一面を少しでも感じてもらえたなら嬉しいです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
また次回の記事でお会いしましょう!