こんにちは!しんざぶろうです。
「力士になる事を決意したけど入門するにはどうしたらいいの?」と、悩んでいる方も多いと思います。
そこで今回の記事では、元力士の「しんざぶろう」が、
- 相撲部屋へ入門する方法
- 新弟子の千秋楽までのスケジュール
についてお伝えしていきます。
僕も当時は入門が決まるまで期待や不安が入り混じり、ドキドキして落ち着かない日々を過ごしていました。
しかし実際は、入門してから部屋に馴染むまでの期間の方が圧倒的に不安になります。
不安になった理由として、入門してからスケジュールを知らされることがなく、その日その日を言われるがまま過ごしていた事にあります。
自分がどのような状況に置かれているのか分からず、掃除や洗濯、食器洗いなどを手伝った方が良いのか、まだ早いのか・・・。
部屋の中でどのように行動したらいいのか判断に迷っていた事を思い出します。
「相撲界は上下関係が厳しい」という事前の情報が邪魔をして、気軽に誰かに聞くという事もできず、1人でものすごく不安な日々を過ごしていました。
僕のように不安な毎日を過ごさないためにも、ぜひ最後までお付き合いください。力士になる事を決意したあなたであれば、きっと役立つ情報が見つかるはずです。
では最初に相撲部屋の入門方法からみていきましょう!
相撲部屋へ入門する方法
相撲部屋に入門する事を決めたら、当然ではありますが「親方」にその意思を伝えなくてはいけません。
僕の場合はいたってシンプルで、直接部屋へ電話しました。
当時はそれしか連絡手段がなかったので考える余地はありません。
電話帳を広げ番号を調べて・・・。
電話番号がわかっても緊張して掛ける事ができず、電話の前で何時間も過ごしたのは、今ではいい思い出です。
しかし、現在はインターネットが普及しています。
しかも近年、「力士」になろうという若者が少なくなり、部屋では「新弟子」を積極的に募集しています。
ほとんどの部屋のホームページで「新弟子募集」の項目があり、電話やメールの問い合わせを受け付けているのです。
ですので、親方とコンタクトを取る事はそれほどハードルが高くないと思います。
勇気を出して行動してみましょう。
それでも「本当に相撲界に入って後悔しないのか・・・。」と、
迷っている方もいると思います。
そこで、おすすめするのが体験入門です。
体験入門をしてみよう!
「厳しい稽古についていけるだろうか」
「そもそも自分は相撲に向いているのだろうか」と、
決断できない方もいるでしょう。
そこでおすすめするのが「体験入門」です。
実際に先輩力士(兄弟子)と一緒に、相撲部屋で生活をしてみるのです。
まわしを締めて稽古をするのはもちろん、入浴や食事など日常生活すべてを共にします。
僕の場合は中学3年生の夏休みを利用して、1週間体験させてもらいました。
僕にとって相撲界というのはテレビを通じてだけの情報しかなかったので、華やかな部分しかみていません。
そして、体験入門をしてみて感じたのは「なんかイメージと違う」でした。
薄暗い稽古場で、黙々と鍛錬を重ねる日々は、華やかなイメージとはかけ離れたものだったのです。
さらに、稽古に参加すると大きな勘違いに気づくことになります。
それは「自分は強い!」という根拠もない自信です。
相手をしてくれたのはおそらく「三段目」くらいの人で、関取ではありません。
正直なめてかかっていましたが、まったく歯が立ちませんでした。
「こんなに強い人が関取じゃないなんて!」
「じゃあ関取、はたまた三役はどれだけ強いんだ!」と、
自分の弱さを実感し、強烈なショックを受けました。
これを機に僕は一度「力士」になる事を諦め、高校進学を選択します。
しかし、進学後もいろいろとありまして、高校を中退して他の部屋に入門することになるのですが、その話はまたの機会にしますね。
このように、実際に力士としての生活が体験できるので、
「やはり自分には難しそう・・・」と、感じたら違う道を選ぶ事もできます。
後悔しないためにも、親方に入門体験をお願いしてみましょう。
ちなみに、力士になるための条件や相撲部屋を探すためのアドバイスなど、僕の経験をもとに記事にまとめていますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
新弟子の千秋楽までのスケジュール
力士になるには新弟子検査で合格しなければいけません。
その新弟子検査は本場所の数日前に行われます。
なので、最初に本場所の日程から確認していきましょう。
本場所は年6回
- 1月場所(両国)
- 3月場所(大阪)
- 5月場所(両国)
- 7月場所(名古屋)
- 9月場所(両国)
- 11月場所(九州)
奇数月に本場所があると覚えると良いですね。
相撲部屋への入門
僕の場合、本場所の約1か月前から部屋での生活をスタートさせました。
そして、入門といっても僕の部屋では新弟子検査に合格するまではお客さん扱いです。
朝稽古を見学し、入浴⇒昼食⇒昼寝⇒夕食⇒就寝。
これの繰り返しで、しかも個室で一人だった事もあり正直退屈でした。
親方の考えで、検査に合格させるために少しでも身体を大きくするため、ひたすら寝て体を休めるように言われていました。
部屋によって待遇は違うと思いますが、参考にしてみてくださいね。
番付発表
本場所の約2週間前に番付発表があります。
そして、番付発表当日の稽古は休みです。
休んでまで何をするかというと、家族や友人、後援会などお世話になっている人たちに番付を郵送するのです。
自分の分はもちろんですが、親方や関取ともなるとものすごい量になるのでその手伝いをします。(この時点では、自分は番付に載っていないので郵送しません。)
番付や封筒にゴム印を押し、封筒に入るよう番付を折りたたみ、切手を貼って郵便局へ持っていく。
数百通もの郵便を送るのは想像以上に重労働です。
新弟子検査
本場所が始まる数日前に指定の場所で検査を行い、問題がなければ力士として登録されます。この時点では、まだ番付外の力士ですが。
まぁ見習いみたいなものですね。
でも、ここから部屋での扱いが変わり、お客さんから新弟子となります。
個室から大部屋へ移動し、稽古も本格的に始まります。
一番下っ端なので雑用もたくさん出てきます。
ここで一番頼りなるのが、入門時期が近い兄弟子です。
そう、自分が新弟子となる前まで一番下であった兄弟子を頼ると良いですよ。
前相撲
主に新弟子検査に合格した者が対象で、本場所3日目辺りで行われます。
「前相撲」というくらいなので、時間は一番最初の午前8:30くらいから始まります。
基本的に3勝するまで取り続け、ここでの成績が来場所の番付に影響します。
とはいっても、最初は全員「序ノ口」からなので、あまり気にする事はありません。
番付に載る来場所からが本番なのですから。
出世披露
前相撲を終えると来場所からは「序ノ口」です。
そして、「序ノ口」に上がる資格を得た力士をお客さんに紹介するのが「出世披露」です。
行われるのは本場所の7日目辺りで、時間は「十両土俵入り」前です。
この時間になるとお客さんも増え、関取衆もたくさんいます。
正直、前相撲より緊張するかもしれません。
しかし、この出世披露では関取にしか締める事が許されない「化粧まわし」を締める事が出来ます。もちろん自分の物は持っていないので、親方や関取に借りることになりますが。
なので、この記事を読んでくれているあなたは、自分の化粧まわしが締められるようがんばってくださいね。
なお、出世披露が終わると、相撲協会の親方衆や部屋の兄弟子たちに挨拶をして回ります。これはとても重要な習わしですので、相撲界の礼儀についてまとめた記事を、ぜひチェックしてみてください。
千秋楽
本場所15日目が千秋楽です。
ここで幕内優勝が決まることも多いですよね。
本場所はこれで終わりますが千秋楽のあとに待っているのは、各々の部屋で行われる「パーティー」です。
パーティーと聞いてワクワクする方もいるかもしれませんが、力士はお客さんではありません。開催している側なのです。
何が言いたいのかというと、千秋楽パーティーは後援会やファンに感謝を伝える場なのです。ここでの力士の役目は「接待」といっても過言ではありません。
本場所で疲れているところ辛いのですが、これも相撲界を支えていく大切な役目です。
ファンを大切にしなくては、どんなスポーツも成り立たちません。
相撲界のため、ひいては自分のためと思って、ファンに楽しんでもらえるよう振る舞ってくださいね。
なお、このあと相撲教習所で力士になるべく基礎を学んでいきます。どんなカリキュラムがあり、どのように過ごしていくのかを解説した記事がこちらです。
興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
今回は「相撲部屋へ入門する方法は?新弟子検査から千秋楽までの流れを紹介!」
という内容で、僕の体験談をもとに、ご紹介させていただきました。
入門してからどのようなスケジュールになっているのか、何となくでも把握していれば心の準備もできますよね。
心の準備ができれば不安やストレスも軽減できると思います。
そして何より、部屋に早く馴染むことができるので、それだけ稽古にも集中できます。
早く強くなれると言ってもいいかもしれませんよ。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
また、次回の記事でお会いしましょう。