相撲雑学

木村庄之助と式守伊之助の年収に違いはあるの?地位や役割も徹底解説

僕は現役時代に、本場所で何度か物言いがついたことがあります。勝った!と思ったのに、それに反して負け判定になると、その悔しさはハンパないんですよね・・・

こんにちは、元力士のしんざぶろうです!

相撲の世界では、力士が注目を集めることが多いですが、その舞台裏で重要な役割を果たしているのが「行司」と呼ばれる人々です。彼らは、力士の取り組みを進行させ、勝敗を裁定するだけでなく、番付を作成したり場内放送を行うなど、幅広い役割を担っており、相撲界には欠かせない存在です。

特に「木村庄之助」と「式守伊之助」という名前は、相撲ファンなら一度は耳にしたことがあるでしょう。この二人は、行司最高位にあたる「立行司」であり、彼らの年収や役割に関心を持つ人も多いのではないでしょうか。

この記事では、木村庄之助と式守伊之助の年収や役割の違い、そして彼らがどのように相撲を支えているのかについて詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお付き合いくださいね。

管理人の後輩
元力士 まさる
管理人の後輩
元力士 まさる
木村庄之助といえば「結びの一番」だよね!僕も一度は、あの場に立ってみたかったなぁ。

 

この記事を読んでわかること
  • 木村庄之助と式守伊之助の年収と役割の違い
  • 行司の各階級の給料の詳細
  • 行司の退職金の額と勤続年数による加算例
  • 行司最高位の立行司が不在になった場合、結びの一番はどうするのか
  • 木村庄之助の引退と立行司の空位の理由
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木村庄之助の年収

冒頭でもお話しましたが、「木村庄之助」と「式守伊之助」は、行司最高位である「立行司」と呼ばれています。その中でも、木村庄之助が最上位であり、特に重要な「結びの一番」を裁く役割を担っています。

木村庄之助の年収は、本棒(基本給)で月に約40万〜50万円、年間で500万円前後ですが、衣装代や手当も加算されるため、総年収は1,000万円以上になることが予想されます。

ちなみに、第38代木村庄之助であった今岡秀樹氏(いまおか ひでき)は、2024年9月場所を最後に、定年65歳で引退しました。現在、木村庄之助のポストは空位となっています。

式守伊之助の年収

式守伊之助は木村庄之助に次ぐ地位の行司で、主に「結び前の二番」を裁きますが、木村庄之助が不在の場合は「結びの一番」を担当することもあります。

彼の月収も木村庄之助と同様に約40万〜50万円とされていますが、総年収は衣装代や手当を含めると1,000万円以上になると推測されます。ただし、木村庄之助よりも地位が低いため、それに伴って収入も若干低くなると考えられます。

現在(2024年10月)第42代式守伊之助は洞澤裕司氏(ほらさわ ゆうじ)が務めていますが、2025年1月には木村庄之助を襲名する予定です。

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行司の各階級の給料

ここからは、行司の階級別の詳しい給料についてお話しします。行司の給料は、「本棒」(基本給)と「手当」、装束補助費(衣装代)で構成されおり、その3つを合わせた金額が毎月支給されます。

そして「本棒」は各階級によって異なっています。
各階級の違いを下の表にまとめましたのでご覧ください。

階級 本棒(月) 手当(月) 装束補助費
(一場所につき)
立行司 400,000~500,000円未満 各人の能力・成績・勤務
状況ならびに物価・社会
状勢等を勘案し、理事長
が決定する。
50,000円
三役行司 360,000~400,000円未満 40,000円
幕内行司 200,000~360,000円未満 30,000円
十枚目行司 100,000~200,000円未満 25,000円
幕下行司 42,000~100,000円未満 20,000円
三段目行司 29,000~42,000円未満
序二段行司 20,000~29,000円未満
序の口行司 14,000~20,000円未満

手当については「能力や成績、勤務状況、さらに物価や社会の状況を考慮して、理事長が決定する」とされており、具体的な金額が公開されていません。しかし、初任給のみ情報として明らかにされているため、参考にしてください。

行司の初任給

本棒(月):14,000円
手当(月):126,000円
合計(月):140,000円

相撲協会の協会規定には、「横綱・大関および立行司に昇進したものには、名誉賞を授与する。名誉賞は、当分次の通り定める。」とあります。

行司が立行司に昇進した際の一時金は、

立行司 五〇〇、〇〇〇円が支給されます。

装束補助費(衣装代)とは

行司には、役職に応じた特別な衣装が必要です。特に木村庄之助や式守伊之助など行司の最高位となると、その衣装は非常に豪華で、特注品が多く用いられます。これらの衣装には相当な費用がかかり、行司の年収に大きく影響を与えます。

また、行司が使う軍配や短刀などの道具も、それぞれ特別に作られたものが使用されます。そして、基本的には個人が所有するものですが、軍配に関しては「譲り団扇」(ゆずりうちわ)という、習わしが存在し、先輩から代々受け継がれて使用されています。

こうしてみてみると、公表はされていませんが、軍配だけでなくその他の道具も先輩から譲り受けているものがあるかもしれませんね。

退職金について

行司の退職金については、役職や勤続年数によって異なります。例えば、立行司である木村庄之助の場合、一般的に150万円から250万円の範囲で支給されると言われています。

また、副立行司(現在は廃止)や三役格行司もそれぞれ違う金額が設定されており、副立行司は100万円から200万円、三役格は75万円から150万円とされています。

しかし、勤続年数に応じて退職金は加算される場合があり、過去には58年間勤続した立行司が1200万円を受け取った例もあるようです。

このように、行司の退職金は役職と経験に応じて大きく変わり、相撲界の経済状況によっても変動することが考えられます。

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 木村庄之助と式守伊之助の役割の違い

木村庄之助と式守伊之助は、行司最高位と次位を示す役職ですが、それぞれの役割にはいくつかの違いがあります。

では、木村庄之助と式守伊之助の役割に、どのような違いがあるのか見ていきましょう。

木村庄之助

木村庄之助は、行司最高位にあたり、番付に例えると「東の横綱」に相当すると言われています。

彼が裁く主な取り組みは「結びの一番」と呼ばれ、その日の最も重要な取組です。結びの一番は、相撲ファンにとって最も注目される瞬間であり、それを裁く木村庄之助の責任は重大です。

そして、装束の特徴として、木村庄之助の衣装や軍配の房色は「総紫」となっています。また、木村庄之助と式守伊之助の両者ともにですが、腰に短刀を差していることも注目すべき点です。

この短刀は、もし差し違えた場合には、自らの命を絶つ覚悟があることを示すとされています。

式守伊之助

一方で、式守伊之助は木村庄之助に次ぐ地位の行司で、番付に例えると「西の横綱」に相当すると言われています。

彼の主な役割は、結び前の二番など、重要な取り組みを担当します。木村庄之助がいない場合には結びの一番も裁くことがあり、木村庄之助が空位となった際には昇進の可能性があります。

また、式守伊之助の装束は、木村庄之助と異なり、衣装や軍配の房色が「紫白」(紫に白が混じっている)を身に着けており、この装束の違いが、両者の地位の違いを視覚的に示しています。

行司の階級と房色・着用具の違い

行司は現在、8階級に分けられ、それぞれ階級色や着用具が決まっています。
それぞれ、各階級の違いを一覧にまとめましたのでご覧ください。

階級 階級色(房の色) 着用具
立行司:木村庄之助 総紫 足袋、草履、短刀、印籠
立行司:式守伊之助 紫白
三役行司 足袋、草履、印籠
幕内行司 紅白 足袋
十枚目行司 青白
幕下行司 黒または青 なし(素足)
三段目
序二段
序の口

立行司が不在の場合、結びの一番はどうする?

立行司が不在の場合、結びの一番は三役格の行司が裁きます。

例えば、2018年の初場所では、木村庄之助が不在で、式守伊之助も不祥事で出場停止となり、三役格の式守勘太夫が結びの一番を裁くという異例の状況となりました。

特に千秋楽の結びの一番は、優勝を決める重要な取り組みであり、力士にとってはその努力を示す場、ファンにとっても感動の瞬間です。このような場面でも、大相撲の伝統を維持し、試合が円滑に進行する体制が整っているんですね。

主な立行司不在の事例
  • 1993年
    ⇒27代式守伊之助と28代木村庄之助が相次いで停年退職し、史上初の番付上立行司不在となりました。この時は、結びの一番を三役格の3人が交互で担当しています。
  • 2018年
    ⇒先述していますが、40代式守伊之助が地方巡業中の不祥事により、1月場所から3場所連続出場停止となり、その後辞職しています。このため、25年ぶりに立行司不在の場所が発生しました。
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なぜ、立行司に不在の期間があるのか?

立行司が不在となる期間が続く理由には、さまざまな要因がありますが、その大きな理由の一つとして「行司賞罰規定」があります。この規定の内容は以下の通りです。

行司賞罰規定

第7条
⇒立行司は、成績評価の対象より除外し、自己の責任と自覚をまつこととする。ただし、式守伊之助の名跡を襲名した者は、襲名時より2年間は他の行司と同一に扱うものとする。

つまり、立行司の昇進は成績評価によるものではなく、「自己の自覚と責任」が重視されるということです。また、「十枚目以上の行司は、自己の人格を磨き、技術を高める努力をしなければならない」との規定もあり、まさに品格が問われている立場であることがわかります。

これらを踏まえて、立行司が不在となる理由として次の2点が挙げられます。

不祥事や問題

立行司は、その判定に非常に厳しい目が向けられる存在です。特に土俵際での瞬間的な判断ミスは、勝敗を大きく左右し、力士や観客の信頼を損なう可能性があります。

また過去には、立行司の不祥事によってその地位を失うケースもありました。立行司は単なる判定役以上に、品格や行動が問われるため、その責任の重さから適任者を見つけるのが難しくなることも少なくありません。

伝統と慣習

立行司は大相撲の中で最も重要な役職であり、その役割を果たすためには長年の経験と高度な技術が求められます。

木村庄之助や式守伊之助といった名跡を襲名するには、その名声を背負う覚悟と実力が必要で、後継者の選定は極めて慎重に行われます。この厳しい選考過程により、適任者が見つかるまでに時間がかかることがあり、立行司の不在期間が続く要因の一つとなっています。

相撲観戦大好き
さくら
相撲観戦大好き
さくら
つまり席が空いたからといって繰り上がるわけではないのね。行司の横綱と言われるだけあるわ。

 

ちなみに、下の記事では「横綱昇進の条件について」解説しています。横綱と立行司のあり方には、共通するものがあると思いますので、ぜひチェックしてみてください。

横綱の人形の画像
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まとめ

今回の記事では、大相撲の行司である木村庄之助と式守伊之助について解説しました。彼らは相撲界での最高位の行司であり、木村庄之助は「結びの一番」を担当するなど、極めて重要な役割を担っています。

行司たちは相撲文化の継承に不可欠であり、その責任と報酬は比例していると言えます。そして、彼らの存在なくして大相撲の進行は成り立ちません。

ぜひ相撲観戦では、彼らの裁きにも注目してみてくださいね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう!

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