ピラミッドと聞くと某有名スロット機を思い出してしまうのは僕だけでしょうか?
「否!」「鉄板!」っということで、本題に戻ります。
こんにちは!元力士のしんざぶろうです。
相撲中継を観ていると、幕内や三役といった言葉をよく耳にしますよね。特に相撲ファンの方なら、「あの力士は三役だ」とか「平幕で頑張っているね」といった会話が飛び交うことも珍しくありません。しかし、実際にそれぞれの階級や番付がどういう仕組みなのかを、詳しく理解している人は少ないのではないでしょうか?
その他にも、相撲観戦が楽しくなる「番付の雑学」も紹介していますので、ぜひ最後まそこで今回は、相撲界の階級をわかりやすく解説するために、ピラミッド図を使ってご紹介します。
このピラミッドを理解すれば、今後の相撲観戦がもっと楽しくなるはずです。「あの力士は勝ち越したから、次の場所で階級が上がるかもしれないな」といった予測もできるようになり、応援する力士により一層熱が入るでしょう。
では最後までお付き合いくださいね!
さくら
- 相撲の階級と番付の仕組みについて
- 幕内力士とは何か、その役割と地位
- 三役の階級とその特徴
- 番付の決定方法と「本場所」の重要性
- 勝ち越し・負け越しの意味と番付への影響
- 番付表における「東・西」の違い
- カド番(角番)の意味と大関陥落のリスク
- 関取とはどこからが一人前とされるのか
相撲の番付ピラミッド
ご覧いただければわかるとは思いますが、相撲の階級は横綱を頂点とし、一番下は序の口で構成されています。(ピラミッドでは前相撲を記載しましたが、前相撲は番付外なので、番付の中で一番下は序の口になります)
そして、序二段以下は定員なしとなっており、入門者が増えてもこの下層で人数調整を行っていきます。(三段目は約180人となっていますが、現在はこの人数が定員です)
追記:2024年9月22日
日本相撲協会規約の「番付編成要領」第10条によって、それぞれ階級に定員が設定されています。そしてこのピラミッドは2024年現在のもので、将来変更になる可能性があることをご注意ください。
過去には何度も人数の変遷が行われており、これからも変更されるものと思われます。
ちなみに、僕が現役の時は、序二段200枚目(東西で400人)、序の口70枚目(東西で140人)まであり、現在の倍以上が在籍していました。競争率は今よりも過酷だったと言えます。出世できなかった言い訳をしているわけではありまんよ!!(-_-;)
〇2024年9月現在
- 序二段:98枚目(東西合わせて、196名)
- 序の口:17枚目(東西合わせて、34名)
では、これから冒頭で触れました、幕内・三役ってなに?という疑問を解説していきたいと思います。まずは、幕内の説明からどうぞ。
幕内とは?
幕内(まくのうち)とは、大相撲の番付で前頭以上の力士を指し、相撲界の最上位に位置するカテゴリーです。
ランクには前頭、関脇、小結、大関、横綱の5つがあり、定員は42人に制限(2024年現在)されています。NHKの相撲中継では、午後4時頃に土俵入りを行う力士たちが「幕内力士」として紹介されます。
ちなみに、この名前の由来は、江戸時代、将軍が相撲を観覧する際、優秀な力士が幕の内側に招かれたことにちなみ、「幕の内に入る力士」という意味を持つようになりました。幕内は十両の上に位置し、現代でも相撲界で最も高いステータスを象徴しています。
三役とは?
幕内の上位に位置する三つの階級を指します。具体的には、以下の三つを指す言葉です。
【上位階級順】
-
大関(おおぜき)
-
関脇(せきわけ)
-
小結(こむすび)
三役以上の定員について
三役(小結、関脇、大関)は、東西にそれぞれ少なくとも1名ずついなければならない、とされています。そして、横綱はいてもいなくてもかまわないとなっており、横綱不在の場所も過去にはありましたね。
つまり、上位陣が増えれば増えるほど、平幕の人数は少なくなるということです。
ちなみに直近の横綱不在は、平成4年7月場所~平成5年1月場所となっています。横綱「北勝海」が引退してから「曙」が横綱になるまでの期間が、番付上で横綱が不在となりました。
- 三役は東西に1名ずついなけらばならない
- 横綱はいてもいなくても可
- 上位陣の人数が増えると、平幕が少なくなる
相撲の番付の仕組み
階級は理解したけど、そもそも番付はどうやって決めているの?と新たな疑問が浮かぶと思います。ここではその仕組みを解説しますね。
どうやったら階級は上がる?
しかし1回勝ったからといってすぐに反映される訳でもありません。
「本場所」1場所単位の勝利数に応じて次の場所に反映されるのですが、そのあたりも説明しますね。
本場所とは?
番付に影響があるのは、年6回開催される「本場所」の戦績のみです。
知っている方も多いとは思いますが、巡業での対戦では全く番付に影響しません。
では、6回の本場所を一覧にしましたので確認してください。
本場所名 | 情報項目 | 解説 |
---|---|---|
1月場所 | 通称 | 初場所 |
開催地 | 東京 | |
開催時期 | 1月中旬(通常は1月の第2日曜日から15日間) | |
3月場所 | 通称 | 春場所、または大阪場所 |
開催地 | 大阪 | |
開催時期 | 3月中旬(通常は3月の第2日曜日から15日間) | |
5月場所 | 通称 | 夏場所 |
開催地 | 東京 | |
開催時期 | 5月中旬(通常は5月の第2日曜日から15日間) | |
7月場所 | 通称 | 名古屋場所 |
開催地 | 名古屋 | |
開催時期 | 7月中旬(通常は7月の第2日曜日から15日間) | |
9月場所 | 通称 | 秋場所 |
開催地 | 東京 | |
開催時期 | 9月中旬(通常は9月の第2日曜日から15日間) | |
11月場所 | 通称 | 九州場所 |
開催地 | 福岡 | |
開催時期 | 11月中旬(通常は11月の第2日曜日から15日間) |
このように本場所は年6回奇数月に開催されていることがわかります。
負け越し・勝ち越し
では上述しました「1場所単位の勝利数」とは、どういう意味なのか触れていきますね。
本場所は、1回の開催期間が15日間です。
その15日間の対戦において、勝利数が敗北数を上回った状態を「勝ち越し」と言います。
勝ち越すことで番付を上げることができる仕組みです。
それとは逆に、勝利数が敗北数を下回ると「負け越し」になります。
当然、負け越すと番付を下げることになります。
ちなみに力士全員が15戦あるわけではありません。
関取である十両以上は15日間、毎日取り組みがありますが、
幕下以下の取り組みは7戦となります。
- 十両以上は8勝以上で勝ち越し
- 幕下以下は4勝以上で勝ち越し
このように勝ち越すことで、次の場所では番付を上げることができます。
いつ番付は発表されるの?
では、その番付がいつ発表されるのかといえば、各本場所の約2週間前に発表されます。具体的には、本場所初日の2週間前の月曜日に発表されるのが一般的です。
相撲の番付を1つ1つご紹介
ここまで番付の仕組みについてお伝えしてきましたが、ここではその番付一つ一つを簡単な解説を交えて表にまとめてみました。
一覧になっているので比較しやすく、わかりやすいと思います。
ぜひピラミッド図と併せてご覧ください。
番付名 | 情報項目 | 解説 |
---|---|---|
横綱 | 地位 | 力士の最高位であり、実力と品格を兼ね備えた者が昇進します。一度横綱になると引退までその地位を保ちます。 |
給料 | 約300万円/月 | |
人数 | 平均1〜2名(定員なし) | |
大関 | 地位 | 高い実力を持つ力士が就く地位で、安定した成績を維持する必要があります。2場所連続で負け越すと降格する可能性が高まります。 |
給料 | 約250万円/月 | |
人数 | 平均1〜2名(定員なし) | |
関脇 | 地位 | 大関の次に位置する地位で、非常に実力のある力士が昇進します。関脇は三役の一つであり、ここから大関への昇進も狙えます。 |
給料 | 約180万円/月 | |
人数 | 2名~(下限2名) | |
小結 | 地位 | 関脇に次ぐ地位で、同様に実力のある力士が昇進します。小結も三役の一つで、ここから関脇への昇進を目指します。 |
給料 | 約170万円/月 | |
人数 | 2名~(下限2名) | |
前頭 | 地位 | 幕内力士の中で最も人数が多い地位です。前頭は番付の順位により、上位と下位で大きく違いがあり、上位の前頭力士は三役力士との対戦が多くなります。 |
給料 | 約140万円/月 | |
人数 | 通常30人前後 | |
十両 | 地位 | 十両は幕内の下の階級で、ここから正式な「関取」として認められます。十両以上の力士から給与が支給されます。 |
給料 | 約110万円/月 | |
人数 | 28人 | |
幕下 | 地位 | 十両の下の階級で、ここから上の階級を目指す若手力士が多くいます。幕下上位になると関取である十両とも対戦します。 |
給料 | 支給なし(手当のみ) | |
人数 | 120人 | |
三段目 | 地位 | 幕下の下の階級で、多くの若手力士がここで経験を積みます。三段目は実力のある若手力士が上を目指す階級です。 |
給料 | 支給なし(手当のみ) | |
人数 | 180人 | |
序二段 | 地位 | 三段目の下の階級で、新人力士や経験の浅い力士が多くいます。序二段は相撲の基本を学び、力をつけるための階級です。 |
給料 | 支給なし(手当のみ) | |
人数 | 制限なし(約200人) | |
序の口 | 地位 | 最下位の階級で、新弟子が最初に入る階級です。序ノ口では基礎体力と技術を学び、次の階級へのステップアップを目指します。 |
給料 | 支給なし(手当のみ) | |
人数 | 制限なし(約40人) |
この表をみると「思ったより横綱は収入が少ないなぁ」と感じる方もいるかもしれないですね。しかし、力士たちには他にもたくさんの賞金や手当が存在しています。気になる方は、以下の記事でくわしく解説していますので、ぜひご覧になってください。
相撲観戦が楽しくなる!番付の雑学
番付にある、東・西ってなに?
番付表や相撲中継をみていると、東西ってどんな意味があるの?と疑問に思うことはありませんか?同じ地位で東西に分かれているんですよね。
これにはちゃんとした理由がありまして、同じ番付だったとしても、東の力士のほうが番付が上なんです。「半枚」だけ上、なんて言われてますね。
なので厳密にいえば、番付の頂点は「東の横綱」ということになります。
カド番ってなに?
カド番(角番)は「大関陥落の危機」のある本場所を指します。
大関は2場所連続で負け越すと関脇に落ちてしまうのです。
要するに、角番とは「先場所負け越した大関が迎える本場所」を指します。
角番の場所は、負け越してしまうと大関から落ちてしまうので、緊張感のある取り組みを観戦することができますよ。
どこからが一人前?
おすもうさん、力士、関取、など様々な呼び方がありますが、正確にいうと関取からが「力士」なんです。よくわかりませんよね?
もう少しわかりやすくいうと、関取より下の階級、つまり幕下以下は「力士養成員」という位置づけなんです。見習いということですね。
そうなると冒頭の「元力士のしんざぶろうです」は、違うのでは?となりますが、そこはご愛敬ということで・・・。
話を戻しますと、だから十両から月給がもらえるようになるんですね。
そう考えると、一人前は十両からということになるかもしれません。
元力士 まさる
まとめ
今回はピラミッド図や表を活用して、相撲の番付・階級をできるだけ分かりやすく説明しました。待遇や番付の仕組みを理解していただけたら嬉しいです。
でも、この内容はごく一部で、本当はそれぞれの階級で着物や履物など、細かい待遇の違いがたくさんありますが、それはまた違う記事で紹介していきたいと思います。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。