入門

強くなるためにコミュニケーションは不要?人間関係から考える相撲論

こんにちは!しんざぶろうです。

これから入門する方、もしくはすでに力士として稽古にはげんでいる方の中には、
「相撲は強ければいいのだから、他者とのコミュニケーションは必要ない!」と、考えている人も少なくないと思います。

その考えは半分合っているが、すべてではありません。
それは相撲界という組織あっての力士だからです。

いくら強くても相撲界を一人では運営できないですよね?
対戦相手も強くなくては盛り上がりません。

そこで今回、元力士「しんざぶろう」がお伝えする内容は、

  • 強くなるためにコミュニケーションは不要?
  • 人間関係から考える相撲論

についてです。

この記事を読んでいただければ、よりよく相撲界で生きていくためのヒントが得られるはずです。ぜひ最後までお付き合いくださいね。

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強くなるためにコミュニケーションは不要?

相撲部屋での集団生活は特殊でストレスの多い生活です。
そして、そのストレスの大半が「人間関係」が原因になっている事でしょう。

兄弟子、番付、稽古場での強さなど、様々な要因が絡まり「相撲部屋」での自分の立ち位置が決まっていきます。そう、それは空気のように目には見えないのですが「何となく、みんなが自分の扱いを決めていく」のです。

学校の団体生活でも、同じような雰囲気がありますよね?
でも、番付や相撲の強さで「立ち位置」が変化していくので、相撲界が特殊であることに変わりはありません。

そして、僕の現役時代。
僕は人を笑わせる事が好きで、稽古場以外は他力士を楽しませようとしていました。
その一方で、根はまじめなので稽古は一生懸命です。

その結果、他力士に好印象を与える事ができ、「一番上の兄弟子」にも可愛がられるようになっていきました。「一番上の兄弟子」に目をかけてもらえるということは、僕より上の兄弟子であっても、へたに口が出せなくなります。

そうなると雑用は減り、部屋での生活も楽しいものになりました。
しかしそれは、みんなに良い顔をしている「八方美人」。
1人になる時間がない集団生活において「良い顔をする」事は、徐々にストレスとなって自分に返ってきます。

そして「外食」「買い物」など、様々な人からの誘いもあり、むやみに断る事ができない状況・・・。結果的に、自分の時間を他力士との付き合いに費やすことになっていくのです。

この出来事を今思い返すと、僕が出世できなかった原因の一つだったと考えています。
目先の「相撲部屋での生活」を重視するあまり、「相撲で強くなる」という目的を見失っていました。

そうならないためにも、付き合う人間は選ぶ必要があるでしょう。

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人間関係から考える相撲論

強くなるためのコミュニケーション

相撲部屋の中では、力士全員が出世を真剣に目指しているとは言い難い状況です。
目の前の楽しみを優先して、怠けている力士もいるからです。

しかし、その中で真剣に「相撲」と向き合っている人もいます。
稽古が終わっても毎日トレーニングをして、身体を作るために夜食を食べる。

そういった人を選んで、こちらから積極的にコミュニケーションを図るのです。
相手が「関取」でも「歳の離れた兄弟子」でも、「本気で強くなりたい!」と熱意をもって伝えれば、快く行動を共にする事を受け入れてくれるでしょう。

そう宣言する事で「期待を裏切る行動はできない」という思いも、自分の中で生まれると思います。そして「強くなるにはどうすればいいか?」を考えるようになり、強くなるための「習慣」が身につきます。

そうなると「遊びへの誘い」も減っていき、強くなるための環境も整っていくでしょう。

当然ながら「強い」人と行動を共にするのですから、「稽古」「トレーニング」は厳しいものになる事は覚悟しておきましょう。

感謝の気持ちを忘れない

「礼に始まって礼に終わる」これは日本の武道では共通の認識で、対戦相手に敬意を払い、礼儀礼節を重んじる考え方です。

これは主に「対戦相手」に対しての作法ですが、僕は広い意味でとらえる事が重要だと考えています。

それは「稽古相手」「ちゃんこ番」「親方」「おかみさん」「相撲ファン」そして、「相撲に携わるすべての人」に至るまで。

そうして「感謝」の気持ちを持っていれば、相手にも伝わっていきます。
あなたたが強くて出世したとしても、周囲への感謝の気持ちがなければ「なんであいつが!」と、嫉妬や恨みを買うことになるでしょう。

それよりも「同じ部屋の身内」からも「ファン」からも、応援される存在の方が良いですよね。応援されれば「期待に応えよう」とさらに強くなれると思います。

なにより「番付を下げたり」「けがをしたり「「引退した時」など、あなたが困っているときに、きっと手を差し伸べて助けてくれますから。

 

まとめ

今回は「強くなるためにコミュニケーションは不要?人間関係から考える相撲論」
という内容で僕の体験をもとに、ご紹介させていただきました。

「朱に交われば赤くなる」という言葉があります。
相撲部屋に入門した時点で「強くなる環境」ではありますが、それは「力士」としてみた場合、全員が同じ環境です。

当然ながら出世するには、その中を勝ち上がらなければなりません。
そのためには「さらに強くなる環境」に身を置く必要があるといえるでしょう。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。

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