相撲の化粧まわしはいくら?誰が贈るのかを一度だけ締めた元力士が解説
大阪場所の新序出世披露で、僕は師匠の化粧まわしを借りて土俵に上がりました。青を基調にした一本です。
締めてくれたのは、2人の兄弟子でした。僕は体が細く、きつく締めるとしわが寄ってしまいます。「これじゃかっこ悪い」と、何度も巻き直してくれました。
実際に締めてみると、重いうえに前垂れも大きい。土俵へ向かうときは足に当たらないよう、前垂れを軽く持ち上げて歩きました。高価なものなので、汚さないよう気も使います。
このときは新弟子が多く、土俵いっぱいに並びました。紹介が終わるまで蹲踞を続けながら、
「ここで疲れて倒れたら、笑われる」
そればかり考えていました。
ちなみに、化粧まわしは関取の装いです。僕が自分の体に締めたのは、この一度だけでした。
こんにちは!元力士のしんざぶろうです。
化粧まわしとは、関取が土俵入りで締める、前垂れに刺繍を施したまわしです。
相撲中継で、力士たちが土俵の上に輪になって並び、色とりどりの前垂れを客席へ向けている場面を思い浮かべる方もいると思います。
華やかに見えますが、誰でも締められるものではありません。そして、その一本には作り手だけでなく、力士へ贈った人もいます。
先に結論をいうと、化粧まわしは100万円以上が一つの目安となる特注品です。後援会や企業、母校、個人の後援者などから力士へ贈られます。
この記事では、化粧まわしは誰が締められるのか、いくらするのか、そして誰が贈るのかを、新弟子のころに師匠の一本を借りて締めた僕の体験も交えて解説します。
化粧まわしって、力士が自分で買ってそろえるものだと思っていました!
一度だけ締めたことがある、という話も気になります。
化粧まわしは土俵入りで締める、関取の装い
化粧まわしを締める代表的な場面が、本場所の土俵入りです。
十両と幕内の力士がそれぞれ東西に分かれて土俵へ上がり、前垂れを客席へ向けて並びます。
横綱土俵入りでも、化粧まわしは欠かせません。横綱に加えて、太刀持ちと露払いを務める力士も化粧まわしを締めます。
その様子は、以下の映像でも見られます。
映っているのは、2026年1月31日の照ノ富士引退伊勢ヶ濱襲名披露大相撲で行われた、73代横綱・照ノ富士の最後の横綱土俵入りです。太刀持ちを74代横綱の豊昇龍関、露払いを75代横綱の大の里関が務めています。
見るときは、三人の前垂れの図柄がそろっているところと、綱が化粧まわしの上に締められているところに注目してみてください。
三人の前垂れが、本当におそろいなんですね!
横綱土俵入りは綱ばかり見ていましたが、次は太刀持ちと露払いの化粧まわしにも注目してみます。
十両に上がると変わるもの
化粧まわしを締められるのは、十枚目、つまり十両以上の力士です。
幕下から十両へ上がると、化粧まわしだけでなく、力士の装いそのものが大きく変わります。
幕下以下と関取では、稽古まわしの色、取組で締めるまわし、髪形、そして土俵入りの装いが違います。
※スマートフォンでは、表を横にスクロールできます
| 項目 | 幕下以下 | 関取(十両以上) |
|---|---|---|
| 稽古まわし | 黒 | 白 |
| 取組で締めるまわし | 木綿の稽古まわし | 絹の締め込み |
| 髪 | 髷 | 大銀杏 |
| 化粧まわし | なし | 土俵入りで締める |
参考:『全部わかる大相撲ガイド』
※大銀杏には例外があり、幕下の力士が十両の取組に出る日や弓取式では、幕下以下でも大銀杏を結います。
参考:日本相撲協会
十両へ昇進すると、本場所の土俵入りに加わり、化粧まわしを締める側になります。
反対に、十両から幕下へ落ちると、通常の土俵入りで化粧まわしを締める場面はなくなります。
2026年5月場所の初日、再十両の炎鵬関は、3年ぶりに化粧まわしを締めて十両土俵入りに並びました。
<初日の様子>
十両土俵入り
3年ぶりの化粧まわし姿、再十両の炎鵬。#sumo #相撲 #五月場所 pic.twitter.com/cwS6Qw5C1o— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) May 10, 2026
3年ぶりに化粧まわし姿で土俵入りへ戻ったこと自体が、番付を十両まで戻したしるしでもあります。
例外①:弓取式を務める力士
化粧まわしは関取の装いですが、幕下以下の力士が締める例外もあります。
ひとつが弓取式です。
結びの一番のあと、土俵で弓を振る力士は、幕下以下であっても化粧まわしを締めることができます。
弓取式を務める力士がどう選ばれ、手当がいくら付くのかは、弓取式そのものを扱った記事でまとめています。
例外②:新序出世披露は借りて締める
もうひとつが、新序出世披露です。
前相撲を取り、新序となった新弟子が、本場所中の土俵で紹介されます。
このとき新弟子は、師匠や部屋の関取衆から借りた化粧まわしを締めて土俵に上がります。行司の口上のあと、しこ名・所属部屋・出身地が読み上げられます。
披露は中日に行われますが、新弟子の多い大阪場所だけは、5日目の「一番出世」と9日目の「二番出世」に分けて行われます。成績のよい者から順に披露される仕組みです。
僕が入門したころは、12日目に「三番出世」の披露もありました。僕が借り物の化粧まわしで土俵に上がったのは、その三番出世です。
参考:『相撲大事典』/日本相撲協会
借りて締めるのは、僕だけではありません。
2018年の九州場所で初土俵を踏んだ狼雅関は、師匠である二子山親方から借りた「初心」の文字が入った化粧まわしで、新序出世披露の土俵に臨みました。
#大相撲九州場所 で、モンゴル出身の #狼雅(ろうが) が初土俵を踏みました。元高校横綱の逸材です。師匠の #二子山親方 から借りた「初心」の文字が入った化粧まわしで新序出世披露の土俵に臨んだ狼雅の今後の活躍ぶりが期待されます。本日の夕刊3面から。 pic.twitter.com/ximyoyPBcg
— 読売新聞PR公式 (@pr_yomi) December 7, 2018
披露が終わると、新弟子は協会の各部署を回り、所属部屋としこ名を伝えてあいさつをします。
僕のときは大人数で、みんなでぞろぞろと会場の中を歩き回りました。
行く先々で「がんばれよ」と優しく声をかけてもらい、入門前に持っていた怖いイメージとは少し違いました。
まぁ、最初だから優しくはしますよね。
三番出世は、一番出世や二番出世に入らなかった新弟子が、最後にまとめて披露される組でした。
僕のときに土俵いっぱいまで新弟子が並んでいたのも、そのためです。あの人数の中で「倒れるな」と思いながら蹲踞をしていました。
入門してから前相撲を取り、出世披露を受けるまでの流れは、新弟子の1年を順に追った記事で書いています。
化粧まわしの作り|重さ・長さ・馬簾
出世披露で借りた化粧まわしを、僕は「重い」と感じました。
その理由は、作りを見るとよく分かります。
化粧まわしは、体に巻く部分と前垂れが別々になっているのではありません。一枚の長い帯状の布地でできています。
■化粧まわしの作り
- 重さ:6〜8キロ
- 長さ:約7メートル
- 幅:約70センチ。六つ折りにして体に三重に巻き、最後の1メートルほどを広げたまま前に垂らす
- 生地:博多織や西陣の綴れ織(つづれおり)。光沢のある絹織物「緞子(どんす)」を使うことから、化粧まわしを「緞子」と呼ぶこともある
参考:『相撲大事典』
最後に広げて垂らす部分だけでも、約1メートルあります。
新弟子だったころの細い僕の体には、その前垂れが余計に大きく感じられたのだと思います。
前垂れと馬簾
前垂れには金襴の裏地が付き、表には金糸や銀糸で刺繍が施されます。
前垂れの下端に付いている房が、「馬簾(ばれん)」です。
馬簾には金色や朱色などさまざまな色がありますが、紫の馬簾は、横綱と大関にのみ許されています。
土俵入りで前垂れの下にある房が紫なら、その力士は横綱か大関だと見分けられるわけです。
参考:『全部わかる大相撲ガイド』
こうした化粧まわしが、どのように織られ、刺繍されているのか。2026年9月12日には、化粧まわしの工場を訪ねるNHK「探検ファクトリー」も放送されました。
参考:NHK
一本の帯を付け人が巻き、明け荷で運ぶ
長さ約7メートルの化粧まわしを、関取が自分で巻くわけではありません。
支度部屋で関取に化粧まわしを巻くのは、付け人の仕事です。
会場まで運ぶのも付け人です。
化粧まわしは、締め込みや下がりなどと一緒に、「明け荷」と呼ばれる竹編みのつづらへ入れて持ち運びます。
明け荷は縦45センチ、横80センチ、深さ30センチほどで、空の状態でも重さは約5キロ。表面にはしこ名が入り、関取に昇進したときに同期生や後援者から贈られることが多い品です。
本場所では初日までに付け人が支度部屋へ運び込み、基本的には千秋楽まで置いておきます。横綱になると、3個ほどの明け荷を使います。
参考:『相撲大事典』
ただし、場所中ずっと同じ支度部屋に置いておけるとは限りません。
取組は東方と西方に分かれています。番付で同じ側にいる力士どうしが対戦する場合は、一方が反対側へ回ります。
そうなると、その関取が使う支度部屋もいつもとは反対側です。
僕が付け人をしていたころは、この東西の入れ替わりがある日に、明け荷を反対側の支度部屋へ運ぶ仕事がありました。
本場所では、土俵入りの前に関取へ化粧まわしを付けます。そして取組の前には、今度は締め込みを付けます。
土俵入りと取組では、関取が身に着けるものが変わるからです。
化粧まわしは、付け人2人で巻いていました。
僕が付いていた関取は、場所中に化粧まわしを替えることはありませんでした。
明け荷も普段は支度部屋に置いたままです。
ただ、関取がいつもと反対側の支度部屋を使う日は、明け荷もそちらへ移さなければなりません。
僕がいた部屋では、その日の移動を、付け人の中で番付が一番下にいて、取組の時間も早い力士が担当していました。
先に支度部屋へ入り、明け荷を運んで、ゴザを開いて場所を取ります。
つまり、付け人は自分の取組を控えていても、その前に関取の支度を整える仕事があります。
僕がいた部屋では、明け荷を運ぶのも、その仕事のひとつでした。
付け人は、自分もその日に相撲を取る力士なんだよなぁ。
自分の準備だけしていればいいわけじゃない。先に支度部屋へ入って関取の道具を整えて、それから自分の相撲もある。そこが外からは見えにくいところだなぁ。
付け人の一日の流れや給料、誰が付け人に付くのかは、付け人を扱った記事で詳しく書いています。
化粧まわしの値段はいくら?
では、ここまで見てきた化粧まわしは、一本いくらするのでしょうか。
化粧まわしは100万円以上が一つの目安で、刺繍によっては1枚200万〜300万円という声もあります。
一本ずつ注文して作る品なので、完成までの期間も注文先によって異なります。2ヵ月ほど待つ場合もあります。
横綱の場合は、横綱本人だけではありません。
太刀持ちと露払いが締める分を合わせた3本一組で作るため、費用も3本分になります。
新弟子だった僕が「汚してはいけない」と気を張っていたのは、これほど高価なものを借りていたからでした。
費用は誰が出すのか
では、その100万円を超える費用は、誰が負担するのでしょうか。
力士本人が自分のお金だけで用意するとは限りません。
■化粧まわしの費用の出どころ
- 贈り物|力士の昇進などを祝って、後援会や後援者などから贈られる
- 協会の補助|十両以上の関取には、稽古まわし・締め込み・化粧まわし・結髪の費用に充てる「力士補助費」が、東京本場所ごとに年3回支給される
参考:『相撲大事典』
協会の力士補助費は、化粧まわしだけを買うためのものではなく、関取の装い全体にかかる費用へ充てるものです。
一方、化粧まわしそのものは、昇進や活躍を祝って誰かから贈られることが多い品です。
土俵入りで関取が締めている一本の後ろには、それを贈った人がいます。
化粧まわしは誰が贈るのか
では、実際にどんな人が化粧まわしを贈っているのでしょうか。
近年の例を見ると、企業、母校や同窓会、個人のタニマチ、後援会などがあります。
企業が贈る
企業が贈る化粧まわしには、その会社の名前や、企業にちなんだデザインが入ることがあります。
永谷園は2023年12月、熱海富士関とテレビCMの出演契約を結び、特製の化粧まわしを贈りました。
参考:永谷園
2026年3月には、KPMGジャパンがスポンサーを務める安青錦関へ化粧まわしを贈っています。
安青錦関の出身地であるウクライナ・ヴィーニンツァ地方に受け継がれる、伝統刺繍文様に着想を得た図柄です。
【ニュースリリース】
KPMGジャパンは、スポンサーを務める大関・安青錦関へ化粧まわしを贈呈しました。今回贈呈した化粧まわしは、安青錦関の出身地であるウクライナ・ヴィーニンツァ地方に受け継がれる伝統刺繍文様に着想を得て制作しました。… pic.twitter.com/7WtgH6D1Pe
— KPMGジャパン (@KPMG_JP) March 4, 2026
化粧まわしを贈るのは、大企業だけではありません。
神戸の土木会社である八雲建設は、翠富士関と熱海富士関へ化粧まわしを贈り、2人は2024年5月場所の土俵入りでそれを締めました。
参考:八雲建設
母校や同窓会が贈る
学校とのつながりが、化粧まわしに表れることもあります。
安青錦関が十両に昇進した2024年11月、関西大学相撲部は、スクールカラーの紫紺色に校章の刺繍をあしらった化粧まわしを贈りました。
来日後に練習生として稽古した道場で贈呈式が行われ、安青錦関は「本当に関西大学の人たちに感謝の気持ちでいっぱい」と話しています。
参考:関西大学
2025年9月には、黒羽高校の同窓会・相撲部後援会・OB会が、三田に化粧まわしを贈っています。
スクールカラーのえんじ色の布地に、校名と校章をあしらった一本です。
参考:下野新聞
母校の化粧まわしを締めて土俵入りに並ぶということは、出身校の名前を本場所の土俵で背負うことでもあります。
個人のタニマチや後援会が贈る
個人で化粧まわしを贈る人もいます。
贈り主の名前が前垂れに大きく入ることもあり、土俵入りで目を引きます。
高須クリニックの高須克弥さんは、2023年7月に大関とりへ挑んでいた豊昇龍へ、西原理恵子さんのイラストを入れた化粧まわしを贈りました。
安青錦関にも2026年初場所を前に、ピンクの地に「Yes」「高須クリニック」の文字が入った一本を贈っています。
デヴィ夫人が琴櫻関に贈った化粧まわしは、水色を基調に竜を描き、「デヴィ・スカルノ」の文字を刺繍したものです。琴櫻関は2025年の初場所で、2日続けてこの化粧まわしを締めて土俵入りしました。
参考:デイリースポーツ/日刊スポーツ(2026年1月)/日刊スポーツ(2025年1月)
こうした著名人のタニマチに、ほかにどんな人がいるのかは、タニマチを扱った記事でまとめています。
そして、化粧まわしの代表的な贈り主のひとつが、力士や部屋を支える後援会や後援者です。
化粧まわしも明け荷も、関取昇進を祝って後援会や後援者から贈られることがある品です。
一人の力士が複数の化粧まわしを贈られることもあります。
後援会に入るにはいくらかかり、会員にはどんな特典があるのかは、後援会の仕組みを扱った記事で書いています。
化粧まわしは、力士が好きな柄を選んで用意するものだと思っていました。
贈った企業や母校、後援者とのつながりまで表れているなら、土俵入りを見る楽しみが一つ増えますね。
横綱の化粧まわしと歴代の一枚
冒頭の映像で、照ノ富士、豊昇龍、大の里の三人がそろいの化粧まわしを締めていたのには理由があります。
横綱の化粧まわしは3本一組の「三つ揃い」
横綱の化粧まわしは、太刀持ちと露払いを務める力士の分を合わせて3本一組で作られ、「三つ揃い」と呼ばれます。
映像で三人が締めているのも、この三つ揃いです。
綱は化粧まわしの上から締める
横綱は、化粧まわしを締めた上から綱を締めます。
この綱を締める作業を「綱締め」といい、本場所では支度部屋で数人の付け人が行います。
映像で横綱の綱が前垂れの上に乗って見えるのは、化粧まわしのあとに綱を締めているためです。
参考:『相撲大事典』
引退後も受け継がれる一枚、博物館に残る一枚
横綱が現役を退いたあとも、その化粧まわしが使われなくなるとは限りません。
2017年に横綱へ昇進した稀勢の里は、明治神宮の横綱推挙式で、師匠の師匠にあたる初代若乃花が使った化粧まわしを締め、土俵入りを奉納しました。
参考:日本相撲協会
代々受け継がれる一枚もあれば、両国国技館の相撲博物館に収蔵されている一枚もあります。
■相撲博物館に収蔵されている化粧まわし
- 第62代横綱・大乃国「天地人」|書家・桑原翠邦の書を前垂れにした一枚
- 第41代横綱・千代の山の三つ揃い|風神・波・雷神を描いた3本一組
- 第19代横綱・常陸山|宝石をあしらった一枚
参考:日本相撲協会
書家の文字を前垂れにした一枚もあれば、宝石をあしらった一枚もあります。
化粧まわしを見ると、その時代の贈り主が、力士に何を託したのかまで見えてきます。
横綱一人の化粧まわしだけを見ていては、三つ揃いにはならない。
太刀持ちと露払いまで三人そろって、一つの横綱土俵入りになる。前垂れを見ると、その形がよく分かるな。
化粧まわしに関するよくある質問
化粧まわしについて、よく調べられている疑問をまとめます。
Q1. 化粧まわしの読み方は?「化粧廻し」「化粧回し」との違いは?
A. 読み方は「けしょうまわし」です。
「化粧廻し」「化粧回し」「化粧まわし」は、いずれも同じものを指します。
日本相撲協会や『相撲大事典』では「化粧廻し」と表記され、新聞やテレビなどでは「化粧まわし」「化粧回し」と書かれることもあります。
この記事では「化粧まわし」で統一しています。
Q2. 幕下以下の力士は化粧まわしを締められない?
A. 原則として締められません。
例外として、弓取式を務める力士は幕下以下でも化粧まわしを締めることができます。
また、新序出世披露では、新弟子が師匠や部屋の関取衆から借りた化粧まわしを締めて土俵に上がります。
Q3. 化粧まわしの重さと長さは?
A. 重さは6〜8キロ、長さは約7メートルです。
幅約70センチの帯を六つ折りにして体へ三重に巻き、最後の1メートルほどを広げたまま前へ垂らします。
重さや長さには、ものによって違いがあります。
Q4. 化粧まわしは誰が買うの?
A. 関取への昇進や活躍を祝って、後援会や後援者から贈られるのが代表的です。
企業がスポンサーとして贈る例、母校の相撲部や同窓会が贈る例、著名人のタニマチが個人で贈る例もあります。
また、日本相撲協会からは、十両以上の関取へ、化粧まわしを含む装いの費用に充てる「力士補助費」が年3回支給されます。
Q5. 馬簾が紫の化粧まわしは誰のもの?
A. 横綱と大関です。
前垂れの下端に付いている房を馬簾といい、紫の馬簾は横綱と大関にのみ許されています。
土俵入りで馬簾が紫なら、その力士が横綱か大関だと見分けられます。
まとめ
土俵入りで色とりどりの前垂れが並ぶとき、その後ろには贈った人がいます。昇進を祝った後援会、母校の相撲部、縁のあった会社。前垂れの図柄は、その力士がどんな人に支えられてきたかの目印でもあります。
僕が師匠の一本を借りて土俵に上がった日から、ずいぶん時間がたちました。それでも重さと前垂れの大きさは体が覚えていて、披露のあとに一人で撮った写真は、2026年の今も実家の居間に飾ってあります。関取の装いを自分の体に締めたのは、あの一度だけです。
次に土俵入りを見るときは、前垂れの図柄だけでなく、それを贈った人と、支度部屋で巻いた付け人の手も思い浮かべてみてください。一本の化粧まわしが土俵に上がるまでに、それだけの人がかかわっています。
新弟子が借りて締める化粧まわしと、関取になって贈られる化粧まわし。同じ一本でも、締める立場が変われば意味も変わる。
土俵入りの列を見るときは、その前垂れだけでなく、そこへ上がるまでの時間も想像してみるといい。
いまはその『相撲』が楽天マガジンの読み放題に入っていて、1冊買うより安く読めます。
- 1952年創刊、日本相撲協会の機関誌
- 本場所前に展望号、本場所後に総決算号が刊行。場所ごとの流れを追える
- 4,000誌・15,000冊以上が読み放題。バックナンバーも対象
- 無料期間のあとは自動更新(Webからの申し込みは月額597円・税込、アプリからは月額710円・税込)。電子版は一部の記事・写真と別冊付録が非掲載



















