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入門が決まるまでは、期待と不安が入り混じって落ち着かない日々でした。

ところが実際にきつかったのは、部屋に入ってからのほうです。スケジュールを知らされることがなく、その日その日を、言われるがままに過ごしていました

掃除や洗濯、食器洗いを手伝った方が良いのか、まだ早いのか・・・。「相撲界は上下関係が厳しい」という事前の情報が邪魔をして、気軽に誰かに聞くこともできません。

自分がいまどの段階にいるのか分からない。それが不安の正体でした。

こんにちは、元力士のしんざぶろうです。

力士になると決めたあと、まず何をすればいいのか。そして入門したら、どんな順番で日が進んでいくのか。

結論から言うと、入口は、希望する相撲部屋へ自分から連絡することです。そこから師匠と話し、書類の提出と検査を経て力士になります。

この記事では、相撲部屋へ入門する方法と、新弟子が入門してから千秋楽を迎えるまでのスケジュールを解説します。

相撲観戦大好き さくら
相撲観戦大好き さくら

入門のしかただけでなく、入ったあとに何日目で何があるのかまで分かるんですね。

順番が見えていれば、当日になって慌てずに済みそうです。

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相撲部屋へ入門する方法

相撲部屋に入門することを決めたら、当然ではありますがその部屋の師匠に、入門したいという意思を伝えなくてはいけません。

力士になるまでは、次の5段階を通ります。

  • 希望する相撲部屋へ問い合わせる
  • 師匠と入門について話す(体験入門をさせてもらえることもあります)
  • 師匠を通じて、必要な書類とあわせて力士検査届を提出する
  • 協会が指定する医師の健康診断と、新弟子検査を受ける
  • 合格して登録され、力士として認められる

新弟子検査を受けられる条件

検査を受けるには、体格と年齢に基準があります。

受検の基本となる資格

  • 義務教育を修了した健康な男子
  • 身長167センチ以上・体重67キロ以上(令和6年9月26日現在)
  • 年齢は一般で満23歳未満
  • 三月場所の受検者で中学校卒業見込みの人は、165センチ以上・65キロ以上

参考:日本相撲協会「力士になるには」

年齢には例外があります。協会が指定する社会人・大学のアマチュア大会で一定の成績を残した人、各競技で高等学校以上の全国大会に出場した経験がある人、新弟子運動能力検査に合格した人は、満25歳未満まで受けられます。

体格の基準に届かない場合も、新弟子運動能力検査を受けて運動能力が十分だと認められれば、新弟子検査を受けられます。

相撲観戦大好き さくら
相撲観戦大好き さくら

23歳を過ぎたらもう入れない、と思っていました。

大会の実績や運動能力の検査で、上が25歳まで延びることがあるんですね。

まずは部屋へ連絡する

書類も検査も、始まりはひとつの連絡からです。僕がその一本をかけるまでには、ずいぶん時間がかかりました。

元力士が電話をかけた日

僕の場合はいたってシンプルで、直接部屋へ電話しました。当時はそれしか連絡手段がなかったので、考える余地はありません。

電話帳を広げ、番号を調べて・・・。

番号がわかっても緊張してかけることができず、電話の前で何時間も過ごしました。今ではいい思い出です。

しかし、現在はインターネットが普及しています。

ホームページに「新弟子募集」の項目を置き、電話やメールで問い合わせを受け付けている部屋もあります。募集の条件をそこに書いている部屋もあるので、連絡する前に読んでおくと話が早いです。

ですので、師匠とコンタクトを取ることは、それほどハードルが高くないと思います。
勇気を出して行動してみましょう。

それでも「本当に相撲界に入って後悔しないのか・・・。」と、
迷っている方もいると思います。

そこで、おすすめするのが体験入門です。

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体験入門をしてみよう!

「厳しい稽古についていけるだろうか」
「そもそも自分は相撲に向いているのだろうか」
と、入門を決断できない方もいるでしょう。

そこでおすすめするのが「体験入門」です。
実際に先輩力士(兄弟子)と一緒に、相撲部屋で生活をしてみるのです。
まわしを締めて稽古をするのはもちろん、入浴や食事など日常生活すべてを共にします

僕の場合は中学3年生の夏休みを利用して、1週間体験させてもらいました。
僕は当時、相撲界についてテレビを通じた情報しか知らず、華やかな部分しか見ていませんでした。

そして、体験入門をしてみて感じたのは「なんかイメージと違う」でした。
薄暗い稽古場で、黙々と鍛錬を重ねる日々は、華やかなイメージとはかけ離れたものだったのです。

稽古で気づいた自分の弱さ

さらに、稽古に参加すると大きな勘違いに気づくことになります。
それは「自分は強い!」という根拠もない自信です。

相手をしてくれたのはおそらく「三段目」くらいの人で、関取ではありません。
正直なめてかかっていましたが、まったく歯が立ちませんでした。

「こんなに強い人が関取じゃないなんて!」
「じゃあ関取、はたまた三役はどれだけ強いんだ!」と、
自分の弱さを実感し、強烈なショックを受けました。

これを機に僕は一度「力士」になることを諦め、高校進学を選択します。

しかし、進学後もいろいろとありまして、高校を中退して他の部屋に入門することになるのですが、その話はまたの機会にしますね。

このように、実際の相撲部屋での生活を経験できるので、
「やはり自分には難しそう・・・」と感じたら、違う道を選ぶこともできます。

後悔しないためにも、体験入門を受け付けている部屋であれば、師匠にお願いしてみましょう。

管理人の後輩 元力士 まさる
管理人の後輩 元力士 まさる

体験入門って、稽古そのものより、稽古が終わったあとの時間で驚くことが多いんですよね。

朝から夜まで同じ人たちと過ごすので、そこが合うかどうかは、行ってみないと分からないです。

 

ちなみに、力士になるための条件や相撲部屋を探すためのアドバイスなど、僕の経験をもとに記事にまとめていますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。

部屋を選ぶポイントのイメージ画像
力士になるための入門条件!自分に合った部屋を探すポイントは?力士入門を目指すなら、入門条件の確認は欠かせません。本記事では元力士しんざぶろうが、力士になるための条件や自分に合った相撲部屋の選び方を詳しく解説します。部屋選びは力士として、出世するための重要な要素です。そのポイントもあわせて紹介します。...

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相撲部屋へ入門してから千秋楽までのスケジュール

力士になるには新弟子検査で合格しなければいけません。
その新弟子検査は本場所の数日前に行われます。

新弟子検査も前相撲も本場所を軸に動くので、まずは本場所の日程からです。

本場所は年6回

開かれる月と場所は、次のとおりです。

  • 1月場所(両国)
  • 3月場所(大阪)
  • 5月場所(両国)
  • 7月場所(名古屋)
  • 9月場所(両国)
  • 11月場所(九州)

奇数月に本場所があると覚えると良いですね。

相撲部屋への入門

僕の場合、本場所の約1か月前から部屋での生活をスタートさせました。
そして、入門といっても僕の部屋では新弟子検査に合格するまではお客さん扱いです。

朝稽古を見学し、入浴⇒昼食⇒昼寝⇒夕食⇒就寝。
これの繰り返しで、しかも個室で一人だったこともあり正直退屈でした。

師匠の考えで、検査に合格させるために少しでも身体を大きくするため、ひたすら寝て体を休めるように言われていました。

部屋によって待遇は違うと思いますが、参考にしてみてくださいね。

番付発表

番付発表は、初日の約2週間前です。一月場所のように、3週間近く空く場所もあります。
そして、僕がいた部屋では、番付発表当日の稽古は休みでした。

番付は若い衆が総出で郵送する

休んでまで何をするかというと、家族や友人、後援会などお世話になっている人たちに番付を郵送するのです。
師匠や関取ともなるとものすごい量になるので、その手伝いをします。(この時点では、自分は番付に載っていないので郵送しません。)

なお、自分の番付が刷られるようになってからも、家族へ送るのは師匠と関取の分を送り終えたあとでした。

まずは番付や封筒に、師匠や関取それぞれの名前が入ったゴム印を、一枚ずつ押していきます。差出人の名前を入れるためです。

そして、送り先によって包み方が変わります。数枚であれば、番付を折りたたんで封筒に入れます。

ところが後援会のように、まとめて数十枚が届く先は封筒に収まりません。そういう先へは、番付を丸めて模造紙にくるんで送っていました。

あとは切手を貼って郵便局へ持っていくだけなのですが、何百枚と送るので郵送代は1万円を超えていました。
横で見ていた僕は、番付を送るだけでこんなにかかるのかと驚いたのを覚えています。

数百通もの郵便を送るのは想像以上に重労働で、若い衆が総出でかかっても、終わるまでに半日以上かかりました。

ここまでは僕がいた部屋の話ですが、番付発表の日の部屋の様子は、二子山部屋の公式チャンネルでも公開されています。

届いた番付を開封し、力士が一人ずつ自分の番付を確かめる場面から始まり、その日の朝のちゃんこ(具だくさんのカレー)までが映っています。

相撲観戦大好き さくら
相撲観戦大好き さくら

番付って、受け取って終わりではないんですね。

ゴム印を一枚ずつ押していくところを想像すると、半日以上かかるのも分かる気がします。

新弟子検査

本場所が始まる数日前に、指定された場所で検査を受け、健康診断とあわせて合格すると、力士として登録されます。この時点ではまだ番付に四股名は載りませんが、ここから正式に力士です。

でも、ここから部屋での扱いが変わり、お客さんから新弟子となります。
個室から大部屋へ移動し、稽古も本格的に始まります。
一番下っ端なので雑用もたくさん出てきます。

ここで一番頼りになるのが、入門時期が近い兄弟子です。
そう、自分が新弟子となる前まで一番下であった兄弟子を頼ると良いですよ。

管理人の後輩 元力士 まさる
管理人の後輩 元力士 まさる

一つ上の兄弟子は、雑用の段取りを覚えたばかりなので、聞けばすぐ教えてくれるんですよね。

自分が困ったところを、そのまま通ってきた人ですから。

前相撲

主に新弟子検査に合格した者が対象で、本場所3日目から行われます(三月場所は2日目から)。怪我や病気で全休が続き、番付外まで下がった力士が取ることもあります。
「前相撲」というくらいなので、その日の取組の先頭です。午前9時20分ごろの開始が目安で、日によって前後します。

取組では仕切りを1回だけして立ち合います

出世は成績のよい力士から順に決まりますが、前相撲を全休しないかぎり、成績に関係なく新序出世披露を受けられます。
前相撲から始まる人は来場所が「序ノ口」なので、勝ち負けをあまり気にすることはありません。

番付に載る来場所からが本番なのですから。

ただし、この順番を通らずに土俵に上がる人もいます。

番付から始まる例外

アマチュア相撲で協会の定める成績を残した人には、前相撲を取らずに番付へ載る「付出し」が認められます。

付出しで載る番付は、高い場合で幕下最下位格です(令和7年2月時点)。

参考:日本相撲協会「土俵上のタイムスケジュール」日本相撲協会「大相撲クイズ No.1147」『相撲大事典』第4版、金指基 原著、現代書館

出世披露

前相撲で出世が決まると「新序」となり、翌場所から「序ノ口」として番付にしこ名が載ります。
そして、その資格を得た力士をお客さんに紹介するのが「出世披露」(新序出世披露)です。

行われるのは本場所の中日(8日目)で、時間は「十両土俵入り」の前です。午後1時ごろ、三段目の取組の途中に行われ、三月場所だけは5日目と9日目です。
参考:『相撲大事典』第4版、金指基 原著、現代書館

この時間になるとお客さんも増え、関取衆もたくさんいます。

正直、前相撲より緊張するかもしれません。

しかし、この出世披露では、普段は関取だけが締める「化粧まわし」を身につけることができます。もちろん自分の物は持っていないので、師匠や関取に借りることになりますが。

なので、この記事を読んでくれているあなたは、自分の化粧まわしを締められるように、がんばってくださいね。

相撲観戦大好き さくら
相撲観戦大好き さくら

はじめて名前を呼ばれる日に、締めているのが借りた化粧まわしというのが、なんだか胸に残ります。

自分の一本を持てる日を目標にする人も、いそうですね。

 

なお、出世披露が終わると、相撲協会の親方衆や部屋の兄弟子たちに挨拶をして回ります。これはとても重要な習わしですので、相撲界の礼儀についてまとめた記事を、ぜひチェックしてみてください。

サンキューを表現した画像
「ごっちゃんです」の意味は?「ちゃし」って挨拶?相撲界の礼儀作法相撲の「ごっちゃんです」は、力士が感謝の意を表す大切な挨拶ですが、使い方によっては失礼にあたることも。本記事では、「ごっちゃんです」の意味や由来、「ちゃし」への略語化がなぜ問題視されるのか、相撲界の礼儀や文化とともに詳しく解説しています。...

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千秋楽

本場所15日目が千秋楽です。
ここで幕内優勝が決まることも多いですよね。

本場所はこれで終わりますが、僕がいた部屋では、千秋楽のあとに後援会やファンを招いた「パーティー」がありました。

パーティーと聞いてワクワクする方もいるかもしれませんが、力士はお客さんではありません。開催している側なのです。

何が言いたいのかというと、千秋楽パーティーは後援会やファンに感謝を伝える場なのです。ここでの力士の役目は「接待」といっても過言ではありません。

本場所で疲れているところ辛いのですが、これも相撲界を支えていく大切な役目です。
ファンを大切にしなくては、どんなスポーツも成り立ちません。

相撲界のため、ひいては自分のためと思って、ファンに楽しんでもらえるよう振る舞ってくださいね。

管理人の後輩 元力士 まさる
管理人の後輩 元力士 まさる

千秋楽のパーティーは、体は場所中よりずっと楽なんですけど、気が抜けないんですよね。

15日間が終わったあとに、もう一度背筋を伸ばす感じです。

 

なお、日本相撲協会に登録された新弟子は、相撲教習所で6か月間の指導教育を受けます。実技指導と教養講座が中心です。

参考:日本相撲協会「協会の使命・組織」

どんなカリキュラムがあり、どのように過ごしていくのかを解説した記事がこちらです。興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

授業中のイラスト
相撲教習所では何をするの?期間やカリキュラムを元力士が徹底解説!相撲教習所では、力士たちが相撲の基礎知識を学び、厳しい稽古に耐えられる体力や気力を養います。本記事では、相撲教習所の通学期間やカリキュラム、日々の稽古内容などを元力士しんざぶろうが詳しく解説していきます。...

相撲部屋への入門に関するよくある質問

入門の前に迷いやすいのは、連絡のしかたと年齢や体格の条件、そして番付に四股名が載る時期です。

Q1. 相撲部屋にはどうやって連絡すればいいですか?

A. 希望する部屋へ、自分から直接連絡します。ホームページに「新弟子募集」の項目を置き、電話やメールで問い合わせを受け付けている部屋もあります。

入門が決まったあとは、師匠を通じて、必要な書類とあわせて力士検査届を提出します。

Q2. 力士になるための条件はありますか?

A. 義務教育を修了した健康な男子で、身長167センチ以上・体重67キロ以上、年齢は一般で満23歳未満です(体格の基準は令和6年9月26日現在)。

三月場所の受検者で中学校卒業見込みの人は、165センチ以上・65キロ以上です。

年齢の上限は、協会が指定する社会人・大学のアマチュア大会で一定の成績を残した人、各競技で高等学校以上の全国大会に出場した経験がある人、新弟子運動能力検査に合格した人については満25歳未満になります。体格の基準に届かない場合も、新弟子運動能力検査で運動能力が認められれば受検できます。

Q3. 体験入門はできますか?

A. 受け付けている部屋であれば、師匠にお願いできます。

まわしを締めて稽古をするだけでなく、入浴や食事まで一緒に過ごすので、自分に合う世界かどうかを、入門を決める前に確かめられます。

Q4. 新弟子検査に合格したら、すぐ番付に載りますか?

A. 合格した場所では前相撲を取り、番付に四股名が載るのは翌場所からです。

ただし、アマチュア相撲で協会の定める成績を残した人には、前相撲を取らずに番付へ載る「付出し」が認められます。

Q5. 出世披露はいつ行われますか?

A. 本場所の中日(8日目)で、十両土俵入りの前です。午後1時ごろが目安で、三月場所だけは5日目と9日目に行われます。

関取にしか許されない化粧まわしを、この日は借りて締めます。

まとめ

相撲部屋へ入門する入口は、希望する部屋へ自分から連絡することです。そこから師匠と話し、力士検査届を出して健康診断と新弟子検査を受け、登録されて力士になります。

入門したあとは、番付発表、新弟子検査、前相撲、出世披露、そして千秋楽と、決まった順番で日が進みます。僕はこの順番を知らないまま部屋に入ったので、自分がいまどの段階にいるのか分からず、必要以上に不安な時間を過ごしました

先が読めるだけで、稽古に向ける気持ちはずいぶん変わります。

これから門を叩く方は、この順番だけでも頭に入れて部屋へ向かってください。

AI横綱くん
AI横綱くん

うむ。入門から千秋楽まで、進む順番はおおむね決まっておる。

先が見えぬから不安になるのであって、次に何が来るかを知っておれば、心の置きどころができる。

門を叩く前に、この順番を頭に入れておくとよい。

相撲観戦大好き さくら
相撲観戦大好き さくら
ここまで読んだら、相撲の知識が少し増えた気がしますね。次はクイズで確認してみると、もっと楽しく覚えられますよ!
大相撲クイズまとめ記事へのイラスト
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