相撲界で「三役」といえば、力士たちにとってはまさに雲の上の存在です。一緒に稽古場にいるだけで、空気がピリッと張り詰めて、自然と緊張してしまいます。でも、振り返ると、その独特な緊張感も今ではいい思い出になっています。
元力士のしんざぶろうです。こんにちは!
相撲界で力士たちが目指す大きな目標のひとつ、それが「三役」です。大関、関脇、小結という名誉ある地位に名を連ねることで、相撲ファンやメディアからの注目を集めるだけでなく、力士としての評価も大きく高まります。
この記事では、三役の定義や役割、それぞれの地位の詳細を解説するとともに、昇進することで得られるメリットなどをご紹介します。
ぜひ最後までお付き合いくださいね。
やっぱり三役から上位の取り組みって、どれも迫力満点で華があるよね!技のキレも駆け引きもレベルが違うし、いつも楽しみなんだよね♪
- 三役の定義と大関、関脇、小結それぞれの役割
- 大関の昇進条件や降格規定の仕組み
- 三役力士の給料や昇進に伴うメリット
- 現在の三役力士を調べる方法
- 「三役揃い踏み」の儀式とその意義
三役とは?その定義と役割
相撲における「三役」とは…
- 大関
- 関脇
- 小結
上記の三つの主要な地位を指します。
これらの地位に就く力士は、相撲界のトップクラスの実力を誇り、名誉ある存在として位置づけられています。特に横綱を除いた番付の中で、三役は実力の象徴とされ、相撲協会やファンから特別な注目を集めるポジションです。
その中でも大関は、三役の中で最も高い地位にあり、安定した成績を残せば横綱昇進が視野に入る重要な地位となります。
一方、関脇と小結は、その位置づけから次世代のスター候補として期待される力士が名を連ねる場所です。それぞれの役割を知ることで、三役がいかに相撲界において重要な役割を果たしているのか見えてくると思います。
通常、三役は上記で紹介したとおり大関、関脇、小結を指しますが、場合によっては大関を別格として扱い、関脇と小結のみを三役と呼ぶことがあります。
「三役揃い踏み」とは?
本場所の最後の残り3番のことを「これより三役」や「役相撲」と呼び、その前に行われる儀式が「三役揃い踏み」と言います。この儀式では、最後の3番に出場する力士たちが東西それぞれ3人ずつ土俵に上がり、正面を向いて四股を踏みます。
ここで登場する三役には横綱も含まれており、力士たちの中でも特に注目される存在が揃う場面です。また、平幕力士であっても優れた成績を残せば、この重要な舞台に抜擢されることもあります。
ちなみに、三役以外の番付について解説した記事がこちらにあります。序の口から横綱まで、相撲界の階級を詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
三役の各地位の詳細
それでは、三役を構成する各地位について詳しく見ていきましょう。
大関
- 番付内の位置
- 昇進条件
- 定員
- 役割・責任
- 給料
三役の中で最も高い地位。横綱に次ぐ地位
「三役の地位で3場所連続の勝ち越し」および「通算33勝以上」。
定められていない
相撲界を支える重要なポジション。責任感や品格が求められます。
月給250万円
大関は三役の中で最高位で、横綱に次ぐ名誉ある地位です。この地位には、実力と品格を兼ね備えた力士だけが昇進できます。条件としては「三役の地位での3場所連続勝ち越し」と「通算33勝以上」が目安とされますが、時代や状況によって基準が若干変動することもあります。
そして、大関は千秋楽の結びの一番や上位力士との取組を通じて本場所を盛り上げる重要な役割を果たします。一方で、2場所連続で負け越すと降格となりますが、1場所のみの負け越しでは「角番」となり、降格を防ぐための再起の機会が与えられます。
また、関脇へ降格した場合でも、次の場所で10勝以上を挙げれば特例として大関に復帰することが認められています。そのため、この条件を満たせなかった場合、大関の地位を完全に失ってしまいます。
なお、横綱に昇進するために必要な条件や品格などを解説した記事もあります。相撲界における「品格」という曖昧な定義をわかりやすく説明していますので、こちらもチェックしてみてください。
関脇
- 番付内の位置
- 昇進条件
大関の下、三役の中で中間の地位。
小結で11勝以上の好成績を挙げた場合は、戦後は例外なく関脇に昇進しています。ただし、昇進条件は明確に定められているわけではなく、上位陣の成績や番付状況に大きく影響を受けます。
平幕で好成績を上げた場合、小結を飛び越えて関脇に昇進するケースも存在します。
- 定員
- 役割・責任
- 給料
人数の下限として最低2名(東西1名ずつ)
大関昇進の前段階。実力を証明するポジション。
月給180万円。
関脇は、大関の下に位置し、三役の中で中間の地位を占める重要なポジションです。次世代の大関候補として注目されることが多く、関脇への昇進は力士の評価を大きく高める転機となります。
昇進の基準は小結での勝ち越しが目安ですが、小結で11勝以上の好成績を挙げた場合、戦後の例では例外なく関脇に昇進しています。ただし、昇進には上位陣の成績や番付の状況が大きく影響し、明確な基準がないため柔軟に判断されることもあります。
また、関脇に在位する力士は、上位力士との対戦が増えるため、実力を磨く絶好の機会を得られます。そのため、この地位での取組は、力士の成長を促し、大関への道を切り開くための重要なステップとなります。
小結
- 番付内の位置
- 昇進条件
- 定員
- 役割・責任
- 給料
三役の中で最も下位に位置。
前頭筆頭や2枚目での勝ち越し。ただし、昇進条件は明確に定められているわけではなく、上位陣の成績や番付状況に大きく影響を受けます。
人数の下限として最低2名(東西1名ずつ)
上位力士との対戦を経験し、実力を試される。
月給180万円
小結は三役の中で最も下位に位置する地位。この地位には、高い実力と安定した成績が必要とされます。小結の力士は、大関や横綱といった上位力士との対戦を通じ、技量を証明する重要な場となるのが特徴です。
昇進条件については、前頭筆頭や2枚目での勝ち越しが目安。ただし、上位陣の成績や番付の状況によって昇進が見送られる場合もあれば、通常の基準を満たさなくても昇進することもあります。
反対に小結で負け越した場合は、原則として平幕へ降格します。ただし、7勝8敗のような成績であれば、半枚降格で残留するケースもあります。(東小結から西小結)
三役の給料について
三役の給料を以下の表にまとめました。
収入の種類 | 番付名 | 金額 |
---|---|---|
月給 | 大関 | 250万円 |
関脇 | 180万円 | |
小結 | 180万円 |
表をご覧いただければわかる通り、関脇と小結は同列に「三役」として扱われ、給料も同額に設定されています。ただし、力士の収入はこれだけに留まらず、場所ごとに支給される報奨金や懸賞金が加わりますので、さらに大きな収入を得ることが出来ます。
しかし、関取が高額な手取りを得られる一方で、幕下以下の力士は限られた手当で生活を支えなければならない厳しい現実もあります。
なお、以下の記事で力士の給料や手当、報奨金について詳しく解説しています。三役の給料に加え、相撲界のお金事情が気になる方は、ぜひご覧ください。
三役に昇進するメリット
では、三役に昇進することで、力士にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、名声が大きく向上します。三役に名を連ねると、ファンやメディアからの注目が集まり、TVCMなどスポンサー契約の可能性も広がるのが特徴です。また、懸賞金や取組ごとの注目度も高まり、収入面でも大きなメリットが得られます。
特に大関に昇進した場合、月給や報奨金が増えるだけでなく、上位力士としての待遇を受けることが可能です。また、千秋楽の結びの一番に出場する機会が増える点も挙げられ、多くのファンにその存在感をアピールできる絶好の場といえるでしょう。
さらに、大関には引退後も特別な待遇が用意されています。年寄名跡を取得していなくても、引退後3年間は四股名のまま年寄として協会に残ることが認められる制度があります。
そして何より、「元三役」という肩書は、引退後の生活においても一目置かれる存在として機能するのです。
- 名声の向上
- 収入と待遇の改善
- 重要な取組への出場
- 引退後の特典
- 総括
ファンやメディアの注目が増え、スポンサー契約や収入アップに繋がる。
月給や報奨金が増え、大関なら特に優れた待遇を受けられる。
千秋楽の結びの一番で存在感を示せる。
大関は3年間、四股名のまま年寄として残れる。「元三役」の肩書も生かせる。
名声、収入、引退後の待遇など多くのメリットがあり、力士にとって大きな目標となる。
その一方で、僕自身は関取になれず、三役のような名声には程遠い存在でした。「最高位はどこだったのか」と聞かれるたびに内心で動揺し、「弱かったのか」と思われるのが怖くて、ごまかしてしまうこともありました。それでも、相撲界での経験を振り返れば、下位でも懸命に戦い抜いた日々には確かな誇りを持っています。
このように、三役に昇進することは、名声、収入、そして引退後の待遇に至るまで多くのメリットをもたらしますが、それを目指すために必要な努力と覚悟は並大抵のものではありません。それでも、多くの力士がこの目標に向かって精進し続けるのです。
今の三役の調べ方
現在の三役力士について知りたい場合は、日本相撲協会の公式サイトや最新の番付表を確認するのが最も確実です。これらを利用すれば、現時点での三役力士の情報を正確に把握できます。
さらに、最近の取組結果やニュースを調べることで、各力士の最新の活躍や状態についても詳しく知ることが可能です。以下に役立つリンクをまとめましたので、ぜひご活用ください。
日本相撲協会の公式サイト
日本相撲協会の公式サイトでは、最新の番付や三役力士の情報を簡単に確認できます。また、各力士の成績や次回の予定も詳しく掲載されています。相撲に関する公式情報を得るには最適な場所です。
番付表の入手
現在、番付表は国技館での販売が中止されており、入手するには通信販売を利用する必要があります。以下のリンクから購入が可能ですので、チェックしてみてください。
また、直接購入するだけでなく、「大相撲ファンクラブ」に加入することで、特典として番付を入手することもできます。相撲をさらに楽しみたい方にはおすすめの方法です。
公式サイトとか番付表をチェックすれば、すぐに今の三役がわかるなんて便利ね!次の場所では、どんなドラマが生まれるか今から楽しみだなぁ♪
なお、大相撲を本格的に楽しみたい方には、後援会などへの加入もおすすめです。後援会に入ることで、力士や相撲部屋をより身近に感じられる特別な体験ができることもあります。
詳しくは、以下の記事で紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
三役は、力士にとって名声や収入、引退後の待遇まで多くの恩恵をもたらす目標となる地位です。その一方で、三役に昇進するためには実力だけでなく、安定した成績や品格も求められます。
この記事を通じて、三役が相撲界で果たす重要な役割を知り、さらに相撲を楽しむきっかけとなれば幸いです。次の場所での三役力士の活躍にも注目して、観戦を楽しんでみてくださいね。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。