大相撲の優勝賞金が変わる|十両・幕下以下の各段の額まで元力士が解説
現役のころ、同じ部屋の力士が各段優勝すると、寿司を頼んで部屋のみんなにごちそうしてくれることがありました。部屋の恒例だったのかもしれません。
だから優勝の話になると、僕は賞金の額より先に、あの寿司を思い出します。
一人の力士がつかんだ優勝でも、その日の喜びは部屋全体に広がっていました。
こんにちは!元力士のしんざぶろうです。
大相撲の優勝賞金は、2026年11月場所までは幕内1,000万円、十両200万円です。幕下以下も、幕下50万円から序ノ口10万円まで各段に設定されています。
そして2027年1月場所からは、6段それぞれの優勝賞金が増額されます。幕内は、1,000万円から2,000万円へ倍増です。
では、十両や幕下以下はいくらになり、その賞金は部屋と本人のどちらに渡されるのでしょうか。
この記事では、各段の優勝賞金と2027年からの改定額、副賞や三賞、僕が部屋で経験した「優勝の日」のことまで解説します。
優勝賞金が倍になるのもすごいですけど、それが部屋と本人のどちらに渡るのかは、考えたこともありませんでした。
部屋に届いた寿司の話も気になります♪
大相撲の優勝賞金はいくら?2027年1月場所からの改定額
優勝賞金があるのは、幕内だけではありません。幕内、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口の6段それぞれに優勝賞金が設定されていて、その6段が2027年1月場所からそろって増額されます。
※スマートフォンでは、表を横にスクロールできます
| 段 | 2026年11月場所まで | 2027年1月場所から |
|---|---|---|
| 幕内 | 1,000万円 | 2,000万円 |
| 十両 | 200万円 | 300万円 |
| 幕下 | 50万円 | 70万円 |
| 三段目 | 30万円 | 50万円 |
| 序二段 | 20万円 | 30万円 |
| 序ノ口 | 10万円 | 20万円 |
では、実際に各段で優勝した力士は、どんな表情でその場所を振り返るのでしょうか。2026年9月場所の各段優勝力士5人に話を聞いた映像があります。
映っているのは、十両の北の若関(八角部屋)、幕下の伊波(尾上部屋)、三段目の小林(春日野部屋)、序二段の天(錣山部屋)、序ノ口の城勝雄(湊川部屋)です。尾車親方(元琴恵光)が、それぞれに話を聞いています。
見るときは、同じ「優勝」でも、番付によってどんな言葉で場所を振り返っているのかを聞き比べてみてください。
幕内だけじゃなくて、十両から序ノ口まで、それぞれに「優勝した力士」がいるんですね。
同じ企画の中で5人続けて見ると、番付は違っても、その場所を勝ち切ったうれしさは一人ずつ違って見えます♪
幕内優勝は1,000万円から2,000万円へ|33年ぶりの改定
幕内優勝の賞金は、2026年11月場所まで1,000万円です。2027年1月場所からは、2,000万円へ倍増します。
日本相撲協会は2026年7月30日、東京・両国国技館で理事会を開き、2027年初場所から優勝賞金などを改定することを決めました。優勝賞金と三賞賞金の改定は、1994年以来33年ぶりです。
前回の1994年には、幕内優勝賞金が500万円から1,000万円へ引き上げられました。今回の改定は、力士全体の待遇改善の一環です。
改定を発表した広報部長の藤島親方(元大関・武双山)は、こう話しています。
「他競技とも比べた。幕内優勝は2000万円で、そのくらいの値打ちはある」
十両優勝は200万円から300万円へ
十両優勝の賞金は、2026年11月場所までは200万円。2027年1月場所からは300万円になります。
金額の大きさは、十両の月給と比べると分かりやすくなります。十両の月給は、2026年11月場所まで110万円で、2027年1月場所から120万円に上がります。
つまり、改定後の優勝賞金300万円は、十両の月給2.5か月分にあたる計算です。
参考:日刊スポーツ
幕下以下の各段優勝も増額される
幕下以下の優勝賞金も、2027年1月場所から増えます。幕下は50万円から70万円、三段目は30万円から50万円、序二段は20万円から30万円、序ノ口は10万円から20万円です。
幕下以下では、この賞金の意味合いが関取とは少し違います。幕下以下の力士には月給がなく、本場所ごとの場所手当のほか、勝星金や勝ち越しに応じた勝越金などが支給される仕組みだからです。
その場所手当も2027年1月場所から6〜9%引き上げられ、勝星金と勝越金も増額されます。同じ「優勝賞金」でも、月給のある関取と、月給のない幕下以下では、金額の受け止め方も変わってくるでしょう。
幕内の2,000万円には驚きましたけど、33年間も1,000万円のままだったことにもびっくりしました。
それに、幕下以下は月給がないと知ると、同じ数十万円でも重みが違って見えますね。
優勝賞金のほかに何がもらえる?副賞と三賞
千秋楽の表彰式で優勝力士に贈られるのは、優勝賞金だけではありません。特に幕内優勝では、大きな賜盃をはじめ、さまざまな賞が土俵上で授与されます。
幕内優勝でもらえる副賞
幕内優勝力士には、賜盃(天皇賜盃)を筆頭に、次のような賞が贈られます。
■幕内優勝力士に贈られる主なもの
- 賜盃(天皇賜盃)|純銀製で重さ29kg
- 優勝旗
- 内閣総理大臣賞
- 各国・自治体・企業などからの賞|友好杯など
賜盃の台座には、歴代の優勝力士のしこ名が刻まれています。優勝力士本人には、後日レプリカが贈られます。
参考:日本相撲協会
十両以下も千秋楽の土俵で表彰される
優勝の表彰があるのは、幕内だけではありません。十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口でも優勝が争われ、各段の優勝力士は千秋楽に土俵上で表彰されます。
幕内の優勝表彰式とは別ですが、各段を勝ち抜いた力士が土俵に上がる晴れの場です。冒頭で紹介した映像の5人も、それぞれの段で優勝した力士たちです。
三賞は各200万円|2027年から300万円
幕内には、優勝とは別に三賞があります。殊勲賞、敢闘賞、技能賞です。
賞金は2026年11月場所まで、それぞれ200万円。2027年1月場所からは、それぞれ300万円へ増額されます。
三賞の対象となるのは、関脇以下の幕内力士です。千秋楽には、幕内優勝の表彰とあわせて三賞の受賞者も表彰されます。
賜盃って29kgもあるのかぁ。
力士なら持ち上げられる重さではあるけど、稽古の重りと違って、絶対に落とせない純銀の賜盃だからなぁ。あれを抱えるときは、重さとは別の緊張がありそうだなぁ。
三賞がそれぞれどんな賞なのかは、別の記事で詳しく解説しています。
幕内優勝の2,000万円はどれほどの額?月給や懸賞金と比べる
2,000万円と聞いても、大きすぎて実感しにくいかもしれません。そこで、力士が普段受け取る月給や、取組ごとの懸賞金と比べてみます。
横綱の月給と比べる
関取の月給も、2027年1月場所から引き上げられます。給与の改定は、2019年以来8年ぶりです。
※スマートフォンでは、表を横にスクロールできます
| 番付 | 2026年11月場所まで | 2027年1月場所から |
|---|---|---|
| 横綱 | 300万円 | 330万円 |
| 大関 | 250万円 | 275万円 |
| 三役 | 180万円 | 200万円 |
| 幕内 | 140万円 | 155万円 |
| 十両 | 110万円 | 120万円 |
改定後の横綱の月給は330万円です。幕内優勝の2,000万円は、その約6か月分にあたります。
一度の幕内優勝で、横綱の月給およそ半年分に相当する賞金を受け取る計算です。
番付ごとの給料や、幕下以下との違いについては、こちらの記事で詳しく書いています。
懸賞金1本と比べる
懸賞は1本7万円で、そのうち1万円が協会の手数料、6万円が勝った力士の獲得額です(2026年10月時点)。
参考:日本相撲協会
この6万円を基準にすると、2027年1月場所からの幕内優勝賞金2,000万円は、懸賞およそ334本分にあたります。本場所では人気力士の取組に多くの懸賞がつくことがありますが、それを何百本も積み上げた額が、幕内優勝賞金に相当します。
懸賞金の内訳や、力士が受け取る額については、こちらの記事で解説しています。
平幕が優勝しても賞金は同じ
優勝賞金の額は、横綱、大関、平幕といった番付ではなく、「どの段で優勝したか」で決まります。そのため、平幕力士が幕内優勝した場合でも、横綱が優勝した場合と賞金額は同じです(2027年1月場所からなら2,000万円)。
さらに平幕力士は三賞の対象でもあるため、優勝と同じ場所で殊勲賞、敢闘賞、技能賞のいずれかを受賞する場合もあります。
平幕優勝については、別の記事で詳しく書いています。
2,000万円という数字だけを見ると大きい。
だが、その賞金が決まるのは、十五日間の土俵を終えたあとだ。
何勝で優勝するのかも、誰を倒して賜盃を抱くのかも場所ごとに違う。数字を見るなら、その後ろにある十五日間も一緒に見たいものだな。
元力士が覚えている優勝賞金と、部屋に届いた寿司
ここからは、優勝力士本人ではなく、その力士と同じ部屋で暮らしていた僕の話です。賞金がいくらだったかよりも、僕には強く残っている記憶があります。
優勝した日に部屋へ届いた、寿司です。
優勝した力士が、部屋のみんなに寿司をごちそうしてくれた
僕がいた部屋でも、各段優勝を果たした力士がいました。そのとき、優勝した本人が寿司を頼み、部屋のみんなにごちそうしてくれました。
その寿司がなぜ今でも記憶に残っているのか。普段の部屋の食事を知ってもらうと、少し伝わると思います。
相撲部屋で食べるものは、夜食などを除けば、基本的にちゃんこ番が用意した食事でした。毎日、部屋の中で作ったものをみんなで食べます。
そこへ、いつもとは違う寿司が届きました。優勝した力士が、部屋のみんなのために頼んでくれた寿司です。
とてもおいしかったし、部屋全体が明るい雰囲気だったことも覚えています。引退して何年もたった今でも、優勝の話を聞くと、あの日の食卓を思い出します。
これは、あくまで僕がいた部屋での話です。ほかの部屋でも同じことをしていたのかは分かりません。
賞金は力士本人のもの?部屋に入る?
優勝賞金は、優勝した力士に対して授与されるものです。部屋そのものに「優勝賞金」として支給されるわけではありません。
ただし、そのあと受け取った賞金をどう扱うのか、部屋や力士によってどんな決まりや慣習があるのかまでは、僕には分かりません。僕自身、優勝賞金がその後どこへ動いたのかを見たわけではないからです。
僕が実際に見たのは、優勝した力士が、その喜びの一部を寿司という形で部屋のみんなに分けてくれたところまでです。
普段は部屋で作ったちゃんこを食べているから、外から寿司が届くだけでも特別なんだよなぁ。
しかも「今日はあの人が優勝したから寿司なんだ」って分かってる。
金額は知らなくても、同じ部屋にいれば優勝した日の空気は一緒に味わえるんだよ。
大相撲の優勝賞金に関するよくある質問
最後に、優勝賞金や三賞、副賞についてよくある疑問をまとめます。
Q1. 十両優勝の賞金はいくら?
A. 十両優勝の賞金は、2026年11月場所まで200万円です。2027年1月場所からは300万円になります。
Q2. 幕下・三段目・序二段・序ノ口の優勝賞金は?
A. 2026年11月場所までは、幕下50万円、三段目30万円、序二段20万円、序ノ口10万円です。2027年1月場所からは、幕下70万円、三段目50万円、序二段30万円、序ノ口20万円へ増額されます。
Q3. 三賞の賞金はいくら?
A. 殊勲賞、敢闘賞、技能賞とも、2026年11月場所までは各200万円です。2027年1月場所からは各300万円になります。
Q4. 優勝賞金のほかに副賞はある?
A. あります。幕内優勝力士には、賜盃(天皇賜盃)のほか、優勝旗、内閣総理大臣賞、各国・自治体・企業などからさまざまな賞が贈られます。
賜盃は純銀製で、重さは29kgです。歴代優勝力士のしこ名が台座に刻まれ、優勝した本人には後日レプリカが贈られます。
Q5. 賞金は部屋に入る?力士本人がもらえる?
A. 優勝賞金は、優勝した力士本人に対して授与されます。その後の扱いについて、僕は部屋ごとの決まりまでは分かりません。
僕がいた部屋では、各段優勝を果たした力士が寿司を頼み、部屋のみんなにごちそうしてくれることがありました。
Q6. 優勝賞金に税金はかかる?
A. 日本相撲協会が力士に支給する表彰金は、一時所得として扱われます。優勝賞金も、この表彰金にあたるとされています。
一時所得には最高50万円の特別控除がありますが、確定申告が必要かどうかや実際の税額は、賞金以外の所得などによって変わります。
参考:国税庁(力士等に対する課税について)/国税庁(一時所得)
まとめ
数字だけを見ると、まず目を引くのは幕内の2,000万円でしょう。ただ、僕が現役時代の優勝でよく覚えているのは、賞金の額ではありません。同じ部屋の力士が優勝した日に届いた寿司です。
誰か一人が本場所で勝ち続け、その結果として優勝した。そして部屋へ帰ると、そこで暮らしているみんなにも少し特別な時間がやってきました。優勝するのは一人でも、その日を喜ぶのは一人だけではありませんでした。
次に各段優勝のインタビューや千秋楽の表彰式を見るときは、賞金額だけでなく、その力士が部屋へ帰ったあとのことも少し想像してみてください。
賜盃を抱くのは一人。賞金を受け取るのも、その力士だ。
だが、一緒に稽古をして、飯を食い、同じ部屋で暮らしてきた者までうれしくなるのが優勝なんだろう。
寿司の味まで残っているなら、その日の勝ちは、部屋の中にもちゃんと届いていたんだな。
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