相撲雑学

相撲の報奨金ってなに?元力士が複雑なシステムをわかりやすく解説

現役時代、一度は手にしたいと思っていた「報奨金」!!
つまり、それは「関取になりたかった」ということと同義なんですけどね(-_-;)
元力士のしんざぶろうです。こんにちは!

相撲ファンの中でも「報奨金」について知らない方は多いのではないでしょうか?耳にしたことがある人でも、その仕組みをしっかり理解している人は意外と少ないと思います。

でも、この報奨金のシステムを知ると、相撲観戦がもっと面白くなると思います!このあと詳しく解説していきますが、報奨金は力士の成績に応じて加算されていく仕組みなので、応援している力士の今場所の成績で「どれくらい増えたかな?」と予想することができるので、きっともっと楽くなりますよ。

それでは、報奨金について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお付き合いくださいね。

この記事を読んでわかること
  • 力士の報奨金とは何か、その仕組みについて
  • 「給金」と「報奨金」の違い
  • 勝ち越しや金星など、報奨金が加算される要件
  • 番付による最低支給標準額の詳細
  • 幕下以下の力士に適用される奨励金の制度
  • 歴代横綱の給金の実例
  • 報奨金制度の変遷と倍率の変化
管理人の後輩
元力士 まさる
管理人の後輩
元力士 まさる
実は僕も「報奨金」って詳しく知らないんだよね。
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報奨金とは

まずは最大の結論からいきますね!

力士の報奨金とは、

  • 良い成績を収めた力士に対して、その努力を称えて与えられる賞金のようなもの

こうしたものと考えてください。良い成績の一例としては、勝ち越しが挙げられますが、平幕の力士が横綱に勝って金星を挙げた場合なども評価され、報奨金が加算されます。

もちろん、最高優勝も素晴らしい成績ですが、全勝優勝はさらに高く評価され、その報奨金もより多くなります。相撲界では、このように「良い成績」とされる要素がいくつかあり、報奨金はそれに応じて支給されます。ちなみに、力士報奨金は「持ち給金」や「給金」とも呼ばれています。

そして、報奨金を金額に換算する方法は、給金の額に4000を掛けます。例えば、給金が200円であれば、200円×4000=80万円。これが年6回の本場所ごとに支給される仕組みです。

報奨金の支給対象

では、その報奨金の支給は全員に行われるかといえば、そうではありません。この報奨金の支給対象は、十両以上の関取のみです。ですので、ここからはわかりやすく「報奨金」と「給金」は別物として話を進めていきます。

給金と報奨金は同じともいえるが、別々に考えた方が理解しやすい
〇給金
⇒幕下以下を含めたすべての力士に設定されており、成績によって加算される。
〇報奨金
⇒十両以上の関取に対し、本場所ごとに支給される。
金額は「給金」に4000を掛けた額。

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給金の仕組みと最低保証

先述しましたが、給金は全ての力士(養成員も含む)に設定されており、成績によって力士ごとで異なります。良い成績を残すと加算されますが、減算されることはありません。

この給金は、前相撲を経て、初めて番付に「序の口」として載ることで「3円」が加算されます。つまり、全ての力士は「3円」からスタートするということです。(付け出しを含む)

また、主な給金の加算要件として「勝ち星」があります。長く本場所を経験している力士ほど給金が多くなる一方で、出世が早い力士ほど給金が少ないという現象が起こることがあります。そこで、出世に応じた(実際の強さ)最低限の報奨金額を保証する「最低支給標準額」が設定されています。以下の表にまとめました。

番付名 最低支給標準額
(持ち給金)
最低額での報奨金
(持ち給金×4000)
横綱 150円 60万円
大関 100円 40万円
幕内 60円 24万円
十両 40円 16万円
幕下以下 3円 支給されない

「最低支給標準額」によって引き上げられた給金は、特例であるため、その番付を降格すると本来の給金に引き下げられます。
例:「幕下」給金20円の場合
⇒「十両」へ昇格:最低保証の給金「40円」が適用
⇒翌場所、幕下へ降格:もとの給金「20円」が適用
*負け越しなどによる給金の減算はない。

給金の加算要件

相撲協会の規定によると「本場所相撲の成績に基づき、勝ち越し星1番につき、50銭を増加する」となっています。たとえば、十両以上の力士は15日間の取り組みがるので、8勝すると勝越しとなります。勝ち越すと加算要件を満たしますが「勝越し星」の計算については以下にまとめました。

勝越し星について

〇計算方法:勝ち星-負けた数=加算点数

  • 幕下以下:7戦⇒勝ち星3つがボーダーライン
    例:①4勝-3敗=1点(0.5円の加算)
    ②7勝-0敗=7点(3.5円の加算)
  • 十両以上:15戦⇒勝ち星7つがボーダーライン
    例:①8勝-7敗=1点(0.5円の加算)
    ②15勝-0敗=15点(7.5円の加算)

また、「金星」「幕内優勝」「幕内全勝優勝」の要件もあり、加算される金額は以下の表にまとめました。

要件 金額
勝ち越し星1点につき 0.5円(50銭)
金星 10円
幕内最高優勝
30円
幕内全勝優勝 50円

この表をみていただくとわかるように、幕下以下は「勝ち越す」以外に給金を加算することはできません。幕内力士であっても、勝越し以外の加算要件が「金星」と「幕内優勝」ですから、かなりハードルが高いことがわかります。

〇実は報奨金の倍率は、何度も改定されています。以下にまとめました。

  • 1969年まで:1,000倍
  • 1970年~1984年:1,500倍
  • 1985年~1997年:2,500倍
  • 1998年~現在(2024):4,000倍

実は、給金の加算要件である「勝ち越し」を果たした時点で、兄弟子や親方など、普段お世話になっている方々全員に挨拶して回る習わしがあります。その際の口上が「おかげさまで給金をなおすことができました」というものです。これは、簡単に言うと「給金が上がりましたよ」、つまり「勝ち越しました」という報告になります。

相撲界には、このような独特の挨拶や習わしが他にもたくさんあります。興味がある方は、それらをまとめた記事があるので、ぜひチェックしてみてください。

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横綱の給金は?

横綱は大相撲の頂点に立つ存在なので、当然ながら報奨金の額も高くなることが多いです。しかし、横綱になった後にケガに悩まされたりなど、さまざまな理由で本来の力が発揮できなかった例も少なくありません。そこで、参考までに歴代横綱の給金を数名ご紹介します。

横綱の給金(一例)

大鵬:1489.50円
千代の富士:1447.50円
貴乃花:1060円
白鵬:2187円
照ノ富士(2024年現在):およそ448円

相撲観戦大好き
さくら
相撲観戦大好き
さくら
うわーっ!
この金額に2500とか4000を掛けた額がもらえるなんて、すごいね!

幕下以下の報奨金に変わる制度

幕下以下の力士たちには、報奨金がない代わりに(真実はわかりませんが・・・)奨励金という制度があります。本場所の成績に応じて支給されるもので、番付によっても金額に違いが設けられています。以下の表を参考にしてください。

番付名 収入の種類 金額
幕下 勝ち星(1勝) 2500円
勝越し星 6000円
三段目 勝ち星(1勝) 2000円
勝越し星 4500円
序二段/序の口 勝ち星(1勝) 1500円
勝越し星 3500円

勝越し金については、上記で説明した「勝ち越し星」と計算方法は一緒です。ちなみに、今回は報奨金について解説しましたが、その他の力士たちの収入については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

お金と財布の画像
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まとめ

報奨金は、力士たちのモチベーションをぐっと高めてくれる、大事なシステムです。成績によって金額が大きく変わるため、力士にとって勝ち越しや金星を目指す一つの目標になります。

たとえば、平幕の力士が横綱に勝てば、その功績が評価され報奨金がアップしますから、頑張った分だけ報われる仕組みですよね。力士にとっても、ファンにとっても、報奨金システムは相撲観戦を盛り上げる重要な要素と言えるでしょう。

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。

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