私は現役時代、張り手をやられることはあってもやり返すことはありませんでした。今思えば、旭道山さん(以下敬称略)くらいの闘志をもって相撲に打ち込んでいれば、出世していたかも…なんて妄想することがあります。
元力士のしんざぶろうです。こんにちは!
相撲界で数々の異名を持ち、その個性と取り組みで多くのファンを魅了した旭道山。その中でも彼の「張り手」は特に印象的な技の一つとして知られています。
一撃で勝負を決めることもあるこの技は、彼のスタイルと闘志を象徴する存在でした。本記事では、旭道山の張り手にまつわるエピソードや、彼の相撲を象徴した「南海のハブ」などの異名について深掘りしていきます。
彼の取り組みに隠された戦略や異名の背景を知ることで、より相撲の奥深さを感じていただけるはずです。それでは、さっそく見ていきましょう!
ぜひ最後までお付き合いくださいね。
この記事を読んでわかること
- 旭道山の張り手の破壊力と10人をノックダウンさせた逸話
- 「久島海戦」での張り手の威力と試合の詳細
- 張り手が引き起こした影響と自粛要請の背景
- 「南海のハブ」など、旭道山の異名の由来とエピソード
- 相撲における張り手の戦略的役割
相撲観戦大好き さくら
南海のハブかぁ。呼び名を聞くだけでも、まとわりついて離さないって想像ができるね。しかも、ヘビって一気に襲いかかってくるから旭道山さんのイメージにピッタリだね!
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旭道山の張り手
旭道山の「張り手」といえば、相撲界でも屈指の破壊力を誇る技でした。その鋭さと威力は多くのエピソードを生み、相撲ファンの記憶に深く刻まれています。
私は現役時代、稽古中に師匠から「張り手でも何でもやって絶対に勝つ!という闘志がなければダメだ!」と、度々指導を受けることがありました。
そのたびに、張り手や蹴手繰り(けたぐり)などを試みましたが、自分自身がバランスを崩してしまい、まったく相撲になりませんでした。
絶対に勝つという闘志はもちろんですが、張り手などの変則攻撃は高い熟練度が必要です。そうでなければ自分が不利になるだけです。結局、本場所では余計なことをして負けたくなかったので、張り手を行うことはありませんでした。
そう考えると、旭道山が張り手を得意としていたことは、高い技術を持っていたと言えると思います。
では、そんな旭道山の張り手に関するエピソードを見ていきましょう。
張り手だけで10人をKO
旭道山の張り手がどれほど強烈だったのか。それを象徴するのが
という逸話です。
この記録は彼自身のプロフィールにも記載されている情報です。
⇒旭道山和泰プロフィール
ただし、10人すべての名前や詳細は明らかになっていませんが、以下の力士がウイキペディアで紹介されています。
KOされた力士
- 大善
- 小城ノ花
- 貴闘力
- 久島海(2回)
- 栃乃和歌
- 武蔵丸
大善・小城ノ花・貴闘力・久島海(2回)・武蔵丸・栃乃和歌など10人ほどの現役力士を張り手で沈めた。 その一人である栃乃和歌は張り手を受けて眼球内出血を起こしている。一番の直後に「あいつはおかしいんじゃないか」と支度部屋で吠えていた。 武蔵丸は奥歯が一本折れる一撃KOを記録したこともある。
引用:ウイキペディア_旭道山和泰
そして、その中でも特に有名な試合が「久島海戦」です。この一戦は、旭道山の張り手の威力を語る上で欠かせない伝説的な取り組みとなっています。
久島海(くしまうみ)戦:たった0.8秒で決着
1993年3月場所の13日目、旭道山と久島海の対戦が行われました。この試合は、立合いと同時に旭道山の張り手が久島海の顔面に炸裂。
久島海は衝撃で土俵中央に崩れ落ち、試合はわずか0.8秒で決着しました。その圧倒的な威力に、場内は騒然となり、旭道山の張り手の凄さを知らしめる結果となりました。
久島海とは
九島海は、学生時代から輝かしい実績を誇り、その将来を大いに期待された元大相撲力士です。和歌山県立新宮高等学校では、3年連続で全国高等学校相撲選手権大会を制覇。高校3年時には全日本相撲選手権大会で優勝し、史上初の高校生アマチュア横綱となりました。日本大学進学後も学生相撲選手権大会で3連覇を達成し、大学時代に記録したアマチュア28冠は現在も破られていない偉業です。
その後、出羽海部屋に入門し、幕下付け出しで初土俵を踏みました。順調に番付を上げ、1989年3月場所で十両昇進、さらに同年7月場所で新入幕を果たしました。
しかし、1993年3月場所で旭道山との対戦で左膝を負傷。この怪我により三役昇進の機会を逃し、その後の相撲人生に大きな影響を与えました。怪我や番付運にも恵まれず、1998年に現役を引退しました。
主な成績
最高位 東前頭筆頭
通算成績:462勝442敗15休
幕内成績:237勝273敗15休
現役在位:65場所
幕内在位:35場所
三賞:2回
敢闘賞:2回
金星:2個(北勝海1個・旭富士1個)
各段優勝:十両優勝3回
張り手の影響と自粛要請
しかし、久島海戦には思わぬ余波がありました。久島海は張り手を受けた際に左膝を負傷(左膝内側側副靱帯損傷)。翌日から途中休場を余儀なくされ、この場所では7勝7敗1休で負け越し、三役昇進のチャンスを逃す結果となったのです。
これを受け、当時の出羽海理事長は、大翔鳳、貴闘力、そして旭道山の3人を名指しで注意。「お前たちの相撲は敢闘精神には値するが、品格には値しない。張り手を自粛しろ」と忠告します。
それでも、旭道山はこれを受け入れず、再び久島海に張り手を見舞う場面があり、大島親方が理事長に呼び出され注意を受ける事態となったのです。
張り手封印、その後の取り口
その後、旭道山は張り手を封印し、別の取り口を模索するようになります。この決断は、相撲界における「品格」や「力士としての姿勢」に対する自らの向き合い方を象徴していると言えるでしょう。
とはいえ、旭道山の張り手が相撲ファンに与えた衝撃は計り知れず、今も「南海のハブ」として語り継がれる大きな要因の一つです。
旭道山の張り手は、ただの技ではなく、彼の相撲人生を象徴する一部でもありました。その鋭さと破壊力は、今なお語り継がれる伝説的なエピソードです。
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旭道山の張り手への世間の声
旭道山の張り手は、その破壊力と戦略性で相撲界に強い印象を残しましたが、世間ではどのように受け止められているのでしょうか?
ここでは、「X-エックス」に寄せられたコメントをいくつかご紹介します。彼の取り組みに対する熱い思いや、張り手に対する率直な感想など、さまざまな声が集まっています。
このように、旭道山さんの張り手は多くの人々に深い印象を与え、今なお語り継がれています。しかし、ここで紹介したコメントはごく一部であり、ネット上にはたくさんの称賛の声や当時を懐かしむ声があります。
彼の相撲に対する真摯な姿勢や闘志が、多くのファンの心をつかんで離さないと言えるでしょう。
管理人の後輩 元力士 まさる
今でもすごく人気があるんだね♪カッコいいヒーローのような存在って、それだけ旭道山さんの取り組みの印象が強いんだろうなぁ。
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南海のハブなどの異名
旭道山といえば、相撲界で多くの異名を持つことで知られています。その中でも特に有名なのが「南海のハブ」です。
しかし、彼の異名はこれだけではありません。「角界のカールルイス」や「怪我のデパート」といったユニークな呼び名もあります。それぞれが彼の相撲人生を象徴しており、どんな経緯でそう呼ばれるようになったのかを詳しく見ていきましょう。
南海のハブ
「南海のハブ」とは、旭道山の闘志あふれる取り口を象徴する異名です。この名前は、彼の出身地にちなんだ「南海」と、俊敏かつ攻撃的な毒蛇「ハブ」を組み合わせたもの。
旭道山は軽量力士ながらも、鋭い張り手や粘り強い投げ技で相手を圧倒する取り口を見せ、観客を沸かせました。
特に立合いでは頭を当て、相手に食い付く正攻法を得意とし、その粘り強さは「ハブ」のように相手を捉えて離さないという評価を受けています。この異名が彼の相撲スタイルと生い立ちを象徴しているのは、非常に印象的です。
角界のカールルイス
旭道山のもう一つの異名が「角界のカールルイス」です。この呼び名は、彼の運動能力の高さに由来します。
カール・ルイスは、オリンピックで数々の金メダルを獲得したアメリカの陸上競技選手。その瞬発力と敏捷性が、旭道山の取り口と重なることからこのように称されました。
相撲界での取り組みでは、一瞬で相手を捉える動きやスピードが際立ち、観客を驚かせる場面も多くありました。体格的には恵まれていなかったものの、その運動神経と競技への真摯な姿勢が、この異名の背景にあるといえます。
怪我のデパート
もう一つの異名が「怪我のデパート」です。
これは、旭道山が現役時代に負った数々の怪我を指しています。激しい取り口で知られる彼は、真っ向勝負を挑むスタイルのため、脱臼や打撲など多くの負傷を経験しました。
しかし、それにもかかわらず、一度も休場することなく土俵に上がり続けたことが特筆すべき点です。通算1086回の出場を果たし、99場所連続で土俵を務めたその精神力は、異名以上に彼の誇りともいえるでしょう。
この異名は、彼の相撲にかける覚悟と強い意志を物語っています。
また、彼の現在の活動や、現役時代の活躍をさらに知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
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相撲観戦大好き さくら
どの異名も、旭道山さんをイメージできるからすごいね!名づけた人はセンスがあるなぁ。
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相撲における張り手ってどんなもの
相撲の張り手は、一発で相手をノックダウンさせることだけが目的ではありません。その主な役割は、立ち合いでの駆け引きを制し、自分に有利な展開を作り出すことにあります。
特に「張り差し」と呼ばれる技術では、軽い張り手で相手に隙を作り、有利な差し手を取る戦術が多くの力士に用いられています。
また、張り手が相手に与える心理的効果も大きなポイントです。張り手が来るかもしれないという警戒心を抱かせることで、相手の出足を鈍らせたり、動揺させたりすることが可能です。
相撲では立ち合いが勝敗の6~7割を左右すると言われており、張り手はその重要な場面で自分のペースに持ち込むための有効な戦術となります。旭道山のような力士が張り手を巧みに駆使する姿は、相撲の奥深さと戦略性を象徴していると言えるでしょう。
- 張り手の目的は、打撃だけではなく有利な展開を作ること。
- 警戒心を与え、相手の動きを鈍らせる効果がある。
- 立ち合いでの駆け引きにおいて有効な戦術の一つ。
ちなみに、張り手について詳しく解説した記事がこちらにあります。今回紹介した旭道山以外の力士にも触れていますので、気になる方はチェックしてみてください。
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まとめ
旭道山の張り手は、単なる技術を超えたインパクトがありました。その一撃の破壊力だけでなく、駆け引きの巧みさや彼の闘志が込められていたからこそ、ファンの心に強く残っているのでしょう。
現在も講演活動やメディア出演を通じて活躍している旭道山ですが、彼の現役時代の情熱と闘志は、相撲ファンの記憶に色濃く残っています。ぜひ、この機会に彼の取り組みや異名に込められた背景を振り返り、相撲の面白さを改めて感じてみてはいかがでしょうか?
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。
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