相撲漫画を一覧で紹介|元力士の思い出に残る3作と名作・新作まで解説
入門前の僕は、若貴ブームのまっただ中にいました。少しでも相撲界のことを知りたくて、若貴兄弟を描いた『力人伝説』を毎週楽しみに読んでいたのを覚えています。
僕の記憶では、作中に、のちの貴乃花が少年時代に足を鍛える場面がありました。
つま先で立って、一日中歩く。
僕は、それをそのまま真似しました。
登校するときも、教室で立っているときも、気がつけばかかとを浮かせていました。その甲斐があったのか、ふくらはぎには同級生と比べても分かるほど筋肉がついていました。
相撲漫画は、僕にとって相撲界への入口でした。
実際の土俵に上がるより前に、漫画の中で相撲部屋をのぞいていたのです。
こんにちは!元力士のしんざぶろうです。
相撲漫画とひとことでいっても、内容はさまざまです。
少年誌の熱血ものもあれば、相撲部屋の裏側を描く作品、学生相撲、ギャグや異色作まであります。2026年には新作も始まりました。
ドラマ『サンクチュアリ -聖域-』をきっかけに相撲へ興味を持ち、次に漫画を読んでみたいと思った方もいるでしょう。
ところが、いざ探し始めると迷います。
作品数が思ったより多いうえ、未完のまま終わった作品や、電子書籍では読めない作品も混ざっているからです。
どんな作品があるのか。最初に読むならどれがいいのか。買う前に知っておきたいことはあるのか。
この記事では、主な相撲漫画を一覧にしたうえで、僕の思い出に残る3作と、実際に相撲部屋へ入ってから気づいた現実との違いも交えて紹介します。
漫画を読んで、つま先立ちまで真似してたのかぁ。
入門前って相撲部屋の中なんて分からないから、漫画から知ろうとする気持ちは分かるよ。実際に入ってから「あれ、ここは違うな」って気づくところもありそうだな。
相撲漫画の主な作品一覧【2026年10月時点】
まずは、どんな相撲漫画があるのかを一覧で見てみましょう。
相撲を題材にした作品は、このほかにもあります。以下には、出版社の公式ページや国立国会図書館などで書誌を確認できた作品をまとめました(2026年10月時点)。
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| 作品名 | 作者 | 掲載誌・出版社 | 巻数 | 状態 | この記事での分類 |
|---|---|---|---|---|---|
| バチバチ | 佐藤タカヒロ | 週刊少年チャンピオン(秋田書店) | 全16巻 | 完結 | 定番 |
| バチバチBURST | 佐藤タカヒロ | 週刊少年チャンピオン(秋田書店) | 全12巻 | 完結 | 定番 |
| 鮫島、最後の十五日 | 佐藤タカヒロ | 週刊少年チャンピオン(秋田書店) | 全20巻 | 未完 | 定番 |
| 火ノ丸相撲 | 川田 | 週刊少年ジャンプ(集英社) | 全28巻 | 完結 | 定番 |
| のたり松太郎 | ちばてつや | ビッグコミック(小学館) | 全36巻 | 完結 | 定番 |
| ああ播磨灘 | さだやす圭 | モーニング(講談社) | 全28巻 | 完結 | 思い出の3作 |
| カクリキ | 五褒美 | ヤングマガジン・ヤンマガWeb(講談社) | 既刊2巻 | 連載中 | 新作 |
| 力人伝説 -鬼を継ぐ者- | 原作:宮崎まさる/漫画:小畑健 | 週刊少年ジャンプ(集英社) | 3巻まで刊行 | 完結 | 思い出の3作 |
| うっちゃれ五所瓦 | なかいま強 | 週刊少年サンデー(小学館) | 全12巻 | 完結 | 思い出の3作 |
| うっちゃれ五所瓦 粘り腰編 | なかいま強 | ビッグコミック(小学館) | 既刊10巻 | 連載中 | 思い出の3作 |
| おかみさん | 一丸 | ビッグコミックオリジナル(小学館) | 全17巻 | 完結 | 部屋の裏側 |
| おかみさん平成場所 | 一丸 | ビッグコミックオリジナル(小学館) | 全2巻 | 完結 | 部屋の裏側 |
| ごっつあんです | 岡村賢二 | 漫画ゴラク(日本文芸社) | 全4巻 | 完結 | 部屋の裏側 |
| ゼニ番付 | 山崎享祐 | 週刊大衆(双葉社) | 3巻まで刊行 | 不明 | 部屋の裏側 |
| 相撲めし -おすもうさんは食道楽- | 琴剣淳弥 | 扶桑社 | 1冊 | 完結 | 部屋の裏側 |
| 大相撲あるある | 荒井太郎/漫画:琴剣淳弥 | 新紀元社 | 1冊 | 完結 | 部屋の裏側 |
| 大相撲伝 | 琴剣淳弥 | 日本相撲協会 | 20ページ | 完結(Web公開) | 部屋の裏側 |
| 呼出し一 | 中村明日美子 | モーニング(講談社) | 全1巻 | 完結 | 部屋の裏側 |
| 萬山十番勝負 | 岡村賢二 | リイド社 | 全3巻 | 完結 | 部屋の裏側(劇画) |
| ヤマト猛る! | 宮下英樹 | ヤングマガジン(講談社) | 全6巻 | 完結 | 学生相撲 |
| きんぼし | 明石英之 | ヤングマガジン(講談社) | 全3巻 | 完結 | 学生相撲 |
| ももたろう | 小山ゆう | ビッグコミックス(小学館) | 全10巻 | 完結 | 学生相撲 |
| 土俵を駈ける | とみすず | ヤングマガジン サード(講談社) | 全3巻 | 完結 | 学生相撲 |
| ごっちゃんです!! | つの丸 | 週刊少年ジャンプ(集英社) | 全5巻 | 完結 | 学生相撲 |
| りきじょ | 歌麿 | 月刊アクション(双葉社) | 全3巻 | 完結 | 学生相撲(女子) |
| えびすこ! | えれまどか | ヤングキングBULL(少年画報社) | 全2巻 | 完結 | 変わり種 |
| バキ道 | 板垣恵介 | 週刊少年チャンピオン(秋田書店) | 全17巻 | 完結 | 変わり種 |
| 五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇 | 西野マルタ | NEMESIS(講談社) | 上下2巻 | 完結 | 変わり種 |
| 大相撲令嬢 | 原作:川獺右端・村上ゆいち/漫画:影崎由那 | アース・スターコミックス | 全3巻 | 完結 | 変わり種 |
| さくらのはなみち | 原作:希戸塚一示/作画:西山田 | COMIC MeDu(ジーオーティー) | 全4巻 | 完結 | 変わり種 |
| チカラビト 豪壮十六傑地下相撲決戦 | 水上尭 | 漫画アクション(双葉社) | 全3巻 | 完結 | 変わり種 |
| どす恋ジゴロ | 平松伸二 | 集英社(続編は日本文芸社) | 全4巻+続編2巻 | 完結 | 変わり種(大人向け) |
| 大相撲刑事 | ガチョン太朗 | ジャンプ・コミックス(集英社) | 全1巻 | 完結 | 変わり種 |
| ウルフと呼ばれた男 千代の富士物語 | 山崎匡佑 | ゴマブックス(電子) | 全4巻 | 完結 | 実録(力人伝説の節で紹介) |
参考:国立国会図書館サーチ
作品数が多いので、最初の1冊は「何を読みたいか」で選ぶと絞りやすくなります。
■相撲漫画の選び方
- まず王道から読みたい:『バチバチ』シリーズや『火ノ丸相撲』。入門や学生相撲から、その先へ進んでいく物語を読みたい人向け
- 相撲部屋の裏側を知りたい:『おかみさん』『ゼニ番付』『ごっつあんです』。台所やお金など、取組とは違う角度から相撲界を描いている
- 昔読んだ作品をもう一度探している:『のたり松太郎』『ああ播磨灘』『うっちゃれ五所瓦』。いずれも電子で読める
- 始まったばかりの新作を追いかけたい:『カクリキ』。2026年4月に始まり、現在も連載中(2026年10月時点)
相撲漫画って、力士が勝ち上がっていく話だけじゃないんですね。
女将さんや呼出しさんが出てくる作品まであるなら、相撲そのものより「相撲界を知りたい」という人にも選び方がありそうです♪
元力士の思い出に残る相撲漫画3作
ここからは、僕自身の思い出に残っている3作品です。『力人伝説』と『うっちゃれ五所瓦』は漫画で読み、『ああ播磨灘』にはアニメで出会いました。
面白かったというだけではなく、それぞれ読んだ時期が違います。入門前に相撲界を想像しながら読んだ作品もあれば、入門したあと、大部屋で読んだ作品もあります。
実際に力士になったあとで気づいたことも含めて紹介します。
力人伝説 -鬼を継ぐ者-
『力人伝説 -鬼を継ぐ者-』は、若花田・貴花田の兄弟を主役にした実録風の少年漫画です。
原作は宮崎まさる、漫画は小畑健。週刊少年ジャンプで連載され、単行本は1993年から1994年にかけて3巻まで刊行されています。
若貴ブームの中で登場した作品で、1巻の副題は「継承戦」、3巻は「努力の血」です。
参考:国立国会図書館サーチ
ここからは作品の内容ではなく、入門前の僕自身の話です。
僕が相撲界に入ろうと思ったきっかけは、若貴ブームでした。テレビ中継に映るのは、基本的に土俵の上です。
でも、僕が知りたかったのはその手前でした。
力士が土俵へ上がるまでに、どこで暮らし、どんなことをしているのか。
少しでも知りたくて、『力人伝説』の発売日を毎週楽しみにしていました。振り返ると、まだ入門していなかった僕にとって、この漫画は相撲部屋の中をのぞく窓のような存在でした。
『力人伝説』は、2026年10月時点ではBOOK☆WALKERやコミックシーモアなど主な電子書店で配信が確認できません。読むなら、紙の古書を探すことになります。
実在の力士を描いた作品では、ほかに『ウルフと呼ばれた男 千代の富士物語』(山崎匡佑)があります。こちらは全4巻が電子化されていて、千代の富士の生い立ちから、右肩の脱臼を乗り越えて引退するまでを描いた実録ものです。
参考:BOOK☆WALKER
入門前は、朝稽古がどれくらいきついとか、大部屋でどう暮らすとか、分からないことだらけなんだよなぁ。
漫画が全部現実と同じじゃなくても、「相撲部屋ってどんなところだろう」と想像する入口にはなるよな。
うっちゃれ五所瓦/うっちゃれ五所瓦 粘り腰編
『うっちゃれ五所瓦』は、なかいま強が週刊少年サンデーに連載した高校相撲漫画で、全12巻で完結しています。武蔵山高校相撲部の唯一の部員・五所瓦角が、元柔道部主将の清川ら素人4人を集め、インターハイの団体戦を目指す物語です。
作戦は「ぶちかまし」一本。
続編の『うっちゃれ五所瓦 粘り腰編』は、ビッグコミックで2023年1月から連載されています。
舞台は前作から16年後。五所瓦は「五所ノ海」として大相撲の土俵に上がっています。2026年10月時点で既刊10巻です。
この作品を読んだのは、僕が相撲界に入ってからでした。
僕がいた部屋では、みんなで漫画を貸し合っていました。自由時間になると、誰かが何かを読んでいます。
兄弟子が持っていた漫画が大部屋に置いてあり、『うっちゃれ五所瓦』もそこから拝借して読みました。
特に覚えているのは序盤です。
柔道をやっていた清川が出てくるあたりで、ぶちかましのすさまじさが、これでもかというほど描かれていました。
最近になって続編の『粘り腰編』が始まったことを知り、旧作も含めて、もう一度読み返してみたいと思っています。
題名にある「うっちゃり」がどんな技なのかは、別の記事で詳しく解説しています。
相撲部員が一人しかいないところから、柔道部の人まで集めて団体戦を目指すんですね。
最初から相撲を知っている人ばかりじゃないなら、初心者の私でも登場人物と一緒に覚えていけそうです♪
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ああ播磨灘
『ああ播磨灘』は、さだやす圭が講談社のモーニングで1988年から1996年まで描いた作品で、全28巻で完結しています。
主人公は、新横綱・播磨灘。
「一度でも負けたら引退する」と宣言し、土俵入りで仮面をかぶるなど、強烈な振る舞いを見せながら連勝を続けます。1992年にはテレビアニメにもなりましたが、アニメ版は原作の途中で終わっています。
僕がこの作品に出会ったのは、漫画ではなくテレビアニメでした。
小学生だった僕が、最初に引っかかったのは、
「負けたら引退」
という宣言でした。
「そんなことを言ったら、すぐ終わっちゃうんじゃないの?」
そう思いながら見始めました。
ところが、対戦相手とのエピソードを挟みながら播磨灘が勝ち続けていく。その展開が面白くて、続けて見ていました。
一方で、土俵入りの仮面には戸惑いました。
なぜ横綱がそんなことをするのか、小学生だった僕にはよく分かりません。アニメは物語の途中で終わったため、その先がどうなるのかも、ずっと気になったままでした。
そして、相撲界へ入ってからは、播磨灘の横綱像と現実との差も分かるようになりました。播磨灘は、強さと派手なパフォーマンスが前面に出る横綱です。
一方、現実の大相撲には長い歴史としきたりがあり、土俵の上だけではなく、振る舞いまで含めて積み重ねられてきた横綱像があります。
漫画としての面白さと、現実の横綱に求められるものは、分けて見る必要があると思います。
では、現実の横綱はどのような条件で誕生するのか。昇進の条件については、別の記事でまとめています。
「負けたら引退」と言い切る横綱は、物語なら強烈に映る。
ただ、現実の綱には勝敗だけでは測れないものも乗っている。漫画の横綱像と現実を比べて読むのも、相撲漫画の面白さだな。
まず知っておきたい定番の相撲漫画4作
ここからは、僕の思い出の3作とは別に、相撲漫画を探したときに名前が挙がる作品を紹介します。僕自身がまだ読んでいない作品については、出版社などの紹介をもとに、設定や読む前に知っておきたい点をまとめます。
バチバチ/バチバチBURST/鮫島、最後の十五日
『バチバチ』は、佐藤タカヒロが週刊少年チャンピオンで2009年に始めた作品です。『バチバチ』『バチバチBURST』『鮫島、最後の十五日』の3作で、一つの物語が続いています。
主人公は、暴力事件で角界を追われて亡くなった元大関・火竜の一人息子、鮫島鯉太郎。不良少年だった鯉太郎が、巡業の土俵で幕下力士を倒したことをきっかけにスカウトされ、16歳で空流部屋へ入門します。
『バチバチ』では序ノ口から序二段のころ、『バチバチBURST』では幕下時代、そして『鮫島、最後の十五日』では幕内力士となった鯉太郎の、ある本場所を1日ずつ描いています。
最終章は、一つの本場所の十五日間を20巻にわたって描く構成です。
作者の佐藤タカヒロは2018年7月に急逝し、『鮫島、最後の十五日』は未完のまま20巻で幕を閉じました。結末まで描かれていないことは、読む前に知っておきたい点です。
読む順番は、
『バチバチ』(全16巻)→『バチバチBURST』(全12巻)→『鮫島、最後の十五日』(全20巻)
です。
電子書店では別シリーズとして表示されるため、最初から読む場合は順番を確認してください。
参考:オリコンニュース
16歳で部屋に入って、序ノ口から番付を上げていくのかぁ。
上の力士ばかりが注目されるけど、入門したばかりのころは稽古についていくだけでも大変だからな。下の番付から描くなら、その時期がどう描かれているのか気になるよ。
火ノ丸相撲
『火ノ丸相撲』は、川田が週刊少年ジャンプで2014年から2019年まで連載した、全28巻の作品です。主人公の潮火ノ丸は、小学生相撲で名を馳せたものの、身長が伸びず「終わった選手」と見られていました。
その火ノ丸が弱小の大太刀高校相撲部へ入り、横綱を目指します。前半は高校相撲の団体戦、後半は大相撲の世界が舞台です。
大きく重い体が有利になりやすい相撲で、小兵がどう大きな相手に勝つのかが物語の一つの軸になっています。
2018年10月にはテレビアニメも放送されました。また、2014年十一月場所では、週刊少年ジャンプが白鵬の取組に懸賞を出しています。
潮火ノ丸を描いた懸賞幕が実際の土俵を回り、漫画と本場所が直接つながりました。
小さい体で大きな相手に挑む相撲は、現実にもあります。小兵の翠富士関が、どのように体を使って相撲を取っているのかは、別の記事で書いています。
体が小さいという不利が最初からはっきりしているから、「どうやって勝つんだろう」と見たくなりますね。
高校相撲から大相撲まで続くなら、同じ主人公がどんなふうに変わっていくのかも追えそうです♪
のたり松太郎
『のたり松太郎』は、ちばてつやがビッグコミックで1973年から1998年まで描いた、全36巻の長編です。怪力の暴れ者・坂口松太郎が相撲部屋へ入門し、周囲の力士たちと関わりながら歩んでいきます。
昭和の相撲部屋を舞台に、四半世紀にわたって描かれた作品です。2014年には『暴れん坊力士!!松太郎』の題でテレビアニメ化もされました。
暴れ者が相撲部屋へ入るとなると、土俵の強さだけじゃなく部屋の生活でもぶつかりそうだなぁ。
部屋には番付とは別に入門順の上下関係もあるから、そこをどう描いているのかは元力士として気になるよ。
カクリキ
『カクリキ』は、五褒美(ゴホウビ)がヤングマガジンで2026年4月に始めた作品です。2026年10月時点で2巻まで刊行されています。
主人公は、取組中の事故で3年間昏睡していた元大関・三千大吾。
32歳で番付外から再起し、事故の前には届かなかった横綱を目指します。
復帰後は前相撲から始まり、初戦を頭捻りで勝つところから物語が動きます。ヤンマガWebでも日曜更新で読むことができます(2026年10月時点)。
一度番付を大きく落としてから幕内まで戻った力士は、現実にもいます。志摩ノ海が序ノ口から幕内へ戻った経緯については、別の記事で書いています。
元大関だった人が、32歳で前相撲からやり直すんですね。
一度知った上の世界を目指して、また一番下から上がるという設定だけでも続きが気になります♪
相撲部屋の裏側がわかる漫画
相撲漫画には、取組そのものではなく、部屋の暮らしやお金、裏方の仕事に焦点を当てた作品もあります。僕自身がまだ読んでいないものもありますが、元力士としては、土俵の外がどう描かれているのか気になる作品が多い分野です。
おかみさん/おかみさん平成場所
『おかみさん』は、一丸がビッグコミックオリジナルに描いた全17巻の作品で、第38回小学館漫画賞を受賞しています。
主人公は、人気力士だった夫の引退をきっかけに、20歳で新興の春日部屋のおかみとなった山咲はつ子。ちゃんこも作れない新米おかみが、相撲部屋を支えていきます。
続編の『おかみさん平成場所』(全2巻)は、不祥事が続いた平成の角界を舞台に、登場人物を一新した作品です。どちらも、力士ではなく相撲部屋を支える側から角界を描いています。
現実のおかみさんがどんな仕事をしているのかは、別の記事でまとめています。
20歳でおかみさんかぁ。
僕が入門したころなら、20歳の力士はまだ若手の側だよ。それと同じ年齢で部屋全体を支える立場になると思うと、見えている景色は全然違うんだろうな。
ごっつあんです
『ごっつあんです』は、岡村賢二が漫画ゴラクに描いた全4巻の作品です。
主人公は後藤丸。
平幕力士が横綱を倒すと収入はどれほど増えるのか。懸賞50本がかかった取組に勝つと手元にはいくら残るのか。
そうした「大相撲のお金」を、物語の中で追っていきます。
参考:国立国会図書館サーチ
相撲中継では勝ったか負けたかを見ていますけど、その一番でお金まで動いているんですね。
懸賞や金星の仕組みを知ってから読めば、違うところにも目がいきそうです♪
ゼニ番付
『ゼニ番付』は、山崎享祐が週刊大衆に描く作品です。2025年5月に1巻が刊行され、2026年6月の3巻まで出ています(2026年10月時点)。
主人公は、幕下から関取へ上がったばかりの若手・小太郎。2か月で15万円の手当を受ける幕下から、月収110万円の関取へ。
懸賞金、後援会、タニマチ、裏方へのお金の流れなど、角界とお金の関係が描かれます。
幕下と関取では、収入の仕組みそのものが変わります。実際の金額については、力士の給料をまとめた記事で詳しく書いています。
幕下は場所ごとの手当で、十両へ上がれば月給が出る。
だから幕下にいるころは、「あと何枚上がれば関取か」って番付表を何度も見たよ。お金の差だけじゃなく、関取になる境目そのものが大きいんだ。
琴剣淳弥の漫画(相撲めし/大相撲あるある/大相撲伝)
琴剣淳弥は、元力士の漫画家です。
15歳で佐渡ヶ嶽部屋へ入門し、現役時代から漫画を描いていました。1986年秋場所で引退しています。
『相撲めし -おすもうさんは食道楽-』(扶桑社、2018年)は、ちゃんこだけではなく、力士の食事全般を漫画とイラストで紹介する1冊です。荒井太郎との共著『大相撲あるある』(新紀元社、2013年)もあります。
日本相撲協会が2010年に発行した『大相撲伝』も、琴剣淳弥が漫画を担当しています。
古代の神事から現代の土俵祭まで、相撲の神・野見宿禰が子どもたちを案内する形で歴史を紹介する20ページの教育漫画で、日本相撲協会の公式サイトから読むことができます。
参考:日本相撲協会/国立国会図書館サーチ
実際の力士がどれくらい食べるのかについては、僕自身の体験も含めて別の記事で書いています。
元力士が描いた食事の漫画と聞くと、やっぱり答え合わせをしたくなります。
僕が大部屋にいたころの食事と似ているところがあるのか、逆に時代や部屋で違うのか。そこを比べながら読んでみたいですね。
呼出し一
『呼出し一』は、中村明日美子がモーニングに描いた作品で、単行本は全1巻です。相撲好きの両親を持つ高校生・塚地肇に人生初の彼女ができた矢先、呼出しの世界が近づいてくる青春ラブコメです。
力士でも行司でもなく、「呼出し」を主役に据えているのが特徴です。作者は、大相撲観戦を趣味とする中でこの作品を描きました。
2026年10月時点ではBOOK☆WALKERやebookjapanなど主な電子書店で配信が確認できず、読む場合は紙の古書を探すことになります。
参考:講談社
呼出しさんって、取組の前に力士の名前を呼ぶ人ですね。
中継では何度も見ているのに、普段どんな仕事をしているのかはほとんど知りません。そこにラブコメまで入るのが気になります♪
萬山十番勝負
『萬山十番勝負』は、岡村賢二の全3巻の劇画です。主人公は、幕下から5場所連続で勝ち越し、「平成の怪物」と呼ばれる萬山万五郎。
並外れた強さを持ちながら、なぜか横綱にも大関にもならない男の真意を描きます。
参考:国立国会図書館サーチ
強いなら、もっと上へ行きたい。
普通ならそう考えるからこそ、「上へ行かない強者」という設定が引っかかるんだろうな。なぜ土俵に立つのか、その理由を読みたくなる作品だ。
学生相撲・高校相撲の漫画
高校や大学の相撲部を舞台にした作品もあります。ここまでに紹介した『うっちゃれ五所瓦』や『火ノ丸相撲』も、その一つです。
大相撲とは違い、学生相撲では団体戦が物語の軸になる作品もあります。最初から強豪部にいるとは限らず、部員を集めるところから始まる作品があるのも、このジャンルの特徴です。
ヤマト猛る!
『ヤマト猛る!』は、宮下英樹がヤングマガジンに描いた全6巻の作品です。
主人公は、体重60キロの小兵・和泉大和。
「突っ張りケンポー」など常識破りの取り口を武器に、高校相撲の日本一を目指します。
全6巻で完結しています。
参考:国立国会図書館サーチ
きんぼし
『きんぼし』は、明石英之がヤングマガジンに描いた全3巻の作品です。怪我によって野球を断念した高校1年生・甚野新太が、相撲部主将の長尾蒼士に誘われ、土俵へ上がります。
別の競技をしていた少年が、相撲へ入っていくところから始まる物語です。
参考:国立国会図書館サーチ
野球をやっていた人が相撲へ移ると、最初は何から覚えるんでしょう。
ずっと相撲をやってきた主人公じゃないぶん、初めて土俵に上がる側の目線で読めそうですね。
ももたろう
『ももたろう』は、小山ゆうの全10巻の作品で、小学館のビッグコミックスから刊行されています。大学の相撲部で4年間一度も勝ったことがない3人のもとへ、相撲部屋への入門を目指す後輩・百田桃太郎が上京してきます。
物語は大学相撲から大相撲編まで続きます。
参考:国立国会図書館サーチ
土俵を駈ける
『土俵を駈ける』は、とみすずがヤングマガジン サードに描いた全3巻の作品です。主人公の三上直登は、元幕内力士だった亡き父を持つ高校生。
相撲部のない高校に同好会を作り、横綱・大海風に勝つことを目指します。
参考:国立国会図書館サーチ
ごっちゃんです!!
『ごっちゃんです!!』は、つの丸が週刊少年ジャンプに描いた全5巻のギャグ漫画です。主人公の後藤秀輝は、大関の息子と目される少年ですが、実力は小動物並み。
あだ名は「ごっちゃん」で、高田川高校相撲部を舞台に物語が進みます。
参考:国立国会図書館サーチ
有名な力士の息子なら、本人が何も言わなくても周りが比べるだろうなぁ。
そういう重たくなりそうな設定をギャグにしているなら、どんな扱い方をしているのか気になるよ。
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りきじょ
『りきじょ』は、歌麿が月刊アクションに描いた全3巻の作品です。弓道で挫折し、退学を迫られた明石丸美が、木瀬高校の女子相撲部「りきじょ部」に入部します。
女子相撲を正面から扱った作品です。
参考:BOOK☆WALKER
変わり種・ギャグ・異色の相撲漫画
最後は、相撲を題材にしながら、王道の勝ち上がりとは別の方向へ振り切った作品です。異世界、SF、地下相撲、恋愛など、「これも相撲漫画なのか」と思うような設定まであります。
えびすこ!
『えびすこ!』は、えれまどかがヤングキングBULLに描いた全2巻の作品です。
朱雀部屋の三段目力士・勇雀こと田村勇一は、同姓同名の天才力士と間違えられてスカウトされた「じゃない方」。本物が次々と出世する中、勇雀も奮起していきます。
参考:コミックナタリー
バキ道
『バキ道』は、板垣恵介が週刊少年チャンピオンに描いた全17巻の作品で、『刃牙』シリーズの第5部にあたります。相撲の祖・野見宿禰の称号を継ぐ男が登場し、刃牙と古代相撲、さらに現代大相撲の力士たちが戦います。
宿禰と刃牙の決着までを描く、シリーズ内の「相撲編」です。そのため、単独の相撲漫画というより、『刃牙』シリーズの中で相撲を扱った作品と考えた方が分かりやすいでしょう。
参考:秋田書店
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五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇
『五大湖フルバースト』は、西野マルタが講談社のNEMESISに描いた上下2巻の作品です。舞台は、大相撲が国技となった近未来のアメリカ。
デトロイトの「技の横綱」五大湖がロボット科学者によって肉体を機械化され、土俵で殺戮を続ける機獣となります。電子版は紙版と題名が異なるため、探す場合は作者名の「西野マルタ」も一緒に確認してください。
参考:講談社
機械の体を持つ横綱まで出てくるのか。ここまで来ると、現実の相撲と比べる漫画じゃないなぁ。
でも「技の横綱」という言葉は気になるよ。力だけじゃなく、技で相手を崩す力士は稽古場でも見ていて面白かったからな。
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大相撲令嬢
『大相撲令嬢』は、川獺右端・村上ゆいちの原作を影崎由那が漫画にした全3巻の作品です。婚約破棄された悪役令嬢が、聖女に平手打ちされた瞬間、「前世は相撲部だった」という記憶を取り戻します。
そこから張り手や四股で攻略対象を叩きのめしていく、異世界コメディです。
参考:国立国会図書館サーチ
悪役令嬢と四股が同じ作品の中に出てくるとは思いませんでした。
熱血スポーツ漫画だけじゃなくて、好きなジャンルから相撲漫画へ入る方法もあるんですね♪
さくらのはなみち
『さくらのはなみち』は、希戸塚一示の原作を西山田が作画した全4巻の作品です。相撲部屋に生まれながら、女性であるため大相撲の横綱にはなれなかった元女子相撲世界王者・常盤桜子が主人公。
自分が横綱になるのではなく、「横綱を創る」ために、うだつの上がらない力士を育てます。4巻は「堂々千秋楽」と銘打たれた最終巻です。
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チカラビト 豪壮十六傑地下相撲決戦
『チカラビト』は、水上尭が双葉社のwebアクションで2024年11月に始めた作品です。2026年2月に刊行された3巻で完結しました。
主人公は、怪我によって引退した元横綱・生命力。国技館の地下で開かれる「地下相撲」のトーナメントへ身を投じます。
追放された力士や、人数制限のない外国人力士などが集まる、現実の大相撲とは異なる世界を描いた作品です。
どす恋ジゴロ
『どす恋ジゴロ』は、平松伸二の全4巻の作品です。続編『嗚呼どす恋ジゴロ』(全2巻)もあります。
主人公は、「角界のジゴロ」と呼ばれる関脇・恋吹雪。彼と一夜を共にした女性は美しくなる、という噂を軸に描かれる大人向けの作品です。
参考:国立国会図書館サーチ
大相撲刑事
『大相撲刑事(デカ)』は、ガチョン太朗による全1巻のギャグ作品です。相撲と刑事ものを組み合わせた内容で、ジャンプ・コミックスから刊行されています。
2026年10月時点ではBOOK☆WALKERやコミックシーモアなど主な電子書店で配信が確認できず、読む場合は紙の古書を探すことになります。
参考:国立国会図書館サーチ
ドラマ『サンクチュアリ』に原作漫画はある?
『サンクチュアリ -聖域-』に原作漫画はありません。
Netflixオリジナルの実写ドラマで、2023年5月に世界独占配信が始まりました。2026年10月時点で、公式のコミカライズも確認できません。
なお、史村翔・池上遼一による同名漫画『サンクチュアリ』がありますが、こちらは政治を題材にした劇画で、相撲とは関係ありません。
参考:Netflix
僕は、このドラマをまだ見ていません。
そのため、作中の相撲部屋の描写が現実にどこまで近いのかは、ここでは評価できません。
ただ、ドラマを見たあとに「相撲部屋へ入る若者の物語を漫画でも読みたい」という人なら、不良少年が相撲部屋へ入門するところから始まる『バチバチ』があります。
また、ドラマを見て「相撲で頭突きは反則ではないの?」と気になった方もいるでしょう。
その疑問については、別の記事で解説しています。
『サンクチュアリ』に原作漫画があると思って探していました。
同じ続きが読める漫画はなくても、相撲部屋への入門から始まる別の作品を選べば、次の1冊は見つけられそうです♪
相撲漫画に関するよくある質問
相撲漫画について、よく調べられている疑問をまとめます。
Q1. 相撲漫画で代表的な作品は?
A. 少年誌では『バチバチ』シリーズや『火ノ丸相撲』、青年誌では『のたり松太郎』『ああ播磨灘』などがあります。高校相撲、相撲部屋の生活、ギャグなど作品によって方向性が違うので、読みたい内容から選ぶと探しやすくなります。
Q2. バチバチはどの順番で読む?
A. 『バチバチ』(全16巻)→『バチバチBURST』(全12巻)→『鮫島、最後の十五日』(全20巻)の順です。電子書店では別シリーズとして表示されるため、最初から読む場合は作品名を確認してください。
Q3. 鮫島、最後の十五日はなぜ未完?
A. 作者の佐藤タカヒロが2018年7月に急逝したためです。20巻が最終巻となり、物語の結末までは描かれていません。
Q4. 火ノ丸相撲は完結している?
A. 完結しています。
2019年に連載を終え、単行本は全28巻です。
Q5. ジャンプの相撲漫画は?
A. この記事で紹介した作品では、『火ノ丸相撲』『力人伝説 -鬼を継ぐ者-』『ごっちゃんです!!』『大相撲刑事』があります。
2026年10月時点で、電子で読めるのは『火ノ丸相撲』と『ごっちゃんです!!』です。『力人伝説』と『大相撲刑事』は、紙の古書を探すことになります。
Q6. 昔の相撲漫画は?
A. 『のたり松太郎』(1973年〜)、『ああ播磨灘』(1988年〜)、『うっちゃれ五所瓦』(1988年〜)などがあります。いずれも電子で読むことができます(2026年10月時点)。
Q7. 相撲漫画はどこで読める?
A. この記事で紹介した作品の多くは、電子書籍で読めます。
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『力人伝説』『呼出し一』『大相撲刑事』は、2026年10月時点では主な電子書店で配信を確認できません。読みたい場合は、紙の古書を探すことになります。
まとめ
相撲漫画には、土俵の上の勝負だけでなく、その前後まで描いた作品があります。相撲部屋での暮らし、稽古、食事、女将さんや呼出しの仕事、番付を上がっていく力士の気持ち。
テレビ中継だけでは見えにくいところへ入っていけるのが、漫画の面白さだと思います。僕にとって最初の入口は、入門前に読んだ『力人伝説』でした。
相撲部屋がどんな場所なのかも知らなかったころ、漫画の中から想像していました。そして実際に入門してからは、大部屋で兄弟子たちと漫画を貸し借りしました。
『うっちゃれ五所瓦』も、そうやって僕のところまで回ってきた1冊です。
入門前の漫画は、相撲界をのぞく窓でした。入門後の漫画は、稽古が終わったあとの自由時間に読む楽しみでした。
実際の相撲と同じところもあれば、漫画だからこそ描ける横綱や、現実にはない世界もあります。だから、どの作品が一番現実に近いかだけで選ぶ必要はありません。
熱い取組を読みたいのか、相撲部屋を知りたいのか、それとも少し変わった相撲漫画を読みたいのか。気になる作品が見つかったら、まず1巻を開いてみてください。
土俵の上とは少し違う相撲の世界が、そこにあります。
漫画の相撲と、現実の相撲は同じではない。
だが、漫画を読んだあとに本物の土俵を見ると、今まで気づかなかったところへ目がいくこともある。
入口は紙の上でもいい。そこから本物の相撲まで興味が続けば、それが一番だな。
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