ちゃんこ鍋は本当に大好きで、何度食べても飽きません。冬には毎日のように、相撲部屋で覚えた鍋を作って楽しんでいます。たまに夏でも作ってしまうほどです!
こんにちは、元力士のしんざぶろうです。
「食べるのも稽古のうち」と、相撲界ではよく言われます。この言葉はまさに真実で、稽古よりも食べることの方が辛く感じることもありました。
今回は、そんな「力士の一日の食事量」についてお話しします。力士といえば、その大きな体を維持するために、どれだけ食べているのか気になる方も多いのではないでしょうか?
もちろん個人差はありますが、力士の食事量は一般の人からすると驚くほどのボリュームです。では、実際にどのような食事をしているのか、そしてその量はどれほどなのか、詳しく見ていきましょう!
最後までお付き合いくださいね!
さくら
- 力士の一日の食事量とそのカロリー
- 昼食と夕食の違いとそれぞれのカロリーの比較
- 力士が2食制である理由とその目的
- ちゃんこ番での体験談、食事準備の苦労
- 力士が自腹で夜食を買う理由と、若手力士にとっての夜食の重要性
力士の一日の食事量
力士の一日の食事量は、おおよそ7,000kcal〜8,000kcalだと言われています。一般的な成人男性の1日の摂取カロリーが2,000kcal〜2,700kcalほどですので、力士はその約3倍以上のカロリーを摂取していることになります。
そして、皆さんもご存知かもしれませんが、力士の食事回数は1日2食です。2食でこれだけのカロリーを摂取しているわけですから、相当な量を食べていることがわかりますよね。
- 力士
⇒7,000kcal〜8,000kcal - 一般の成人男性
⇒2,000kcal〜2,700kcal
では、実際にどれくらいの量を食べているのでしょうか。もちろん、個人差はありますし、特にちゃんこ鍋のような料理になると、誰がどれくらい食べたのか正確にはわかりません。
そこで、私が経験した範囲での感覚をもとに、大まかな量とカロリーをお伝えしていきたいと思います。「一日のご飯の量」「ちゃんこ鍋」「夕飯」という3つの項目に分けて見ていきましょう。
一日のご飯の量
ご飯を炊くときの目安は「1人1.3合」でしたが、前回の食事の「冷ごはん」を考慮しても、実際には1人あたり2合以上食べていました。
これを単純に2食分とすると、1日で4合のご飯を食べることになります。白米1合が約513kcalなので、ご飯だけで1日2,052kcal。これだけでも、一般成人男性の摂取カロリーに匹敵しますね。
給食室にあるような5升炊きの大きな釜で、一度に3〜4升ほど炊いていました。冷ごはんがあるので、Maxの5升を炊くことは滅多にありませんが、足りなくなって追加で炊くこともありました。
結局、1回の食事で実質的には5升以上を用意しないと足りなかったです。ちなみに、その時の力士(養成員含む)の人数は25人ほどでした。
ちゃんこ鍋
稽古のあとの昼食は、ちゃんこ鍋です。具材にもよりますが、ちゃんこ鍋1人前のカロリーは約300kcalとされています。力士はどんぶりでちゃんこを何度もお代わりするので、7~8人前は食べている感覚がありますね。
7人前だとしても、2,100kcalになります。
(ご飯のカロリーを除く)
夕飯
これを書いていて気づいたのですが、ちゃんこ鍋って野菜がたくさん入っているし、かなりヘルシーなんですね。夕飯の方が量的には少ないはずなのに、カロリーベースでは多いということになりますね。
- 一日のご飯
⇒4合(2,052kcal) - ちゃんこ鍋のみ
⇒7人前(2,100kcal) - 夕飯:おかずのみ
⇒3人前(2100kcal)
〇合計:6252kcal
*こうしてみると、冒頭のカロリーと近い数字がでましたね。
今回の計算はあくまでざっくりとしたもので、少なめに見積もった結果です。最低でもこれくらいは食べていると考えていただければと思います。さらに、ここには夜食が含まれていませんので、実際には優に7,000kcalを超えるでしょう。
力士の食生活
ここからは、力士の食事がイメージできるように、どのような物を食べているのか、一日の流れとともにその一例をご紹介いたします。
まず、力士の食事といえば「ちゃんこ鍋」が有名ですよね。ちゃんこ鍋は、鶏肉や豚肉、魚、野菜などをたっぷり入れた栄養満点の鍋料理です。鍋にすることで、短時間で多くの量を食べることができる上に、栄養バランスも整いやすいというメリットがあります。
力士たちは、このちゃんこ鍋をメインに、白米を大量に食べます。主食である白米でしっかりとカロリーを摂取し、体重を増やすための栄養を蓄えているのです。
ちなみに、僕が所属していた相撲部屋で一番人気だったちゃんこ鍋のレシピを、別の記事で紹介しています。興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
1. 昼食(稽古後)
昼食は稽古が終わった後に、力士たちが最もエネルギーを補給するタイミングです。この食事が、力士にとって一日の中で最も重要な食事となります。
- ちゃんこ鍋(鶏肉、豚肉、魚介類、野菜たっぷり)
- 白米(2合〜5合)
- 漬物
- フルーツやデザート
このように、多種類の食材が含まれる「ちゃんこ鍋」と大量の白米を組み合わせて食べます。また、力士たちは「たんぱく質」を多く含む食事を意識して摂取しています。鶏肉や豚肉、魚などの動物性たんぱく質が力士の筋肉を支える重要な要素となっています。
2. 夕食
夕食はちゃんこ鍋ではなく、一般家庭で食べられているような献立が中心です。ハンバーグや唐揚げ、餃子などもよく作っていました。
昼食と同じくボリュームはありますが、夕食は体の回復と翌日の稽古に備えるためのエネルギー補給が目的です。
- 白米(2合〜3合)
- 味噌汁
- 漬物
- 魚料理や肉料理
- 豆腐料理や野菜サラダ
- フルーツやデザート
このように、夕食も昼食に似た内容で、栄養バランスを考えた食事が中心です。ただし、夕食は昼食ほどのボリュームはなく、体の回復や翌日の稽古に備えるために、適度な量でエネルギーを補給することを目的としています。
さくら
力士の食事は1日2回!その理由は?
力士の食事スタイルで最も特徴的なのは、1日2食という点です。一般的には朝・昼・夜の3食が普通ですが、力士は「朝食」をとらず、朝稽古後に昼食、そして夕食の2食で1日分のエネルギーを補います。
この2食制にはいくつかの理由があります。まず、朝稽古前に食事をすると、消化が追いつかず、稽古中に体が重く感じてしまうことがあります。稽古は力士にとって最も重要な時間の一つであり、全力を発揮するためにも、空腹の状態で稽古に臨むの望ましいのでしょう。また、稽古が激しいため、食べたものを戻してしまうリスクを避けるためでもあります。
さらに、稽古後には大量のエネルギーを消費しているので、そのタイミングで一気にエネルギーを補給することが求められます。力士の食事は1回の量が非常に多いため、昼食と夕食の2食で必要なカロリーや栄養素をしっかり摂取できるようになっています。
食事の後には「昼寝」が定番で、これは体を休めるだけでなく、食べたものを効率的に吸収し、体を大きくするための重要なサイクルです。この食事と休息のリズムが、力士特有の巨大な体を作り上げる秘訣となっているのです。
- 力士の食事は1日2食(昼食と夕食)、朝食はとらない
- 朝稽古前に食べると消化が追いつかず、体が重く感じる
- 稽古が激しいため、食べたものを戻すリスクを避ける
- 稽古後に大量のエネルギーを補給するため、2食で必要なカロリーを摂取
- 食後には「昼寝」をして、食べたものを効率的に吸収し体を大きくする
また、力士たちの常識ともいえる「昼寝」に、焦点を当てた記事もあるので、こちらもぜひご覧ください。力士たちが、なぜ昼寝をするのか理解できると思います。
僕のちゃんこ番での体験談
力士の夜食は「自腹」で!?
力士は基本的に1日2食ですが、実はその間に「夜食」を取ることもよくあります。昼食と夕食だけでは物足りないと感じた場合、コンビニでお弁当やおにぎりを自腹で買って、寝る前に食べるんです。特に若い力士にとっては、この夜食が重要な「補食」となり、体作りをサポートしています。
若手の力士は、夜食でさらにカロリーを摂取し、体重を増やして筋肉をつけるためのエネルギーを補っています。昼と夜の食事だけではカロリーが不足する分を、夜食で補って体を大きくする工夫をしているわけです。
ただ、中にはスナック菓子や甘いプリン、アイスクリームなど、身体に良くないものを好んで食べる力士もいました。そういった力士は、すでに体が大きく、体作りというよりは単に好みで夜食を楽しんでいたのかもしれませんね。
自腹の話に触れましたが、力士たちのお金事情について、下記の記事で詳しく解説しています。収入だけでなく、何にお金を使っているのかもわかるので、ぜひチェックしてみてください。
元力士 まさる
まとめ
僕が力士だった頃、食事の準備を担当する「ちゃんこ番」として、食材をどれくらい使えばいいのか?など、食事量の調整に苦労したことが多々ありました。特に、みんなの食欲に応じてお米をどれだけ炊くかというのはプレッシャーでしたね。
また、力士の食事は単に「食べればいい」というものではなく、ちゃんこ長が栄養バランスや在庫、予算を考えてメニューを決めていました。おかみさんや親方のアドバイスも受けながら、力士の体調や成長に合わせた食事が提供されていたんです。
相撲の世界では「食べるのも稽古のうち」という言葉があるように、力士にとって食事は体を大きくし、強くなるための大切なプロセスです。食事と稽古、休息、このサイクルが力士の強さを支えているんですね。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。