こんにちは!しんざぶろうです。
「相撲教習所では何をどのように教えているの?」と、関心を持っている方も多いと思います。はたまた、力士を目指そうとしている方は不安を感じているかもしれませんね。
そこで今回、元力士「しんざぶろう」がお伝えする内容は、
- 相撲教習所とは?
- 期間とカリキュラム
についてです。
教習所と聞いて何となく想像できるかもしれませんが、簡単に言うと「新弟子が相撲について学ぶ」場所です。
力士になると誰しも受講しなければならない決まりになっており、現在活躍している横綱や大関も通っています。
しかし、その教習所の実態を一般方は知るすべがありません。施設そのものを見学する事はできても、稽古や授業の様子を見る事ができないからです。
なので、この記事を最後まで読んでいただければ、普通では知りえない情報がきっとみつかることでしょう。
では、さっそく相撲教習所について解説していきますね!
相撲教習所とは?
先ほども触れましたが、相撲教習所とは前相撲を取り終えて「新序」(序ノ口)になった力士が通学する機関です。
そして、その場所は「両国国技館内」にあります。
さらに教習所を開設した目的として
- 相撲の基本動作を習得する。
- 厳しい稽古に耐えうる基礎体力と気力を養う。
- 国技を継承していく者としての基本的な教養を身に付ける。
という事があげられます。
教習所の稽古も厳しいですが、部屋での稽古はさらに厳しいものとなります。
ここでしっかり稽古にはげみ、体力をつけておくことが賢明と言えるでしょう。
相撲教習所の通学期間とカリキュラム
通学する期間といっても、通常の学校のように入学する時期が決まっている訳ではありません。
正確に言うと初土俵を踏んだ本場所に応じて教習所のスタート時期が変わるのです。
まずはその通学期間から解説していきますね。
相撲教習所の通学期間
教習所へ通学する期間は6カ月となっています。
しかし、その6カ月の間に「本場所」があるので、実質3~4カ月程度になります。
たとえば大阪場所が初土俵の場合、以下ようなイメージになります。
- 3月:大阪場所(前相撲)
- 4月:教習所へ通学、入学!
- 5月:夏場所(両国)
- 6月:教習所へ通学
- 7月:名古屋場所
- 8月:教習所へ通学、卒業!
となるので、
3期の新弟子達が一緒になって学ぶという事になります。
相撲教習所の1日
- 7:00~実技
- 10:00~教養講座
- 11:00~風呂、食事
- 13:00~掃除・帰宅
- 16:00~相撲部屋の掃除が始じまるので、それまでに帰らなければならない。
*断っておきますが僕が通学していたのは20年以上前になります。
現在とは時間が異なる可能性があるので、参考までにしてください。
実技について
まず、ここで指導する方たちを紹介します。
- 指導員の親方
- 現役指導員:現役の力士が対象で自分の部屋の兄弟子が任命されることもあります。また、他部屋の兄弟子の場合は、本場所で対戦することもあります。
そして、この指導員のもと以下の訓練が行われます。
基礎体力
- 走り込み:
国技館の周り(敷地内)を3周くらい走ります。 - 相撲体操:
相撲のあらゆる戦況を想定した体操です。
活字での説明は難しいのでイメージトレーニングのようなものと思ってください。 - 腕立て:
指導員の掛け声と共に行われます。
「イチッ」で腕を曲げて上体をおろし「ニッ!」で腕を伸ばして上体を起こします。
ここで問題なのは指導員の掛け声に合わせなくてはならないという事です。「イチッ」のあとに「ニッ!」がなければ、上体をおろしたままの姿勢を保持しなければなりません。回数もテンポも指導員次第なので、いつ終わるかわからない恐怖と戦う事になります。 - 腰おろし:
これも腕立てと同じで、指導員の掛け声に合わせます。
腕を組んで四股を踏むように腰を下ろして静止。
次の掛け声を待ちます。
1~2分以上掛け声がないのは、ざらにあります。
基本的な相撲動作
- 四股(シコ):これは本場所でも必ず見る動作ですね。
片足を交互に上げて足腰を鍛えます。 - 鉄砲:
これは大きな「柱(はしら)」を対戦相手にみたてて「つっぱり」や「押し」を練習します。 - すり足:相撲では足が宙に浮いてしまうと「踏ん張り」がきかず、負けにつながることが多いです。
なので、足の裏をするように身体を動かす「すり足」が「相撲の基本中の基本」です。何度も繰り返し、身体にしみこませましょう。
申し合い稽古
「申し合い稽古」とは、多数人でおこなう勝ち残り戦です。負けるまで土俵から降りることはなく、勝ち続ければそれだけ多くの稽古ができるというシステムです。
土俵をたくさん作ることはできないので、効率よく稽古するために考えられた仕組みなのでしょう。
そして、教習所には土俵が3つもあります。A・B・Cとランク付けされており、自分の実力にあった土俵で稽古をします。
なお、稽古する土俵を決めるのは自分です。
最初から「俺は強い!」って、Aランクに挑むと怪我をするかもしれないので注意してくださいね。
ぶつかり稽古
「ぶつかり稽古」は、1対1で行われます。おもに最後に行われる仕上げの稽古です。ゆえに一番キツイ稽古と言われています。
- A:両手を広げて胸を出しBの押しを受け止め、途中で「すり足」や「受け身」も組み合わせます。指導的な立場になるので、ベテランや格上の力士が行う事が多いです。
どのくらいの時間、何回繰り返すかは、Aの判断にゆだねられます。 - B:Aの胸に向かってぶつかり、そのまま土俵外まで押しきります。
何度も何度も繰り返し押し続けます。
ちなみに、俗にいう「かわいがり」は、この稽古のことを指します。
AがBに稽古を指導してあげるのですね。
教養講座について
大学の先生を招いて1時間ほどの講義が行われます。
内容は曜日ごとに分かれており、以下のようになっています。
- 月曜日:相撲史
- 火曜日:国語(書道)
- 水曜日:社会
- 木曜日:相撲甚句・修行心得
- 金曜日:運動医学
ちなみに、相撲界は上下関係に非常に厳しい世界です。親方や兄弟子に対して挨拶できないと、人間関係で苦しむ可能性があります。こちらの記事では、挨拶についてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回は「相撲教習所では何をするの?期間やカリキュラムを元力士が徹底解説!」
という内容で僕の体験をもとに、ご紹介させていただきました。
教習所は同年代が集まれる唯一の場所でもあります。
部屋に馴染むまで心細いと思うので、他部屋の同期生と不安やつらい思いを分かち合う事も必要かもしれません。
期間は半年と短いですが、思いっきり楽しんでください!
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。